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ラッキー

Films: Mar.2018『ラッキー』ほか

Apr,01 2018 13:00

生と死と、何だか悲壮な名作揃いの3月。
なかなか良い感じにバラけている。
劇場鑑賞の『ハッピーエンド』と『ラッキー』はどちらも素晴らしい傑作だった。

観た映画: 2018年3月
映画本数: 21
鑑賞時間: 2027分

荒野のダッチワイフ

荒野のダッチワイフ

掃除してたら出てきたので久々の鑑賞。脚本的に殺しの烙印と同時期の大和屋竺監督作って事で、とめどなくスタイリッシュ。感嘆するレベルの気の利いた台詞の数々と演出、熱量の高い山下洋輔クァルテットの音とで鮮烈を極める...ピンク映画。もの凄い死の臭いのする生きた作品。傑作。嬉しいこと言ってくれるナァ。

鑑賞日:2018年3月29日 監督:大和屋竺

追憶の森

追憶の森

なんかもう設定、役者、オチの全てに無理矢理感がある。マシュー・マコノヒーが渡辺謙のハンサム発言に焦ったところと、アクロバティックな垂直落下くらいしか面白さを見出せなかった。

鑑賞日:2018年3月28日 監督:ガス・ヴァン・サント


アポロンの地獄

アポロンの地獄

この間観た『薔薇の葬列』にチラッと出てきたので、久々の鑑賞。あるあるなこの世の地獄のテンプレで今更言うまでもなく古典中の古典。呪われた宿命の中でもなんだかんだで善を渇望するってのが唯一の救い。でも哀しいかな、繰り返されるのが人類の歴史。荒野と鮮やかな緑、ショッキングな映像の数々とモーツァルトの弦楽四重奏、舞楽等々の絶妙な組み合わせ。傑作。

鑑賞日:2018年3月27日 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ


ラッキー

ラッキー

色即是空でナッシング。あるがままの生を受け入れる難しさよ。達観の末のマリアッチの下りは目から汗が吹き出しそうになる。実に良かった。

鑑賞日:2018年3月26日 監督:ジョン・キャロル・リンチ


セクシリア

セクシリア

カオス。うーん、この初期アルモドバル作品のゲテモノ感...すごい好き。ややもするとスペイン人に妙な偏見を抱きかねないほどの変人尽くし。アントニオ・バンデラスのデビュー作でもあるそうで、なんだかぷりぷりしていた。ニュー・ウェーブだな。良作。

鑑賞日:2018年3月25日 監督:ペドロ・アルモドバル


ネオ・ファンタジア

ネオ・ファンタジア

久々の鑑賞。あぁ、なんという躍動感。そしてディズニーをリスペクトしつつ、ディスるというイタリア式アニメーション。絵心やバックボーンがキッチリある人がアニメを作るとこうなる良い見本。ブルーノ・ボゼットも凄いけど、この頃の良質な映像作品(ベルリンフィルのやつとかキューブリック等々)を追求するカラヤンの偉大さもまた再認識させられる。全編に渡って素晴らしいけれども、特に『悲しきワルツ』のニャンコにやられる。勿論、傑作。

鑑賞日:2018年3月21日 監督:ブルーノ・ボゼット


野獣都市

野獣都市

まぁ一応、野獣都市。無理矢理な気もするけど。それよりも何よりも小松方正の顔面から始まりメイク班の気合いが入ってるんだか、入ってないんだかよく分からん仕事ぶりが実に印象的。全体的にクオリティが高い気はしないけれども、地中海かフロリダにでもいるかの様な(ほとんど港区あたりのロケだけど)音楽とやたらとお洒落なカットバックで楽しい要素はなかなか沢山ある。

鑑賞日:2018年3月20日 監督:福田純


マーゴット・ウェディング

マーゴット・ウェディング

久々の鑑賞。以前に観た時よりは面白かった。どいつもこいつもどっちもどっちでみんな駄目なとこばかりな人々。完璧な人間なんていないんだよと、言われているかのよう...からのラストの爆走の完璧な解放感。そしてカレン•ダルトンが沁みる。良作。

鑑賞日:2018年3月19日 監督:ノア・バームバック


モア

モア

グルーヴィー。いーなー、この頃のイビザに行って脳みそパーンしたい。ダラダラして大した映画じゃないんだけども、若い頃より何故だかことある度に観ている。ひとえにどろーんとした雰囲気とロケーションが心地良いせいかしら。ピンク・フロイドの2nd(太陽賛歌収録ってのもなかなか通ずるものがある)直後のサイケな時期にラフに録られたサントラは何気に名曲揃いでもある。劇中本人たちは楽しそうだけど、ダメ。ゼッタイ。総合的に良作。

鑑賞日:2018年3月18日 監督:バルベ・シュローデル


華氏451

華氏451

このあいだ『修道女』を観たので鑑賞。うーん、未来系。TVばっか見てると馬鹿にナルヨー的な。抑圧されたあれやこれはナチスの焚書のそれとも通ずるものがある。そしてトリュフォーのエンディングの上手さは異常。良作。

鑑賞日:2018年3月16日 監督:フランソワ・トリュフォー


最後の審判

最後の審判

読める、展開が読めるぞッ...なんて思ってたら普通に前に観てた一本。嫌だねぇ。何か計画がフィーリング重視で手抜かりまくりな仲代達矢。筋書きとしてはイマイチなんだけども、どこかお洒落で嫌いになれない堀川作品は今作も例外じゃなかった。どこまでも卑屈&サイコな仲代の顔芸でクズ感マシマシかと思えば、肉を切らせて骨を断つ的な勝利で何やら捨て身の格好良さを感じる様な感じない様な。いずれにせよ妙にスッキリした仲代であった。良作。

