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Faces

Films: Jun.2018

category: Film, Movie, Soundtrack

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Jul,01 2018 12:30 PM

6月は先月に引き続きハネケハネケから。
初鑑賞のテオ・アンゲロプロス作品は圧倒的な長回しと映像表現とで癖になり始めている。
ジョン・カサヴェテスやポランスキーもまだ観てないのがいっぱいあるな。
劇場にてPTA新作『ファントム・スレッド』もなかなかだった。

観た映画: 2018年6月
映画本数: 15本

狩人

狩人

うーむ、アナーキー。お前らの罪深さはこうなんだと壮大な仕掛けで展開される。3時間の尺でたった47シーンの長回しで連なる、美しく流れるような映像と演出は感嘆に値する。寝落ちの危険度は高めなものの、終わってみれば割と丁寧かつ皮肉的に(ラストも然り)近代ギリシャ史が描かれている事に納得。彷徨い続ける亡霊よろしく、まるで三途の川を漂い続けるかの様な赤旗革命軍(圧巻)。この無念が晴れる時まで、震えて眠れ狩人たちよと訴えている様な。国の情勢がどうあれポロっと入れられた台詞、「人間らしく生きたい」。結局のところ、この辺りにアンゲロプロス監督の想いが込められている気がしなくもない。傑作。

鑑賞日:2018/06/29 監督:テオ・アンゲロプロス

テンペスト

テンペスト

我が家ライブラリより再鑑賞に先立って原作を読む。前に観た際には古典をニューウェービーかつアヴァンギャルドに演出した表面しか見ていなかった様に思える。戯曲の詩法は未だややこし過ぎて良く分からないけども、台詞回しのリズムなんかは古いものをしっかり踏襲しつつって感じ。『復讐よりも徳を与える』の締めとプロスペローの魔法を捨てる口上とで儚い二重の解釈もできない事はない気もする。良作。

鑑賞日:2018/06/26 監督:デレク・ジャーマン

アリス・スウィート・アリス

アリス・スウィート・アリス

ほとんど瞬殺のブルック・シールズ的には翌年のプリティ・ベイビーの方が良かった。内容としてはミスリードのテンプレみたいなので、上手い具合にまんまと乗せられる。まさに映画的な落下表現やアイテム使い等々なかなかな感じで、続編作れそうなラストもこれまたお約束的。良作。

鑑賞日:2018/06/23 監督:アルフレッド・ソウル

LOVE [3D]

LOVE [3D]

そこ3Dかって云う。劇場に観に行かなくて良かった良かった。愛とはそこから離れられないもの、を軸に凄まじく呪詛ギリギリな感じでデカダンスに展開する。男と女の愛のさじ加減と云うか、単純に合ってないだけじゃね?と思いがちなものの、後悔から経験し本質に気付く者とそうでない者の時間差と時間軸バラバラの構成がなかなかニクい。いくら刺激を求めていても記憶から抹消したい程の拷問3Pと賢者モードは遠慮したい。カルネの頃から変わらない感じの赤が青春時代を思い出させる。ちょっと音楽使い過ぎだけど、良作。

鑑賞日:2018/06/22 監督:ギャスパー・ノエ

ファントム・スレッド

ファントム・スレッド

鬼女とマザコンでお互い納得してるんなら良いんじゃあないかと...。これまでのPTA作品の主従関係と明暗の関係性は割とくっきりハッキリしていた様に思えるものの、今作ではかなり丸く収まった印象。経過がどうあれ結果オーライみたいな。どんな人生が正しいかなんてのは分からない。ある意味では母ちゃんの死の匂いから呪いが解けて(交代して)良かったんじゃないか。...敬愛する母ちゃんの幽霊が人生を正しく縫い合わせてくれた的な。しかしまぁ、映画演出のお手本とも言えるべき喧騒の中の孤独、フリをするしないの駆け引きの描写、イニシアチブの推移等々、成熟のPTAとダニエル・デイ=ルイス。らしさは軽減していたものの、もはや完璧なるサントラ職人へと変貌したジョニーもなかなか。個人的にはいくら愛があってもキノコオムレツの刑だけは勘弁願いたい。悪い夢だわな。傑作。

鑑賞日:2018/06/19 監督:ポール・トーマス・アンダーソン

袋小路

袋小路

やー、病んでる。喜劇調なだけにほのぼのと進行して暴力的な怖さはないけども、狂気を感じざるを得ない笑い。倦怠感MAXの女はむしろこのハプニングを望んでいたかの様だし財力のある男は駄目さを露見する。遮断された舞台でそれぞれの本性が露わにされる様は実に痛々しい限りで、この意地悪な人間模様の視点はまさしくポランスキー。コメダの洒落乙なサントラとアナログの音飛び演出も絶妙。可愛いドヌーブ姉も良い。傑作。

鑑賞日:2018/06/18 監督:ロマン・ポランスキー

ノクターナル・アニマルズ

ノクターナル・アニマルズ

前作同様に当然と云うべきか、とってもラグジュアリー。俺の家族を奪った夜の獣にリベンジするぞと。あまりにストレートな展開過ぎて、最初はマイケル・シャノンを疑ってしまった。良いな、相変わらず。ダミアン・ハースト的な閉塞感の女とは裏腹にちょいと女々しいけれど、男の恨み節で掴んだ成功。俺によるまさに俺の事を描いた入魂の作品ドヤって郵送してみたものの、興味示してくれなかったら思うとゾッとする。一番リアルなギルティが人のiPhone落っことす(死)だったけど良作。

