
Films: Jun.2012『ランブルフィッシュ』ほか
Jul,03 2012 14:00
6月は忙しかったせいか映画が観られない日が多かった。
その上、なんだか大作系ばっかりである。
観た映画: 2012年6月
映画本数: 28本
鑑賞時間: 3166分
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イヴの総て
何度観ても傑作中の傑作である。脚本から何から何まで素晴らしい。謙虚の皮を被った野心の塊魂な若い女イヴの台頭に焦り嫉妬するマーゴ。狙った獲物に牙をむくイヴの冷静さとは別に人間臭く悩み葛藤した末のベティ•デイヴィスの選択は胸を打つ。年の功ですかね。大事なものが何かを気づくにはイヴは若過ぎたのだ。凄い映画である。
鑑賞日:06月30日 監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
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ギルバート・グレイプ;WHAT'S EATING GILBERT GRAPE
15年振りくらいの鑑賞。名作過ぎます。"光り輝く甲冑を着た王子様"は広大な大地にポツンと立っている家の中で大きな重荷を背負いながら生きる。そんな青春。障害を持つ弟や巨漢の母親を献身的に支える彼の願望はと尋ねると、"いい人になりたい"と言う。なんと云うセリフ。ラッセ•ハルストレム監督作品はどれも好きだが、これが一番好き。やっぱベーコンはカリカリだよね。
鑑賞日:06月29日 監督:ラッセ・ハルストレム
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カリガリ博士 [淀川長治解説映像付き]
話の怖さもさる事ながら、芸術的なスタジオセットも圧巻。ドイツ表現主義って響きだけでも格好良い。モノクロ•サイレント映画ではあるが、叶う事ならばカラーで観たい。貴重な映画である。DVD冒頭の淀川長治の有難い解説も必見。
鑑賞日:06月28日 監督:ロベルト・ヴィーネ
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カッコーの巣の上で
何度観ても胸が熱くなる作品。正常と異常は見る角度によっては逆にも見えてしまうのだ。人それぞれの持つ価値観とは実に色々である。だからこそ世界はこんなに混沌としているのでしょうね。そんななかで巣を飛び出し自由になるラストには癒される。素晴らしい作品。
鑑賞日:06月27日 監督:ミロス・フォアマン
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ドレミファ娘の血は騒ぐ
うーん、初見では何だか良く分からん映画だった。大学ノリな雰囲気は嫌いではないし、お話自体は単純な気がするのだが、どうにも散漫である。あえて最低な映画を狙って撮ってるとしたら、それはそれで凄い。とりあえず洞口依子が異常に可愛かった。
鑑賞日:06月26日 監督:黒沢清
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ターネーション
何度観ても心が締め付けられる。 ジョナサン・カウエットと云う人間がさらけ出す過酷な半生がiMovieで編集された断片的な映像群からダイレクトに伝わってくる。Lowを始めとして素晴らしい選曲もまたキューっとなる。良作。
鑑賞日:06月25日 監督:ジョナサン・カウエット
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ダークナイト
最近、映画館でしつこくライジングの予告をやってたので、ついついTVで鑑賞。バットマンで大富豪のクリスチャン•ベイルが嫌味なくらい、いちいちイケメン過ぎる上、最後はこれ以上ないってくらい男節な結末。光と闇のテーマがキッチリ表現されており予想以上に面白かったです。
鑑賞日:06月24日 監督:クリストファー・ノーラン
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悦楽
密かに愛する加賀まりこの結婚があった為に踏んだり蹴ったりの中村賀津雄が最初から最後まで実に詫びしい。使っちゃいけない金で悦楽を極めるもちっとも楽しそうじゃないのは、ポッカリと空いた穴を埋めるだけの作業だったからなのでしょう。ラストは無常以外の何物でもない。大島渚作品としてはイマイチな感じではあるが、観て損はない気はする一本。
鑑賞日:06月24日 監督:大島渚
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白い家の少女
ジョディ•フォスターの若い頃の作品。タクシードライバーとは比べもんにならんくらい天使度が高いが、同時に大人顔負けの恐ろしさを見事に演じる。そんな13歳にネチネチと絡んでくるロリコン野郎、マーチン•シーンも良かった。お話自体は部分的にはかなりシャープなのに何かが足りない。が、つまらない訳でもない。音楽が所々合ってない気もするが、まぁ良しとする。家主は完全に自爆。
