
Films: Sep.2025『ヴァージン・スーサイズ』ほか
Oct,01 2025 12:30
延々と終わらない作業をひたすら続けながら、何やらバタバタしていた9月。
長かった久々ガンダムシリーズも1stから始まって『閃光のハサウェイ』までついに終了。入れ替わりで『銀河英雄伝説』を観始めて、毎日『銀英伝』の時間が楽しみでしょーがない。
そんなかんなひと月は降旗康男監督『駅 STATION』より。
久々の成瀬巳喜男『娘・妻・母』、神代辰巳『噛む女』と久々シリーズは安定の面白さ。
初鑑賞の日本映画としては、内田裕也主演、宇崎竜童!監督作品『魚からダイオキシン!!』に庵野秀明監督初実写作品『ラブ&ポップ』、継続中の山本政志監督『ジャンクフード』とクセモノ揃い。
先月に続いてグレッグ・アラキ監督作品『ノーウェア』、『スマイリー・フェイス』も非常に良い。早く他のも観たい。
その他の初鑑賞作品はアラン・レネ監督『ジュ・テーム、ジュ・テーム』、ロイ&ジョン・ボールティング監督『戦慄の七日間』と良質なのが多い印象。
高クオリティ低予算系もなかなか熱かったひと月で、エレーヌ・カテト+ブルーノ・フォルザーニ『デス・バレット』にブルーノ・コルブッチ『暴走ひったくり750』、ポール・ドノヴァン+マウラ・オコンネル『真夜中の処刑ゲーム』とどれも強烈。
そんなかんなで9月の顔はこちらも久々なイングマール・ベルイマン『第七の封印』等々で悩んだものの、ジェフリー・ユージェニデス著の原作『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を読んだ事もあり、『ヴァージン・スーサイズ』に決定。こっちの青春も蘇る。
そんなかんなな9月。
しばらくミックス、マスタリング作業もスムーズだったのに再びドツボな今日この頃。
観た映画: 2025年9月
映画本数: 18本
ヴァージン・スーサイズ
原作『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を読んだので久々に。一世を風靡したと言っても過言ではない今作だけども、とりあえずヘビトンボは綺麗さっぱり出てこない。少女達の自殺は地方や一時代の破滅の予兆だったって云う原作に対して、ほぼ原作忠実ながら風呂に入らないとか性病等々の退廃的でダーティーな描写を華麗に回避し完璧にガーリィな何かへと昇華させてしまったコッポラちゃん。透明過ぎて目視できないレベルな絶頂期キルステン・ダンスト起用も含めていまにして思うと処女作にして最高傑作だわな。公開当時、渋谷の某封切り劇場に勤めてた時の思い出がバンバン蘇ってくる思い出作品でもある。場内への客入れで死ぬほど観たコレの日本版の予告は流れる曲が良いってのもあるけどホント良く出来てると思う。で、原作には出てこないドット・ラングレンのチョイスとかも神がかってる。エールのスコアも聴きまくったな。傑作。
鑑賞日:2025/09/30 監督:ソフィア・コッポラ
戦慄の七日間
戦後間もない頃に公開って事で、当時の核開発のイギリスへの警鐘と未だ記憶が冷めやらぬ市民の状況とでなかなかのリアリティ。隠蔽から公表、避難に包囲と段階を経て、神の創造の逆を行きながらきっちりドキドキが増す仕上がりで実に良く出来てる。火曜日の猫屋敷以降はワンコ映画な具合。以降、抑止力保持の必要性で世界は愚かな方向へと進んでいる訳だが、現在のイギリス及びヨーロッパ等々、科学とは全然別の方向から国家が壊される事になるとはって感じでなんとも言えない気分。
鑑賞日:2025/09/29 監督:ロイ・ボールティング, ジョン・ボールティング
娘・妻・母
久々。若い方から終始金の話をしている具合。あんまり目線で繋げるみたいなのがなくなっているものの、程良い緊張感を保ちつつもどこかほのぼのしている感じ。兄弟は他人の始まりに対して血縁関係じゃないからこそ発する情みたいなやつが上手い事混ざり合って極上のドラマを形成しててやっぱりお見事。主演ツートップの2人共控えめな役柄ながら、かたやキッスシーンにかたや全板挟みの中央とでよくよく考えると結構スゴイ。年寄りサイド役の三益愛子と杉村春子も良い。自発的老人が妙な方向へ行ってる現代の年寄りは見習って欲しい。
