otom

嘆きの天使

Films: Aug.2024『嘆きの天使』ほか

Sep,01 2024 10:00

ちょっとしたトラブルで手がボロボロなものの、夏休み挟んでなかなかの映画本数な8月。
先月から続いてのトリュフォー祭りで『逃げ去る恋』、『終電車』、『隣の女』と大分進んでくる。
ふとした事から再鑑賞の『じゃりン子チエ』があまりに面白くて、TV版も併せて鑑賞中。久々の『その後の仁義なき戦い』とで食卓にお好み焼き~広島焼きが上がる事が多かった。
こちらも久々な小津安二郎『お早よう』に成瀬巳喜男『晩菊』、更には『釣りバカ日誌』の1と2に加えて、とにかく大谷直子が脱いでる藤田敏八作品『ダブルベッド』と面白いのが多い。
短いので合間に鑑賞のペドロ・アルモドバル『ヒューマン・ボイス』につられて久々の『キカ』もやっぱり傑作。
8月に亡くなったアラン・ドロン主演でベルトラン・ブリエ監督の『真夜中のミラージュ』にジャック・ベッケル監督『肉体の冠』とフレンチものの傑作も多かった印象。
変わり種も多かった月でエリア・カザンの妻バーバラ・ローデンの『WANDA / ワンダ』、ユホ・クオスマネン『コンパートメントNo.6』、フランク・ペリー『リサの瞳のなかに』といずれも質が高い。
そんなかんなでライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの『ローラ』が観たいが故にDVD入手のジョセフ・フォン・スタンバーグ『嘆きの天使』を8月の顔とする。
相変わらずミックス、マスタリング地獄な今日この頃だけど、9月も良い感じに映画を観たい。

観た映画: 2024年8月
映画本数: 24本

A Day at the Beach

子守失格な酩酊伯父(父)。雨の浜辺でひたすら飲み続ける男で、控えめな序盤からピッチの加速具合がヤバい。全ては自分のせいなのは理解しながらも止まらない駄目人間に容赦なく海風と雨が打ち付けられる悲愴っぷり。大人でさえ出歩きたくない様な天気と場所で、度々ほったらかしにされながらも愛情を一切失わない姪(娘)でそっちに同情する。一瞬登場のオネェ仕様のピーター・セラーズ。

鑑賞日:2024/08/30 監督:Simon Hesera


WANDA / ワンダ

全てをなくしながらも嘆くでもなく、只々流れのままにって云う大分無気力状態×結構パッパラパー属性の女。殆ど鈍臭いって言葉がピッタリの人間でありつつ、彼女には持たざる者の強さはない。悪党の道連れとなり片棒を担ぐ際に『私にはできない』と徹底的な自信の無さの露呈から、褒められて初めて見せる笑顔、そんな男を失い初めて見せる嘆きの涙とで緩急が抜群。ボタ山やハイウェイ中心の画に重要なシーンでサッと緑を入れる辺りも絶妙。全部抜き要求し、ピリピリする男の病的加減とざらついたか画面に後の『バッファロー'66』思い出しちゃった。エリア・カザンの奥さんにして才能の塊みたいなバーバラ・ローデン。長編監督作1本なのがとても残念。傑作。

鑑賞日:2024/08/29 監督:バーバラ・ローデン


肉体の冠

マネ、もしくはルノワール親子と張るくらいの光溢れる風景から最後まで川の流れの如くスムーズ。プンスカしてるとこから始まりうっとりホワ〜っとした顔、抑えきれずに抱きつくシーンにグッと見守るあの表情にと、ツッパリも黙りそうな黄金の冠を戴くシモーヌ・シニョレの演技が圧倒的。欲しいものは決闘で奪うってのが残る19世紀末のパリにて真っ直ぐ生きる男と籠絡に策略で対抗する裏社会の男の構図で、そんな揉め事の末の制裁の法律と私刑のやるせない部分が実にやるせな〜い感じで描かれる。人に対しての誠意がもたらすあれこれの行く末の描写が救いでもあり、美しくもある。傑作。