鑑賞日:2018年3月13日 監督:堀川弘通


少年たち/『カラマーゾフの兄弟』より

少年たち/『カラマーゾフの兄弟』より

原作が名作中の名作なのは勿論として、そのチョイスの仕方が良いんじゃないかと。長文にて以下。
http://monaminami.com/malchiki/

鑑賞日:2018年3月12日 監督:レニータ・グレゴリエワ


ハッピーエンド

ハッピーエンド

とりあえず携帯を投げ捨てたくなる。劇中を終始支配するキリキリ、ヒリヒリとしつつ、違和感を感じ続ける嫌〜な感じはセブンス•コンチネントの頃から一貫している。しかし、今作に関しては露骨な表現なくしてそれをキッチリと感じさせている印象。これは痛々しい表現をしつつも、どこか品のあったハネケ作品が更に上品(...はおかしいか)になった感じ。宇宙の星々が時間の経過と共に離れ離れなるかの如く、行き過ぎた利己主義の末に互いが遠い存在になる恐怖、違和感の様な、キリスト教的終末の真逆を行く現代に警鐘を鳴らすあたりにハネケの人類への優しさや愛が見え隠れしている気がしなくもない。まぁ本人じゃないから分からんけど。いずれにせよ、オンステージの下りも含め、熟練されている感じ。傑作。

鑑賞日:2018年3月12日 監督:ミヒャエル・ハネケ


ひき裂かれた盛装「夜間飛行」より

ひき裂かれた盛装「夜間飛行」より

主役級の成田三樹夫(レア)が観たくて久々の鑑賞。色気な藤村志保とプリプリした安田道代を相手にいつになくモテてる男前3割増しのキャラ設定。大した筋じゃないのに、唐突に無理矢理上手い事言おうとしている感じのシーンをちょいちょいぶっ込んでくる。まぁ意外と本当に良い感じの事を言ってるんだけど。色々と総合的に好きな一本。

鑑賞日:2018年3月11日 監督:田中徳三


メッセージ

メッセージ

とりあえず、R.I.P.ヨハン・ヨハンソン。で、OPEDがマックス・リヒターとはこれいかに。似てる系統ぶつけてくる意味が分からんなぁ。基本的にドゥニ・ヴィルヌーブ作品は好きではある。時間軸が大前提の映画と云うメディアで敢えてやってやるッてのも何となく分かる。しかしなんだな、非常に上手い事出来ているのだけれど、出来過ぎと云うか何と云うか。劇中に登場する様々なマテリアルの関連性の意図は汲めるし、全体的綺麗にまとまってる気もするのだけれども、それでいてそうでない気もする。まぁ好みの問題か。そこらの映画よりは面白かったけど。

鑑賞日:2018年3月10日 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ


クリード チャンプを継ぐ男

クリード チャンプを継ぐ男

うーん、胸熱。フルートベール駅での監督か。シリーズ中のありとあらゆる様式美を上手いこと踏襲。元々ネタみたいなお約束の数々がなんかもう、ギャグみたいな仕上がりなのに、何故だかグッとくる。ポーリーの墓とかハーレー等々、なかなか細かいところも行き届いている感じ。良作。

鑑賞日:2018年3月8日 監督:ライアン・クーグラー


薔薇の葬列

薔薇の葬列

か〜わ〜いーいー。何となく久々の鑑賞。まとめは淀川長治が簡潔かつ的確にやってくれる。なんか匂ってきそうな'60年代終盤の新宿のゴールデン街的空気感と色んな意味で時代を先取りしまくる松本俊夫。モノクロ作品の為、後の映像作品群における極彩色はないものの、実にエフェクティブかつ実験的、で超サイケ。筋としては女...じゃなかった、ゲイボーイの痴情のもつれやら近親相姦やらの古典的なものではある。しかし、その映像美と湯浅譲二の音楽的世界観で混沌としながらも、全体としては至高の域。アポロンの地獄を背景にってのがまたグッとくる。傑作。

鑑賞日:2018年3月6日 監督:松本俊夫


1984

1984

未来世紀ブラジル、リベリオンどころじゃなく、ド直球に映画化したマイケル•ラドフォードの心意気。二重思考の下りなんかはリベリオンとかの方が良く表現できている気はするものの、地味ながらかなり忠実にジョージ•オーウェルの原作を再現している。おまけに結構ニュー•ウェービーなんだな。冷静に考えると、テレスクリーンどころじゃない現在にゾッとする。下手したら2+2=5ってなりかねないものねぇ。

鑑賞日:2018年3月5日 監督:マイケル・ラドフォード


狂った夜

狂った夜

立ちんぼからってのが実にイタリア映画っぽい。敗戦からなる貧しさ故か若さ故か、ともかく徹底した各々の利己主義で夜を突き進む...末の虚しさよ。金で埋められる事は限られているんだゼと逆に思わせる。秀逸なOPEDとプゥーッがとても印象的。良作。

鑑賞日:2018年3月4日 監督:マウロ・ボロニーニ


美しいひと

美しいひと

ニック•ドレイクの妙な使い方からして色々と納得がいかん。親父や巨匠作品以外のルイ•ガレルはただのスケベ教師にしか見えないなぁ。相変わらず彫刻みたいでかっこいいけど。レア•セドゥが好きか嫌いかで大きく評価が分かれる作品な気がする。瞬間的に良いところはあったけども、まずまず。

鑑賞日:2018年3月3日 監督:クリストフ・オノレ


修道女

修道女

何となく女子が集まる学園ものにも見えてくる。筋書き自体は面白いと思うのだけれども、敢えてなのかなんなのか場面が飛びまくっていささか付いていけん。

鑑賞日:2018年3月1日 監督:ジャック・リヴェット