鑑賞日:2018/06/17 監督:トム・フォード

浮雲

浮雲

時にくっついたり離れたり、あさっての方を向いているかと思えば全体の流れる方向は一緒...退廃的な方へ。男もクズだけど女も駄目。心と裏腹に憎まれ口を叩き、虚勢を張りすれ違うダメダメな男と女の生々しいまでの人間らしさ。密林で始まり密林で終わり、輝ける記憶が戦時中(泣)と戦中派の監督だからこそ描ける説得力のある皮肉感。引っ掻き回す超絶可愛いヤング岡田茉莉子も含めて傑作。

鑑賞日:2018/06/16 監督:成瀬巳喜男

フェイシズ

フェイシズ

楽しくて悲しいSon Of A Gunたち。ロングショットで構築された絶妙な緩急の喜怒哀楽と対称的に配置された老若男女。筋的にはなんて事ない不倫劇なのに、気の利いた台詞とのやり取りで、ジョン・マーリーとジーナ・ローランズのところなんかは特にドキドキする。おまけにやたらと洒落てる構図のオンパレードでジョン・カサヴェテス初期監督作品ながらかなりの傑作度。表情が豊かってのは、こう云うのなんだな。素晴らしい。

鑑賞日:2018/06/14 監督:ジョン・カサヴェテス

ネオン・デーモン

ネオン・デーモン

とりあえず最低だなキアヌ・リーブス。下克上な世界でのし上がる為に食って、棚ぼたもアリで、鑑賞者も喰ってしてやったりなレフンってのは分かる。基本的なテイスト自体はプッシャーとかの頃からあんまり変わっていないとは思うのだけれど、この人は漢臭いゴツゴツした殺し合いをスタイリッシュに描くって方が長けている感じは否めない。そこから脱却したかったんだろうけど。クオリティは高さは認めるけど、レフンの濃い味は90分くらいが丁度いいってのがハッキリした。

鑑賞日:2018/06/10 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

少女娼婦 けものみち

少女娼婦 けものみち

69の日なので、我が家のライブラリより内田裕也もの。根っからの真性ドSなのか、もしくは崇拝しているのか、他の神代辰巳作品に劣らず今作も大変女性にキビシイ。ポルノと云うよりは完全にATG的な雰囲気を醸し出すヒリヒリした性春。で、流石のお洒落なアングルの宝庫。出てくるだけでワンランク格調アップ(ダウン?)の三谷昇がチョイ役過ぎるのが少々残念。良作。

鑑賞日:2018/06/09 監督:神代辰巳

蜂の旅人

蜂の旅人

まだ財政破綻のずっと前のギリシャのお話。今まで観た映画の中でもトップクラスの情熱的なエクストリーム入店。そして朽ちた映画館の下半身ショットの秀逸さ。歴史とすれ違ってこのザマでお前が羨ましいなんて言われても、人には見えない憂いがある。「飛び立たせて」と女王蜂。雄蜂的でギンギンな生き様を見せるマストロヤンニ。良かった。

鑑賞日:2018/06/07 監督:テオ・アンゲロプロス

パーティで女の子に話しかけるには

パーティで女の子に話しかけるには

全体的に中途半端な感じは否めず。なんと云うか、ここまで主張を盛り込んでくるとちょっと説教臭い。ジョン・キャメロン・ミッチェルの作風自体は変わっていないし、好きだったんだけどな。自分が変わったのか。決して寛容な社会とは云えないけども、私たちは普通じゃないから認めてって云う主張もそれをクローズアップする社会もどこか不自然な傾向かつ歪な気がしなくもない。途上って事で仕方ないんだろうけど。難しく考えず青春ものとして観とけば良いとは思うけれども、それにしてはパンクって素材の扱いが雑な印象。まずまず。

鑑賞日:2018/06/05 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

御冗談でショ

御冗談でショ

実家からボックスセットを持ってきたので再鑑賞。大学のダークサイドな部分をキ印スレスレな感じでアナーキーに展開するマルクス兄弟。他の作品同様にそれぞれの芸達者っぷりで感嘆せざるを得ない。ウディ・アレンがグルーチョの返しなんかに影響を受けてるのも何となく分かる。何か結果的に日大のアメフトのが騒がれているので観たみたいな感じになってしまった。しかしハーポはいつ見てもヤバいなー。

鑑賞日:2018/06/04 監督:ノーマン・Z・マクロード

コード・アンノウン

コード・アンノウン

ハネケ祭りの続き。例の如くかなり記憶が曖昧で色んなとこでこんなシーンあったなと云った感じ。のっけの長回しから始まり、先の作品同様に断片的かつなかなかピリピリと息苦しく進む。ヨーロッパにおける相互に『伝達』できないEU感を浮き彫りにする。露骨な差別表現のあるあるシリーズで先日のフィラデルフィアのスタバみたいなのから『ある戦慄』みたいな電車内での超絶嫌なシチュエーションみたいなやつまでてんこ盛り。これが世界だと見せつけてくるハネケ。許し合う終末の世界はまだまだ遠い。傑作。

鑑賞日:2018/06/02 監督:ミヒャエル・ハネケ