鑑賞日:2024/08/27 監督:ジャック・ベッケル


コンパートメントNo.6

ソビエト崩壊後の90年代が舞台って事で、経済ほか全体的に混乱中のロシアとフィンランドの長年のピリピリした関係とハンディカムやウォークマンとかの懐かしいツールにロシアンエレクトロの劇伴も納得。カウリスマキなんかでも良く描かれる微妙な距離感の隣国で、そんな時代の国の違う男女を準閉鎖空間でって云う犯罪発生ギリギリの設定からして面白い。そんな国同士の問題を図らずも孕みつつ、蔑視や疑心や誤解の入り混じる相席の中をモスクワからはるばる最北端を目指す2000kmの旅。からの、朝日の中、女がホントに欲しかった『クソったれ』と云う言葉とホントに見たかった絵はこれだったって云う一転して寒さを感じないラスト。とても良い作品。

鑑賞日:2024/08/26 監督:ユホ・クオスマネン


ドント・クライ プリティ・ガールズ!

何はともあれ、闇のバイブルの聖少女ちゃんが画になるので間が持つ感じ。一応事なきを得るNTR要素もフラフラする聖少女ちゃんの心が最後まで良く分からないので結構ドキドキする。ソ連支配下時代の社会主義国家と封建的なもんが色濃く残る時代とで、鬱屈とした若者のそれと、西海岸的な西側文化が微妙に入ってきてる時代の東側映画感で結構好きではある。も、垂れ流し音楽で緩急なくなってダレるのがちょっと残念。

鑑賞日:2024/08/25 監督:メーサーロシュ・マールタ


金融腐蝕列島 [呪縛]

公開当時以来。物々しい映像に川崎真弘劇伴のOPほか日比谷公園のクラリネット等々、原田眞人感は存分にあるにはある。対策本部系映画って具合で、詳細は分からずとも劇中でわちゃわちゃやってるのを眺めて楽しめる。いわゆる岡本喜八の『日本のいちばん長い日』から『シン・ゴジラ』的な路線。デビュー作にも『肉弾』出てたし、やっぱ好きなのが分かる。結構盛り上がるものの、原田眞人の主戦場じゃないって云うか話のスケールがデカ過ぎな気もしなくはない。やっぱり単身で向かって行くって話の方がこの人には合ってる気がする。脚本にも名を連ねていないので、その辺も含めて少し物足りない。若村麻由美のフェミ要素もややウザい。そんなかんななものの、腐っても原田眞人作品って事で細部含めてそこらの監督よりは出来は良いのは流石。役所広司と仲代達也の新旧役者対決はなかなか見応えがあるも、シロハタこと矢島健一のオーラがなくなってるのも少々残念。 元ネタの第一勧銀とノーパンしゃぶしゃぶってワードとで'90年代感がスゴイ。

鑑賞日:2024/08/23 監督:原田眞人


隣の女

久々。苦痛と相手なしでは生きて行けない超面倒な間柄でまぁ普通に考えたら不幸だわな。最初から不幸オーラ全開なファニー・アルダン(最近の我が家的にはオリヤーヌ)に汗汗してるドパルデュー、からのご乱心、からの予告なし心中で当人達はどうか知らんけど、側からみてると互いに関わった運命を呪うしかないって具合。兎にも角にもかくにも、下半身の抑制が効かないドパルデューと、昔のヤバい女が隣に引っ越してきたミラクル設定からして映画が面白くなってる。

鑑賞日:2024/08/21 監督:フランソワ・トリュフォー


晩菊

久々。貧しさ自慢な林芙美子全開な具合で、杉村春子以外が景気悪い。芸者上がりの中年女4人(全員強い)でそれぞれ幸せの条件が欠けてる感じ。ものは違えど平等に持ってない戦中派の女達の曲がり角で結構キツい話な筈なのに、杉村春子と望月優子の2人でコメディ要素を爆上げしてる印象。若さを捨て切れず飛び出す、イヤん♡とかモンローウォークで、まだ咲けますわよっぷりがジワる。そんなかんなで、目線移動なんかはあんまりないけど、箒の繋ぎとかしっかり成瀬作品って感じ。有馬ネコちゃん可愛い。

