Films: Dec.2024『奇跡の海』ほか
Jan,09 2025 10:30
極端に映画の本数が減った12月。
月が明けて早々にTVが故障、その後年末の忙しさやなんやかやで新しいのが届いたのがクリスマス頃でそこからようやく。
復帰に相応しく、久々の『ストップ・メイキング・センス』から。
アニメーションのあるべき姿とも云うべき『リンダはチキンがたべたい!』にシャルロット+ルコントの『フェリックスとローラ』となかなか濃密。
ラース・フォン・トリアーの暫く観てなかったやつを徐々にと云う事で『奇跡の海』、急にもう一回観たくなった『キングダム エクソダス』で2024年締めとなった。
そこからの年始はなかなか良いペースで映画を見ている今日この頃。
観た映画: 2024年12月
映画本数: 6本
キングダム エクソダス
ヤッホー。何となく2024年ラストに再見。兎にも角にも地獄やら王国やらの門を開くのが好きなラース・フォン・トリアー。大バビロンのお子達の巣窟と化したアンチクライスト全開なキングダム。綺麗に帳尻合わせながら、タルコフスキーにベルイマンにレオーネ+モリコーネ等々の監督の好き要素と過去作役者登場含む集大成な具合。そんなかですっきりサッパリ片付いててお腹一杯。
鑑賞日:2024/12/31 監督:ラース・フォン・トリアー
リンダはチキンがたべたい!
アニメーションって云うのは動いてナンボってのを再確認。胡座をかいて劣化を辿り、絵柄主体で妙に固い最近の日本のとは異なり、'70年代後半の高畑勲らみたいな生命力を感じる。カラフルなんだけど柔らかさのある配色、細かいモーションをテンポ良く繋げて良質な作品に仕上がっている。『泥棒かささぎ』ほかの音使いも最高。で、愛着を持って*を描き入れる100%猫好きな猫描写で満点上げちゃう。パプリカ・チキン食べたーい。
鑑賞日:2024/12/29 監督:キアラ・マルタ, セバスチャン・ローデンバック
ヨーロッパ新世紀
ここから見れば全部西って事で、事の発端となる西側の植民地政策から始まり、資本主義の破綻とグローバリストのせいで滅茶苦茶を先取りしつつ、現行で荒れまくってるEUの実態。西欧と東欧の中間に位置する場所での問題のみならず、歪さを増す我が国においても他人事ではない。異端審問会場の如くな長回しの下りの住民のぶちまける怒りが真理だと思われる。固有の文化を消滅させる様な新世紀は勘弁願いたい。と、『夢二のテーマ』で哀しさ倍増。
鑑賞日:2024/12/28 監督:クリスティアン・ムンジウ
奇跡の海
20年振りくらい。罪と罰からサクリファイスに村八分ものとラース・フォン・トリアーの好きとお得意要素が詰まった絶頂期の一本。時期的に病院描写と愚者描写もお手のもんな具合。きっちりしっかりドグマ'95の掟を守りつつ、プロテスタントの国の信仰のあれこれを描く。鐘は教会と云う場所で鳴るものではなく、祝福されるべき者の元では海のど真ん中であろうと鳴り響くと、なんだかんだで良い奴(黄金の心)っぷりを醸し出す監督。圧巻なエミリー・ワトソンの演技からウド・キアーの海のヤバい男まで役者陣も素晴らしい。で、ターナーみたいなボヤ〜っとした絵面の幕間における鉄板選曲と、スコティッシュ舞台に合わせた劇伴選択からのバッハ締めで完璧。
鑑賞日:2024/12/26 監督:ラース・フォン・トリアー
ストップ・メイキング・センス
トーキング・ヘッズ観たい時にYouTubeなんかで断片的に観てたものの、通しは実に30年振りくらい。曲自体と演奏力のレベルの高さは当然として、ショウの組立て力が異常。アコギ+ラジカセ+デヴィッド・バーンの『PSYCHO KILLER』からのメンバー集合、そこからクライマックスの全盛期感のある早めな『ONCE IN A LIFETIME』、トム・トム・クラブ挟んでの『GIRLFRIEND IS BETTER』とデカ肩パッドの流れは鳥肌もの。素晴らしいの一言。
鑑賞日:2024/12/25 監督:ジョナサン・デミ
フェリックスとローラ
移動遊園地の男の元へフラリとやってくるニャンコみたいな女って云う不安定要素盛り。ゴスメイクで可愛いと微妙の中間を行きつつ、やっぱりなんだかんだで可愛いを醸し出すシャルロット。超面倒臭いんだけど、謎を気取ってしまう30代女のある意味『本物の哀しさ』とそれを受け入れる男の大人の愛情って事で、この頃のルコントっぽい仕上がりで良い。若干、リンチ方面に引っ張られてる感もあるけど嫌いじゃない。MVでそのまんま使えそうなオーティス・レディングのシーンとか凄い好き。
鑑賞日:2024/12/09 監督:パトリス・ルコント
category: 映画レビュー
tags: 2024年映画レビュー, ジョナサン・デミ, パトリス・ルコント, ラース・フォン・トリアー