鑑賞日:2025/09/27 監督:成瀬巳喜男
第七の封印
久々。神の沈黙に対して死神との問答がバラエティ豊かな具合。見渡す限りの地獄絵図、ヨハネの黙示録的な終末感の中で、いっときの平穏を心に留めるって気持ちが歳を取るほど理解できる。後の捻くれた監督の面々に使われるビジュアルイメージ含めて実に良く出来ている。傑作。
鑑賞日:2025/09/24 監督:イングマール・ベルイマン
真夜中の処刑ゲーム
警察スト中のN.Oの台頭って事で、コイツらの新ならぬ無秩序さがサンドイッチの小さなとこから始まって、サイレンサーでの殺戮の大きなとこまで超悪い。ゲイバーの下りから流れる様に籠城戦へと変わるんだけど、場面変わってもまたドキドキする上にDIYな迎撃が思いのほかエグくてその辺りも最高。で、舞台装置としての間取りが出来過ぎかつ、かなり萌えるやつ。伏線に次ぐ伏線で、アンプのやつとか小さなナイフの顛末とか回収が混沌の劇中と打って変わって実に秀逸。からのオチで低予算っぽいのにクオリティが異常。
鑑賞日:2025/09/22 監督:ポール・ドノヴァン, マウラ・オコンネル
ラブ&ポップ
庵野秀明(新人)って事で、旧世紀における実写初監督作品。彼氏彼女の事情と同時期で演出の感じもデジカメの感じも結構被ってる印象も、きっちりらしさは出ている。役者=キャラで演技力的なものを殺しにかかってるのは作風って事で良しとしといて、女子高生のいちばん長い日をやりたかったってのは伝わってくる。探しものはなんですか〜、見つけにくいものですか〜♪と云った具合。援交の相手がレンタル屋のキモいのとキャプテンEO浅野の2人ともハズレでマヂウケるんですけどー。友情出演林原めぐみも良い。
鑑賞日:2025/09/20 監督:庵野秀明
暴走ひったくり750
窃盗のバラエティは数あれど、生ケツからってのは初めてかもしれない。役職に恵まれてない感じからしてセルピコリスペクトなトーマス・ミリアン(+ねずみ)なんだけど、本家より背も高いしバイク乗るしで何やらこれはこれでカッコいい。シドニー・ルメット的社会派とは別のベクトルなんだけど、犯罪の構図をよくよく考えると結構社会派。所謂バイクアクションとしてはショボいんだけど、通過する場所の数々がまぁ個性的で結果アクション的にはきっちり満足できる具合。大事なとこでジープ乗るけど。何はともあれ、敵役のジャック・パランスも見るからにって感じでイイ。ひったくりがご縁のマリア・ロザリア・オマジオ可愛い過ぎー。
鑑賞日:2025/09/18 監督:ブルーノ・コルブッチ
鑑賞用男性
モードな有馬ネコちゃんのサムネに引っ張られて。ミッドセンチュリーなあれやこれにアニメーションにと視覚的には申し分ない感じで楽しい事この上ないんだけど、他の作品と同様に個人的にいまいちノレない野村芳太郎作品。『女性上位時代』とか結構先取りしてる感じなのになんでだろ。何してても可愛いネコちゃんに、世代的に髪があると違和感のある杉浦直樹に役者陣は活気があって良い。『翔べ! ガンダム』の出だし(逆に)みたいなんだけど、一音でらしさを出す中村八大劇伴はキャッチーで素晴らしい。と、予算委員会の委員長ボイスの上手い左卜全。
鑑賞日:2025/09/16 監督:野村芳太郎
スマイリー・フェイス
可愛い顔してひたすらラリった表情を保ち、デロンデロンなアンナ・ファリスが良いので満点あげる。美味しいカップケーキから始まりあれやこれで、事故と云うか災難と云うか手に入りやすい社会に問題があるとも言える。そんなかんななピタゴラドジっ子っぷりでこれはどう終わるかと思いきや、ドラッグ啓発に問題ある資本主義を軽く糾弾し、共産主義はぶちまけてしまえと云うグレッグ・アラキ。ストーン・ローゼスから始まり、ケミカルにMojave3等々で相変わらずスローダイヴ周りが好きなチョイスもなかなか。
鑑賞日:2025/09/15 監督:グレッグ・アラキ
魚からダイオキシン!!