鑑賞日:2024/08/19 監督:成瀬巳喜男


ローラ

全編に渡るラブホテルみたいな赤と青の照明に照らされての表と裏との人間模様。普通のもんはまず作らないだろうの遥か斜め上を行くファスビンダーの『嘆きの天使』リメイクで恐れ入る。オリジナルが1から0になったのに対して、こちらの1とか0とかの次元じゃない破滅(挫折)っぷりがエグ過ぎて胃が痛い。崇高な意思を持つモラリストが資本や権利に屈する瞬間の瓦解っぷりと、現代の悪魔退治を失敗してるどころじゃないラストの救いのなさがまぁキツい。人の腐った部分を見ずに幸せと言える盲目加減が、幸福でもあるし不幸でもある辛口エンドで意地悪っぷりが流石ファスビンダー。ローラの部屋に人形置いてある辺りがギリギリ分かりやすいとこでオリジナル踏襲してる。傑作。

鑑賞日:2024/08/18 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー


釣りバカ日誌2

電話口で『ホワァッツ?』と言うハマちゃんではあるけれど、観てる側としては放置された前作の設定に対して盛大にはてなマークを付けたい、と云うかそこで1時間くらい話を広げられそうなのに勿体ない気がする。嘘の上塗りをしてハマちゃんを窮地に立たせつつ、微妙に救済するって云うスーさんで話は面白いとこ沢山あるんだけども全体としては締まりに欠けてる感じ。ほのぼのしてる感じは相変わらず良いけど。バブリーないかついファッションでも美しい原田美枝子で、その辺のバランスは取れてる。

鑑賞日:2024/08/17 監督:栗山富夫


嘆きの天使

淀川さんの有難い解説から鑑賞スタート。最初から道化感全開って具合なエミール・ヤニングスで、その辺りの伏線が終盤に向けて見事に活かされてる。現代の感覚だと全体的に太めなマレーネ・ディートリッヒの脚と色気に速攻でメロメロになったのが運の尽きって感じで、悲鳴と鳴き声の混じった様な屈辱のシーンまで一つずつ丁寧に積み上げる(落とす)スタンバーグで見事。ゴミを見る様な目つきと冷酷さのオマケを最後に女から喰らい、己の場所であった筈のとこにしがみついて果てる寒々しいラストまで実に素晴らしい。お洒落なズームやパンを駆使した映像もとても良い。羽根つきブロマイドをフーッてやってるとこの顔とか見直すと死にたくなるわ。傑作。

鑑賞日:2024/08/17 監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ


真夜中のミラージュ

傷心からくる酩酊に妄想に悪夢系でボロ雑巾みたいなアラン・ドロン。最初の列車のシーンだけちょっといい男以降、女性像の願望の構築作業が上手い事行かなくて途中から大変な事になる。止まらないビールに人間の増殖に次ぐ増殖のあたりで、ちょっと違うけど『日々の泡』的な色濃いフレンチ不条理感でえらい事になる。完璧にビールが補充されたソファーから手の届く冷蔵庫!!のとこでもう駄目だこりゃって具合で最高。夢想は良い感じの時に起こされるのは世の常で現実へと戻る訳だけど、ナタリー・バイの笑顔締め(仏頂面も可愛い)のハッピーエンドで良かった良かった。あと、各シーンのスイッチみたいな鏡の使い方も絶妙。ベルトラン・ブリエはほんとハズレがないな。

鑑賞日:2024/08/16 監督:ベルトラン・ブリエ


釣りバカ日誌

久々。何はともあれ合体。24時間働けますかの時代に、働けませんとのんびり行く感じの内容でヒットも納得。西田敏行の癒し系笑顔から始まり、基本的に善人しか出て来ない優しい世界。脚本が良く出来てるので、全然釣りに興味がなくても楽しめる。

