otom

Riget / Kingdom

Riget / Kingdom

Feb,04 2007 15:00

新・習劇 第12回 『Kingdom

「いつか霊を見られるようになる。」

数年ぶりに『キングダム』(ラース・フォン・トリアー監督作品)を3週くらいに分けて鑑賞。
いつ観ても出産で登場するウド・キアで笑撃を受ける。
ジャンル的にはゴシック・ホラーとの事みたいですが、笑いと皮肉の要素が大半を占めている気はする。
デンマーク版『ツインピークス』なんて当時は言われており、ユーモア要素もなかなか良い勝負。
デンマークに対し以上なまでの対抗意識を燃やし、己の医療ミスの証拠隠滅に奔走するスウェーデンからきた医師。
仮病で入退院を繰り返し、病室で降霊をする心霊マニアのおばさん。
病院内で実験用のネズミを標的に銃をぶっ放す熟女医師。
地下で謎の太鼓治療を行う精神科の医者、しかも無許可。
その精神科に入り浸り、自身のエロ本収集の趣味を復活させてしまいブロンズ製の性器を手に院内を練り歩くあわれな医師長。
巨大な癌腫瘍を欲望の果てに己の体に移植し、その腫瘍を食べられてしまう可哀想な研究医。
毒を盛られて臨死体験をし、頭がおかしくなった、頭の良い医師(調達屋)。
悪霊を父親に持つおっさん顔の赤ちゃん。
など例を挙げたらキリがない。こんなキャラ設定をするラース・フォン・トリアーが一番、あたまがオカシイ。

しかしまぁ、3rdシーズンはどうなっている事やら。気になる終わり方で結構長い事、放置状態ではある。
ヘルマー医師役のエルンスト・フーゴ・イエアゴーが亡くなったので完結編は延期らしいと云う話はどこかで聞いたけれども。
しかし、今回見直してみてこれで終わりでも良い気もしている。
薄い氷の上でバランスをとっていた人々がバランスを崩して冷水へと落ち、
「もうすぐ、かつてない悲惨な惨劇が起きる」
で終わるからその通りなのであろう。
この先起きるであろう惨劇の一部は既に出ているので、あえて結末を描かずともと思うのである。
それにしても急降下するエレベーターに乗っているドルッセ夫人は死なないんだろうな、多分。
なにしろ乗っている飛行機が墜落しても平然としていたくらいだもんな。

ちなみに我が家の近所には昔、それこそキングダムみたいな建物の国立習志野病院と云うものがあった。
戦時中は結核の療養所だったとの事は聞いた事がある。 自衛隊やら陸軍駐屯地なんかも近所にあったので、恐らく広大な地下施設あったのではないかと思われる。
地中深くで本当に黒ミサでもやってそうな雰囲気だったのだ。
探検しに行く前に立て替えされてしまったのは非常に残念ではある。
そして私の生まれた病院でもある。

再び"キングダム"の世界に戻る際には、善も悪もあることを心得よ。

Kingdom / Stig Helmer