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映写機

映写と云う仕事

category: Film, Movie, 新習志野劇場

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Jul,08 2009 6:00 PM

新・習劇 第15回 『映写と云う仕事』
「銀紙通りますー」

映写と云う仕事があります。その名の通り映画を映す仕事の事であります。
今でこそ機械が全自動になってしまった事もあり、映写の人間の地位は下がる一方ですが、昔は花形の職業だったそうな。
全自動になったとは云うものの、フィルムの扱い一つとってもセンスがいるし、ある程度は機械の事も分かっていなければならないので、昔ほどではないが専門職である筈なのだ。
その辺りが、劇場関係者でも分からない人は多い様に思われ。

20代の大半を劇場にて勤務していましたが、先の事を考えると不安で仕方なかったので職種を思いきって変えました。
しかし、実際のところは未だに映写を続けております。
劇場で働いていないのにどう云う事かと云うと、当然の如く世の中で映画を映す仕事は映画館だけではないのであります。
試写会や、イベントなどで映写をする出張映写と云う仕事がある訳で、現在、主にやっているのは都内某所で度々行われる試写会の出張映写。

劇場の映写と出張映写の最も大きな違いはひとえに映写の仕方だと思われます。
と、かなり漠然とした言い回しですが、確かにその通りなのです。
通常の映画のフィルムは2時間の映画で大体、7~8巻くらいで配給から届く。
劇場はその7~8巻を全部繋げたり、ハコによっては2台の映写機で映写する為に予告+3巻、4巻みたいに2本にまとめたりする。
こっちの映写機から向こうの映写機へ切り替えたりするのに、映写されているフィルムの所定の位置に貼られた銀紙をセンサーが読み取り、別の映写機が自動でスタートしバシャっと切り替わる。
この銀紙と云うのは色んなところで応用されるもんで、しかるべき位置に貼り、センサーに読み込ませる事で映写を開始したり、終わらせたり、音声を変えたり、レンズを変えたり、タイマーと連動したりと云った事が自動でできる。かなり大雑把な説明だけれども。
大体の劇場はこんな感じで自動で映写している。極論を言えば正常に作動していれば一日寝てても自動でスケジュールをこなしてくれる。
この辺りが映写の人間を軽視する一番の理由な気がするけれど、実際問題として慣れない売店の子にプリントが切れて映写機が止まったとか、突然音が出なくなったと云う時に対処できるかは疑問ではある。もちろん映写の人間でも完璧にトラブルを処理できる訳でもないけれども。
と、大体こんな感じで最近の劇場は運営されている。

で、出張映写の話。現在、某団体に所属しつつ試写会の映写の仕事をWeb制作の合間を縫って行っています。
この出張映写と云うのはその日限りなので、劇場と異なり、繋げたりする事がないのです。
つまり、7~8巻のものを2台の映写機で交互に映して行く。
とにかく失敗が許されない。全部繋げてしまえば、フィルムが切れたりする事のない限り安心なのですが、試写会の場合はそうは行かない。今日使ったプリントが明日は別のところへなんて感じなので、いちいち繋げてられないって事で、要するに『玉掛け』している訳です。

現在、主に行っているところでは一応、万が一の事態に備えて巻終わりに銀紙を貼っています。
大体、2人1組で映写する訳なのですが、そこで切り替わる際に相方さんに声を掛けるのです。
「銀紙通りますー」
とりあえずは銀紙を貼っているので、自動で映写機が動き出すのですが、もし動かない場合は即座に映写機をスタートさせる。
つまり、銀紙が通るのを気にしつつ、画面上のポイント(巻末に右上に出てくる黒丸や白丸の印)に合わせて映写機を動かす。
このタイミングが遅れたりすると、今映っている方のテイル(絵が消えてしまっている部分)がスクリーンに映ってしまったりと、大変みっともない事になる。
このくらいでは配給さんからそんなに怒られる事もないとは思われますが、映写機を止めちゃったりしたら最悪です。損害賠償やら何やら大変な事になる。
運が良い事に、個人的にはいままでに大きなミスはないのですが、中にはフィルムを表裏逆に掛けちゃったりなんだかんだしている人もいる様。そう云う話を聞く度に反面教師で気をつけようと思う。

ちなみに以前、S○○Yの試写室なんかでやらせて貰っていた時には、銀紙を貼る事もなく完全に手動だった。ポイントを見逃したら最後、大失態であります。
最初はドキドキものだったものの、慣れてくると銀紙を気にしなくて良いし、何より最初に貼る作業がないので総体的に楽。
手動でやっていると映写してるなぁと云う気分にもなるのだけれども、最近はS○○Yの仕事も回ってこないので少々残念。

そんなかんなで、意外とプレッシャーのある映写の仕事。
この仕事で食べて行ける時代でもないので、いつまで続けるかは分からないけれども、やっぱり好きな仕事ではある。
やれるだけやりたいものです。

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