鑑賞日:2024/08/16 監督:栗山富夫


キカ

久々。恋多きキカは出会いの段階から全然ツイなかったって話で、よくよく考えると指輪以降が結構壮絶。過去の入れ子と云うか、原因と結果の繋がりの筋立てが絶妙。アルモドバルの極彩色なセットをバックにサスペンスとしょーもないシーケンスとの塩梅も良い感じで、バランス良く出来てる。世にも明るいレイプシーンでホントどうかしてるって感じ。攻め過ぎなゴルチエデザインの乳出しコスと乳業スポンサーで更にどうかしてて面白い。で、ソニーが強かった時代でしみじみ。

鑑賞日:2024/08/15 監督:ペドロ・アルモドバル


終電車

久々。劇中劇場内の行ったり来たりの演出とカメラワークが実に滑らか。冷酷に見えるくらいに気持ちを隠して我慢するカトリーヌ・ドヌーブと地下の夫含む時が訪れるまでじっと我慢するパリ市民とで、そこからの解放が実に感動的。で、時には階段から、時にはテーブルの間からしっかり美脚を捉えるトリュフォーで流石。抑圧に対しての舞台袖の通気口ほか、大小様々な工夫も実に面白い。我慢の渦中においてのジャケにもなってる初日のキスの衝動がまた素敵。

鑑賞日:2024/08/14 監督:フランソワ・トリュフォー


お早よう

20年振りくらい。無駄口こそ社会の潤滑油って事で、久我美子の前でキリッと正論かます佐田啓二の下りで要約されるんだけど、最後の駅のホームのとこがホント良い。映画補正な綺麗な長屋セットとはいえ、そこで展開される大小様々なドラマの完璧な脚本と演出って具合で素晴らしい。そして無駄口と同じくらい、鬱陶しいくらいの距離感ってのも健全な社会には必要だと思われる。テレビどころか既に一億総白痴化が完了している現在で、今の子供はスマホ買う買わないでゴネる感じだと思うけど、叱られたりする厳しさの面では大分緩くなってる気がする。物が足りないくらいで、上を目指す社会のエネルギーが現代からだと逆に眩しく見える。いつでも最高な杉村春子はきっちり杉村春子してて最高。

鑑賞日:2024/08/13 監督:小津安二郎


ヒューマン・ボイス

パンデミック下の制約の中で撮影との事で、それを逆手にとったアルモドバルのアイデアの妙って具合。どーんと設置された虚構ですって舞台に、初期作品から毎度お馴染みなお洒落内装、ティルダ・スウィントンのひとり芝居と上手いとこだらけなんだけど、斧から始まっといてからのオチが洗練されてると云うか、上手なミスリードの仕方でこれこそアイデアだわなと感心してしまった。

鑑賞日:2024/08/13 監督:ペドロ・アルモドバル


その後の仁義なき戦い

久々。仁義なき戦いより青春群像劇具合が増してる感じ。若者が消費され儚く散るってのは共通してるけども、'70年代後半の時代に合わせた仕上がり。根津甚八、宇崎竜童の当時の寵児達を仁義なき面々で支えるって図式と、工藤栄一の冴えてる演出の数々で改めて良く出来てる。しげる爆誕のストーリーの絡みも良い。アク強なショーケン、泉谷しげるの出し所も絶妙。そんな中で、『ウチにもギラギラした思い出ば作って』ほか、ラストまでのすべての出演シーンで別次元な可愛さを発揮するマックスに強い時期の原田美枝子がいなかったら評価も変わってる気もしなくはない。

鑑賞日:2024/08/12 監督:工藤栄一


逃げ去る恋

久々ドワネル5作目。アラン・スーションのOPテーマからして良い。過去映像満載で、万策尽きてる風でありながら過去からの話を上手い事まとめ上げ、それをやりつつ現在形の話のすったもんだな起承転結でスッキリ綺麗にまとめる天才的なトリュフォー。後悔と航海で傑作。

