Films: Apr.2014『たまこラブストーリー』ほか
May,02 2014 11:30
森崎東監督作品が多い4月。
『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』の素晴らしい事。
更には『たまこラブストーリー』の公開等々、4月は映画で泣く事が多かった。
観た映画: 2014年4月
映画本数: 18本
鑑賞時間: 1767分
機動戦士ガンダムF91
どうなんだろ。いささか詰め込み過ぎな上に人物描写が軽過ぎる感じでそれ以前のガンダム程感情移入はできない。鉄仮面とか空飛ぶ殺人ルンバとかお粗末過ぎやしませんか? 森口博子は良かった。
鑑賞日:04月30日 監督:富野由悠季
ストレンジャー
何気に良かった。とても地味だけど。悪い奴が出てこないんだなぁ。現実の社会でも大多数の人間が己が正しいと思いながら生活する。しかしそれでも綻びを禁じ得ない退廃と興隆を繰り返す社会機構に形容しがたい感情を覚える。まさにご近所にもありそうな話なのである。堅実なお巡り役の元エルフとイギリス系テキサス男でちゃんと引き締まってました。邦題はどうかと思うけど、良作。
鑑賞日:04月29日 監督:ジョン・ドイル
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
内容は違えども、安堵できるラストは前作と共通している様にも思える。スタインベックを読み終えた時みたいな感じ。メタリカTが異常に似合うゴズリングから始まる物語は因果とは云うものの、子供の代まで不幸な地雷を踏みまくる。が、終わってみると脇役以外は良い奴ばっかりだったと云う気持ちの良い一本。最後のボン•イヴェールが沁みる。傑作。
鑑賞日:04月28日 監督:デレク・シアンフランス
日本の悪霊
全共闘臭が過ぎる気もしなくもない。どこらへんが罪と罰なんだかよく分からん。佐藤慶を始めとして、出てくる役者は好きな人ばっかりなのだが、印象に残ったのは岡林信康のみ。もうちっと映画の体を成していた方がと個人的には思う。まずまず。
鑑賞日:04月26日 監督:黒木和雄
グラスハウス
リーリー•ソビエスキーを眺めたいだけで観始めた訳だが、割りと楽しかった。火サスレベルの古典的なサスペンスとハムレットの超古典的な融合。アイズ•ワイド•シャットから数年で劣化しているのはいささか残念だけれども、それでも可愛いから色々と突っ込み所はあるものの全て良し。
鑑賞日:04月22日 監督:ダニエル・サックハイム
オカンの嫁入
条件反射かまんまと泣かされてしまった訳だが、いささかあざとさを感じなくもない。中途半端に片付けられる電車トラウマと桐谷のばあちゃんエピソード、バンバン置かれる布石。更には死亡フラグとあの手この手で泣かせにかかる。そんな設定で大竹しのぶにあの演技されたらウルっとくるのは仕方ない。それだけにやられた一本。
鑑賞日:04月21日 監督:呉美保
ワールズ・エンド
エドガー•ライト+サイモン&ニックって事でかなり期待して観に行った訳だが、前2作に比べるといささか笑いが足りなかった気もしなくはない。が、あの二人が動いてるだけで面白いから良し。ジョン•カーペンターと90年代の音楽愛がヒシヒシと伝わってくる。良作。
鑑賞日:04月20日 監督:エドガー・ライト
時代屋の女房
人情喜劇とは云うものの、やっぱりカオスな仕上がりになっている。森崎東作品を観ている感じである。少女Aの歌詞の如くじれったい色々。夏目雅子の美しさ故に許される、メンヘラ気味な面倒臭さではあるが、80年代当時の人間の距離感みたいなものを垣間見られる様な気もする。良作。
鑑賞日:04月17日 監督:森崎東
自転車泥棒
日本にもかつてあったであろう、敗戦国ならではの惨めさの連鎖。みなぎる殺気でもって自転車泥棒を捕らえるべくローマ中を行く父親と息子。疑心暗鬼に次ぐ疑心暗鬼の末に自ら手を汚し、更には息子に現場を見られる惨めさ。そんな大きな惨めさの渦中で固く手を握り合う親子に思わず熱い気持ちになる。要所要所でこの父ちゃんもモラルのなさを発揮するのはともかくとしても傑作。