鑑賞日:06月23日 監督:ニコラス・ジェスネール

悲しみは空の彼方に
『悲しみは空の彼方に』を鑑賞。TSUTAYAでアル•パチーノの『哀しみの街かど』を借りた筈が何故かこれが入っていた。結果は号泣。素晴らしい作品でした。不思議な出会いもあるもんです。
鑑賞日:06月23日 監督:ダグラス・サーク

メン・イン・ブラック3
Kを救うべく胸熱の1969年へとタイムスリップするJ。アンディなWもまさかのエージェント。バックでは"I'm Waiting For The Man"となかなかニクい選曲。そして色々と明かされる胸熱なJの過去。程々に面白かったけれども、1~2作目のテンションを期待するとどうでしょう。ご老体にムチ打ったほぼチョイ役のトミー•リー•ジョーンズにご苦労様と言いたい。
鑑賞日:06月23日 監督:バリー・ソネンフェルド

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
痛い。只々胸が痛い。話の筋が読めてしまうにも関わらず、再生へと向かう少年の良いお話であった。でき過ぎなトオチャンのトム•ハンクスと泣かせるカアチャンのデンジャラス•ビューティ、サンドラ•ブロックも少年に劣らず好演。が、やっぱり題材が辛過ぎる。
鑑賞日:06月21日 監督:スティーブン・ダルドリー
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タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密
安心して観られる方のスピルバーグ作品。リアル過ぎて気持ち悪いCGもすぐに慣れる。と云うより寧ろCGでないと無理。小さい頃にインディ•ジョーンズを観た時の様な幸福感を目一杯堪能できた。『ショーン•オブ•ザ•デッド』の2人もナイス配役。面白かった。
鑑賞日:06月20日 監督:スティーヴン・スピルバーグ
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ゾンビランド
テンポやイギリス風のアイロニーは『ショーン•オブ•ザ•デッド』の方が盛り沢山だが、こちらの方はのっけのメタリカからしてゴテゴテのアメリカのノリで畳み掛けてくる。ビル•マーレーが出てくるあたりで笑いは最高潮。色々と汚いけども何故か爽快感があり、かなり楽しい一本。で、トゥインキーってなぁに
鑑賞日:06月19日 監督:ルーベン・フライシャー
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レイジング・ブル
久々の鑑賞。この頃のスコセッシ作品は極上である。腕っぷしの強さとは裏腹に人間として非常に弱い面を持ち、自らを駄目にしてしまう不幸なタイプの男を描いた傑作。そんな男の人生を慰めてくれる様なカヴァレリア・ルスティカーナのテーマ曲は胸を締め付けられる。素晴らしい作品。
鑑賞日:06月18日 監督:マーティン・スコセッシ
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異人たちとの夏
なんでもありな印象の一本。ツッコミたい箇所は多々あるものの、どこか心にグッとくるものがある不思議な映画である。このところ風間杜夫を立て続けに観ているが、やはりこう云う真面目っぽい役の方が合う気がする。サザエさん風の昭和な風貌なのに何故かバブルを感じさせる秋吉久美子も良い。お盆の時期におすすめ。
鑑賞日:06月17日 監督:大林宣彦
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ランブルフィッシュ
カーツ大佐を追い求めるウィラードの如くマット•ディロン(弟)はミッキー•ローク(兄)に憧れる。憧れの先の空虚さが切ない。しかし、出てくる役柄は皆さんは若く、なかでもダントツに髪がフサフサのニコラス•ケイジに違和感がある。80年代臭がプンプンしてかなり好みな作品。
鑑賞日:06月17日 監督:フランシス・フォード・コッポラ
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白昼の通り魔
なんとも不気味な作品。先天的か後天的か一筋縄では行かない人間の犯罪心理。回想を上手い事挿入しつつ、男女4人の中から1人の通り魔が生まれてしまう様を実に暑苦しく描かれている。どの作品でも佐藤慶はクズな役柄をやらせたら一級品だと個人的には思う。大島渚監督はこの作品の数年後に『絞死刑』を撮る。意味深である。
鑑賞日:06月16日 監督:大島渚
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蒲田行進曲
名作中の名作。深作欣二監督のお陰で松竹映画らしさと異常なダイナミックさが合わさった一本。松坂慶子と平田満の階段落ち前夜の大喧嘩は何度観てもキュ〜っとなる。風間杜夫はあんまりイケイケな役柄が似合わない気もするが、好演。しかし完全脇役の筈の萩原流行が何故か目につく不思議。
鑑賞日:06月14日 監督:深作欣二