かなりロックしてる。内田裕也とモッくんの後の義理の親子中心にズラリと役者陣が凄い。海の中からYUYAに始まり、『パワー・トゥ・ザ・ピーポー』のアレがあり、その後って感じ。狙いまくって破綻してて、なんだか映画的には酷い気もする。んだけど、やたらとセンスある構図と演出をちょいちょい挟んでくる監督・宇崎竜童とYUYAの存在感でどうにかしてしまう力技と云うか、どうにかなってしまう存在感だからこそな感じで訳の分からない謎の説得力がある。海底トンネルで地続き設定の軍艦島!!の、現在の観光客が入れないゾーンでの無茶なロケも結構貴重。映画はスターがいれば成り立つって云う、プレスリーの時代から加山雄三を経て'90年代にYUYAがやったみたいな感じ?ラストのヤバいの含め総じて最高。まぁでも今時の難民問題の惨状見てると、この人が都知事にならなくって良かったとは思う。平和なJapanが懐かしい感じ。
鑑賞日:2025/09/14 監督:宇崎竜童
同胞(はらから)
演劇にコーラスにと丁度自分の親くらいで、この世代の一定を占める思想が満載って感じ。あまりに共産主義っぽくて気持ち悪いってのが正直なところ。一に団結、二に団結ってな具合で、これに金払うのって云うよく分からん幸福と楽しいの押し売りから始まり、青年団、村人、劇中って云う統一の入れ子状態(この演出の上手さには参る)で、ちょっと付いて行きたくない感じ。過疎の問題提起としては、時代的にも使命感はあっただろうし、映画としては流石に上手いとは思うけれどもねぇって感じ。豊穣の秋に俺たち結構やったなENDだったけど、個人的には若い市毛良枝(東京に出て垢抜ける前の田舎少女仕様)が可愛いのが一番の収穫だった。繰り返し流れるあの歌が夢に出てきそうで困る。
鑑賞日:2025/09/11 監督:山田洋次
ジャンクフード
90年代の都会のアングラ模様詰め合わせって感じ(怖)。日本とは思えない多国籍っぷりなんだけど、今の時代からしてみるとこのくらいが丁度良い気もしなくはない。ド闇な具合なダーティーさの中にきっちり美しいものを挟んでくる作りで、これ以前の作品同様に上手。
鑑賞日:2025/09/09 監督:山本政志
ジュ・テーム、ジュ・テーム
SFをやるには莫大な予算がなくても行けるって云う良い例。寧ろ今の時代の方が頭使ってない感じすらする。時間の断片をフィルムの切り貼りでやる映画ならではの手法で、タイムリープで過去に戻るって云う劇中の基本目的から過去から現在至るまでの構築をドラマチックに行う。時間軸でやったら大した話じゃないって云うのを切り刻む事に意義がある感じ。相当参ってる瞬間が多く、結びはなるべくしてそうなるって具合。あの楽しかった時間は遠いって事で残念無念だわな。そんなかんなで低予算っぽい作品の中で象徴的な巨大な球根かニンニクみたいなアレな訳だけど、置いてあるだけで存在感があるってのがまたスゴイ。人間はネコの世話をする為に作られたって云う納得理論。バッハみたいなペンデレツキ劇伴が超不安になる感じで最高。
鑑賞日:2025/09/08 監督:アラン・レネ
スペシャリスト