鑑賞日:04月15日 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
ミリオンダラー・ベイビー
モ•クシュラと名付ける父親的なイーストウッドと教え通りに自分の(尊厳)をきちんと守る娘的なヒラリー•スワンク。血の繋がりが尊いのか気持ちが繋がる事が尊いのか、社会的モラルと宗教を越えた問題は実に重苦しいが、素晴らしい作品。その存在感で映画一本作れそうなモーガン•フリーマンの主役を喰いかねない脇役っぷりもお見事。
鑑賞日:04月14日 監督:クリント・イーストウッド
吹けば飛ぶよな男だが
薄幸のカトリック乙女と心優しきチンピラの哀しい哀しい物語...なのだが、山田洋次のまろやかさと森崎東の奇特さ、更にはミヤコ蝶々の存在感がごたまぜになり楽しい作品になっている。緑魔子となべおさみが交わす最後の会話の効果が素晴らしい。寅さん観終わった時と同じ気分になれる良作。
鑑賞日:04月14日 監督:山田洋次
女と銃と荒野の麺屋
こう云う作品がちゃんとしたリメイクなんだと感じる。チャン•イーモウ作品のその他多くと同様にいつの時代やら良く分からん昔の中国の時代設定はアレンジも色々と加えられてはいるんだろうけど実に魅力的。スリリングかつ美しく、キッチリ新しい作品にしっかり仕上がっている。それにしてもこの監督の金属系の効果音は実に気持ち良い。良作。
鑑賞日:04月13日 監督:チャン・イーモウ
チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~
寓話的で非常に観やすい反面、人の一生の厳しさと幸福の割合を感じさせるなんとも重苦しい映画でもあった。引き裂かれた方の女よりカミさんの方が圧倒的に痛い。ジュネっぽいと言われそうなのが残念ではあるものの、良作。
鑑賞日:04月11日 監督:マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー
ときめきに死す
指令を出すのはiPhone以下のスペックのパソコン。新宗教に飲み込まれた妙な世界と暗殺者と接待役。無機質さと静けさの中で微妙に蠢き出す3人の感情が実に眩しい。そしてラストで見事にぶちまける。良作。
鑑賞日:04月10日 監督:森田芳光
狂気の行方
思考回路の次元が違い過ぎて凡人にはサッパリワカラン神の世界を伝道する使命に燃える男だが、哀しいかな凡人にはやっぱり理解されない訳で。ミートローフ缶のオッサンに記憶のない父親と過保護な母親を比べていたかどうかは不明だが、そんなかんながトリガーとなって人間が変わっていく様はいずれにせよ痛哀しい。ペルーはともかくとして非常にリンチ色が強い作品だが、それよりも珍しく台詞の多いウド•キアーで全て良し。リンチくさい伝道師の歌のCDが欲しい。
鑑賞日:04月09日 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言
名作過ぎる。沖縄から原発問題まで今ではシャレにならん内容である。国家のシワ寄せの結果たる底辺の人間模様を諸問題と共にかなり露骨に描かれているのに、そこには卑屈さはなく人間の力強さに溢れている。会っているのに会いたいよォと云う悲痛な声を洩らし生きてきた倍賞美津子が映画最後で発する台詞は素晴らしいの一言。心底観て良かったと思わせる一本。
鑑賞日:04月02日 監督:森崎東
カール・Th・ドライヤー コレクション怒りの日
己の欲望から魔女化した事で見事に狩られてしまう訳だが、因果応報と云うにはあまりに不幸である。登場人物のそれぞれが強さと弱さを持ち合わせており、魔女化する可能性は誰しも持っている。複雑な人間社会において人を陥れる告発の怖さ、人が人を裁く怖さみたいなものを感じた。欲望に忠実になるにつれ表情豊かになる主人公が実に痛々しい。良作。
鑑賞日:04月01日 監督:カール・TH・ドライヤー
category: 映画レビュー
tags: 2014年映画レビュー