鑑賞日:2024/08/10 監督:フランソワ・トリュフォー


ダブルベッド

藤田敏八って人はどの作品も実にエロスを良く分かっていらっしゃる。縞パンに風呂の陰毛に素で履くジーンズにと細かいとこから、濡れ場の細かーいとこまで、なんなのってくらいにリアル。演技派にも程がある大阪のオバちゃんみたいな髪型した大谷直子を筆頭に石田えり、高橋ひとみと、中太細の絶妙かつ俺得なとこを揃えてる感じがまたニクイ。荒井晴彦の女性に厳しめな話でありつつ、それぞれが身体張って最後は爽やかな感じに変わってく演技で見事。憂鬱なハイエナこと榎本明と半ケツで動く岸部一徳と男性陣も良い。学生運動からバブルと好き放題やってる世代の無駄なエネルギーってのはここを最後に日本からは失われてしまった感があって淋しくもある。と、バラエティー豊かな宇崎竜童劇伴も良い感じ。ライオンの交尾について熱く語る鈴木清順と吉行和子のシーン最高。

鑑賞日:2024/08/08 監督:藤田敏八


毛皮のビーナス

モンドな劇伴にパキッとしたロケーションと撮影の感じは大好物。付いて行けない(行きたくない)男の性癖とそれに見合う理想的な女をせっせと作りあげるって云う文学的な元の基本筋は面白い。惜しげもなく露出するラウラ・アントネッリも良いんだけど、どうにも演出が単調と云うか濡れ場も含めて退屈なシーンが多いのが残念。

鑑賞日:2024/08/06 監督:マッシモ・ダラマーノ


じゃりン子チエ

TV版を観始めたら、それより前に上映していたとの事で再鑑賞。後のTV版のクオリティの高い序盤は殆どここからな感じな模様。小鉄が住み始めるあれこれや、ペコちゃん→アラレちゃんがちょっと異なったり、ゴジラ、寅さんやらの小ネタも楽しい。そんなかんなでなんて事ないシーンも派手なシーンも演出力と作画力がやっぱり圧倒的。吉本な声優群の中でアントニオ+Jr(CV: 横山やすし)がこれまた良い仕事してる。で、父アントン剥製化とジュニアが登場した時の博打屋のオッチャンにかなりジーンとする。猫ってのはやっぱりにゃんたまがあるのが自然だわな。大阪飯テロ映画でもある。

鑑賞日:2024/08/04 監督:高畑勲


リサの瞳のなかに

誰かが作ったマーゴ・ガーヤンの曲(名曲)のMV観た流れで。ボーマン船長デビュー作って事で、『バニー・レイク〜』然りで、端正な顔立ちとは裏腹に壊れた役柄が多いキア・デュリア。真の意味での治癒のあり方とは何ぞやと考えさせられる出来で、大人の社会と無垢との間の末に少年少女がただ手を繋ぐだけって行為にキュンキュンくる。シガレットケースの伏線もとても良い。後の『泳ぐひと』同様に心の脆さを描くのが実に上手いフランク・ペリーで実に素晴らしい作品だった。リアルタイム翻訳で韻を踏んだりしてカオス感マシマシなのも、それはそれで面白かったけどソフト化してー。

鑑賞日:2024/08/03 監督:フランク・ペリー


ウルフ

狼男の話のフリした社内の権力争い映画のフリした狼男映画って事で、マイク・ニコルズ作品だからって期待すると微妙な目に遭う。ノーメイクで行けそうなシャイニング状態のジャック・ニコルソンで、変身で毛深くなるのは勿論なんだけど、頭髪は程々にって云う制作サイドの配慮がジワる。緩い感じで眷族が増えてくちょい雑ストーリーで、ミシェル・ファイファーにジェームズ・スペイダーにキャストは良いのに残念な具合。モリコーネ劇伴もつられてモヤっとしてる感じ。今の時代に見るとショボいメイクではあるけれど、アナログで一生懸命やってる感は結構好き。

鑑賞日:2024/08/02 監督:マイク・ニコルズ