2人なら不可能も可能になるんだゼとこれは良いバディムービー。冒頭のリポDばりなハードな逃亡劇のところから想定外の連続って感じなんだけど、それらが実に自然な感じに収まって行く上手さ。からの出来過ぎ作業員って感じの金庫シーンからカーチェイスの回収(詰まるBMW)まで構成が見事。なかなかに緻密にやっておいて、ラストのあの世にもデカいタイヤの力技ってな具合でかなりエンタメしてる。
鑑賞日:2025/09/07 監督:パトリス・ルコント
ノーウェア
熱い時代のLAから宇宙レベルな孤独ENDでえらい泣ける。またしてもなSlowdiveから始まって、青春時代のあれやこれのサウンドでガッチリ固められていて堪らん。2000年前のファッションのあの感じとこの世の終わり感もまたグッとくる。劇中の全てが空虚でしょーもない若者の実態な感じでありながら、今の時代から振り返ってみるとカルチャーレベルがやたら濃かったんだなとしみじみ思うわー。最高。
鑑賞日:2025/09/05 監督:グレッグ・アラキ
噛む女
基本的に女性に対してとことんキビシイ扱いから最後はひっくり返されるって云う神代辰巳っぽい仕上がり。出てきた瞬間に何やら腹に溜め込んでいる風の桃井かおりで、激情なしに表現するその辺の演技力は流石。エロくて片付いてみれば結構良い女だった余貴美子もなかなか。結果、雌にしてやられる永島敏行なんだけど、神代自作の『恋人たちは濡れた』に『晩春』、もう一つは分からんの挟んで学生運動の映像、会社の名前は『ギャンブラー』とアダルトな業界に甘んじモヤモヤする現在とかつての理想とのギャップに苦しむ青春の蹉跌ってな具合で、女と両方から責められててどんどん哀れになってくる。本心はカメラ通してだけってのも泣ける。身から出た錆+ミドルエイジクライシスって云うどうにもならん感じが良く描けている一本。嘆きの天使飾ってパコ・テ・ルシアっぽいの流してる劇中の竹中直人の店良いなー。
鑑賞日:2025/09/04 監督:神代辰巳
デス・バレット
マカロニっぽさをベースにしつつもきっちりフレンチしてる。パキッとした空と海の青さと黄金と、世にもイケてる黄金水描写が印象的な全編MV仕様って具合で、クドいほどに拘りを感じてかなり好き。オマージュ的モリコーネ使いにサイケなやつにと劇伴も抜かりない。すっかりシワシワになりつつも、露出しながら妙な色気を振り撒くエリナ・レーヴェンソンはやっぱり最高だった。
鑑賞日:2025/09/02 監督:エレーヌ・カテト, ブルーノ・フォルザーニ
駅 STATION
久々。今の大人のソレとはなんとなく違う、この頃の大人のつらいに溢れてる倉本脚本。『あにき』とも色々と被ってる。役者にスタッフにと東映、松竹の良いとこ取りしたって感じの東宝映画でどうしたって力作って感じ。駅ってものを中心に見送り見送られ云々をやるんだけど、なんだかんだで綺麗にまとめてくるから流石。で、全編美しいのお手本みたいな木村大作撮影は、ただでさえ雄大な北国をマシマシな感じで収めている。全盛期な宇崎竜童劇伴と結構重要なチョイ役も良い。何はともあれ、『樺太まで聞こえるかと思ったゼ』の束の間の幸福期を挟む、八代亜紀の三段活用は泣ける。傑作。
鑑賞日:2025/09/01 監督:降旗康男
category: 映画レビュー
tags: 2025年映画レビュー, アラン・レネ, イングマール・ベルイマン, グレッグ・アラキ, ソフィア・コッポラ, 山本政志, 成瀬巳喜男, 神代辰巳, 降旗康男