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遊び
結構ひどい作品な気はするのですが、かなり楽しませて貰いました。とにもかくにも知恵遅れレベルの純粋さで鑑賞者を圧倒する関根恵子が無双過ぎる。観てる側には全くイケてる風に見えない男との初めて尽くしの遊びを覚える関根恵子。ゴーゴーを踊る関根恵子。沈没寸前のボートを泳いで押す関根恵子。全てが圧倒的。可愛い過ぎる。
鑑賞日:06月11日 監督:増村保造
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ザ・シャウト さまよえる幻響
以前に一度観た筈なのだが、はてさてどこでいつ観たか思い出せない不思議な一本。音響マニアの家へ叫びで人を殺せる魔術を習得した態度のデカイおっさんが転がり込む。音響屋の性か灰野敬二ばりの叫びサウンドに興味を持ったばっかりに酷い目に逢う。狂人だらけのB級映画臭プンプンの一本だが、かなり好き。爆音で観るのがベスト。
鑑賞日:06月11日 監督:イエジー・スコリモフスキ
![ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51c%2BCkC6qLL._SL75_.jpg)
ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌
どうにもこうにも、お言葉は全く頭に入ってこず。革命ガーとか毛沢東ガーとかインテリじみたものにはどうにもついていけない。それは置いといて、セッションを経て『悪魔を憐れむ歌』が完成されて行く映像はかなり楽しい。良い時のストーンズの面々はかなり格好良し。頭が冴えている時に観るのがおすすめ。
鑑賞日:06月10日 監督:ジャン=リュック・ゴダール
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大誘拐 RAINBOW KIDS
バブル期真っ只中の岡本喜八作品。個人的には昔、初めて観た岡本喜八作品なので嫌いではない。ダサい音楽に乗って、監督特有のテンポの良さや話の筋の緻密さも健在。『肉弾』、『近頃なぜか~』等々からのテーマもチクリと挿入されている。北林谷栄、緒形拳等の好演は勿論ではあるが、久々に天本英世が動いているのが観られて嬉しい。
鑑賞日:06月09日 監督:岡本喜八
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網走番外地
久々の鑑賞。石井輝男監督渾身のシリーズ一作目。不可抗力以外の何ものでもない様な映画である。若き日の健さん演じる、カァチャン想いの人情溢れる極道者が周りのクズ共のせいで散々な目に逢う。まだまだヤンチャな健さんとは対照的に丹波哲郎と最後だけだが南原宏治の男前具合がグッとくる。傑作。
鑑賞日:06月08日 監督:石井輝男
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陸軍中野学校
朝飯時にやってたので久々の鑑賞。加東大介に選ばれた市川雷蔵他18人のエリート達が無理ゲーな訓練を経てスパイのスペシャリストに成長する、ある意味青春映画の傑作。この頃特に天使な婚約者役の小川真由美と市川雷蔵の終盤のやり取りは色んな意味で痛々しい。やっぱりOP•EDの曲は頂けないが名作。
鑑賞日:06月08日 監督:増村保造
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ジャックポット
日本未公開のロバート•アルトマン作品。賭け事の類は全くやらないのだが、なかなか楽しい一本。"俺は自分をコントロールできるんだ"とギャンブラーの常套句を口にするギャンブラー。最後は燃え尽き症候群で金じゃないんだよ感を醸し出すギャンブラー。やっぱりロマンなんすかね。しかしエリオット•グールドは格好良い。
鑑賞日:06月07日 監督:ロバート・アルトマン
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座頭市物語
昼時にやってたので、つい久々の鑑賞。盲の勝新と病身瀕死の天地茂が健常者より遥かに腕が立つと云う、あんまりな設定のシリーズ一作目。勢いとシンプルさと緻密さが同居する見事な傑作だとつくづく感じる。しかしクレーマー対策だかなんだかで差別的発言云々の断りを放送前にダラダラやられるのも興醒めである。嫌な時代になったもんだ。
鑑賞日:06月07日 監督:三隅研次
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人間の約束
痴呆老人を抱える家族がテーマの吉田喜重作品。従来の作品に比べて観やすい事は確かだが、痴呆老人のエロスなどお馴染みの吉田喜重のテーマも生々しく盛り込まれている。全体的に重い内容で、ボケ始めの三国連太郎が鏡に映った自分に挨拶するシーンは特にゾッとした。そして河原崎長一郎のセリフ"人間には決して口に出して言ってはいけない事がある"はズシっときた。
鑑賞日:06月05日 監督:吉田喜重
category: 映画レビュー
tags: 2012年映画レビュー