Films: Apr.2012『独立愚連隊』ほか
May,01 2012 15:45
最近は暖かくなってきたせいか、土臭いのとかキューバっぽいのを欲している。
そんな今日この頃。
観た映画: 2012年4月
映画本数: 29本
鑑賞時間: 3169分
ブルークリスマス
監督 岡本喜八、脚本 倉本聰と云う変な組み合わせの社会派SF超大作。巨匠2人が組んだだけあって、話の筋も見せ方も一級品ではある。この頃の倉本聰は北の国からしかり、やたらとUFO絡みのがやりたかったのでしょうねと云う印象。幸薄な竹下景子はやっぱり可愛い。
鑑賞日:04月30日 監督:岡本喜八
さらば夏の光
岡田茉莉子 in ヨーロッパって事で、豪華オールヨーロッパロケの吉田喜重作品。ヨーロッパに住み、失われた日本を探し求める女とまだ見ぬカテドラルを日本から探しにきた男のウザいくらいのメロドラマを全カットが絵葉書並みに冴えまくる吉田喜重監督の映像で描かれる。日本人2人がヨーロッパ各地をウロチョロしてても全く違和感なく撮る吉田喜重の凄さ。少女マンガばりのお話と完璧な映像の変な組み合わせが癖になるのだな、きっと。
鑑賞日:04月28日 監督:吉田喜重
夜になるまえに
キューバの亡命作家レイナルド・アレナスの伝記との事で、作品を読んだ事もなければ、名前すら知らなかったのだが、とにかく素晴らしい。壮絶なアレナスの人生の中でも特にキューバの混沌の中で流れるマーラーは汚ないものと美しいものを同時に見た様な感覚にさせる。シュナーベルのざらついた質感の美しい映像表現の数々も見事。傑作。
鑑賞日:04月26日 監督:ジュリアン・シュナーベル
ブラック・ダリア
決っしてつまらない訳ではないのだが、話の筋がゴチャゴチャして、どうにも中途半端な印象。デ•パルマのお得意の複数画面が出てこなくて少し残念だが、味のある場面がチラホラとあったのは良かった。まずまず。
鑑賞日:04月25日 監督:ブライアン・デ・パルマ
モンスター
体張った女の役をシャーリーズ•セロンが文字通り体を張ってる何だか凄い作品。シャーリーズまだー?ってくらい酷い外見とは裏腹に、中身はかなり従順な乙女な感じがまた切ない。計算高く意のままにシャーリーズ•セロンを動かすクリスティーナ•リッチとどっちがモンスターなのでしょうかと云う撮り方に感じた。唐突に流れるジャーニーが結構効く。なんとも悲しい映画である。
鑑賞日:04月24日 監督:パティ・ジェンキンス
アンナと過ごした4日間
こんなに壮絶な片思いも、キモいオッサンでなくイケメンだったら何の問題もないのでしょうね。不法侵入されてたら、そりゃふられるのは仕方ない。冤罪の方はともかくとして、許されただけ幸運な気がする。しかし、こんなにキモイ内容なのに、張り詰めた空気と映像の美しさはかなりのもの。不器用な男が不器用過ぎて、それが切なさを深くする。良作。
鑑賞日:04月23日 監督:イエジー・スコリモフスキ
独立愚連隊西へ
前作とは別物の今作だが、こちらも何度観ても面白い。役者陣も前作より豪華。とにかくお話、映像ともにテンポ良く、全く飽きない。そんな中で、実際に戦争を体験した岡本喜八監督だからこそのアイロニーがキリリと光る。問答無用の傑作。
鑑賞日:04月23日 監督:岡本喜八
エッセンシャル・キリング
ヴィンセント•ギャロが白銀の世界をひたすら逃げる。セリフも説明もほとんどない作品ではあるものの、生に対する執着と不毛なイメージの大地の対極が圧倒的。そして、喋る事のできない男と女。"欠くことのできない殺人"とは生きる為の必要悪の事なのか、はたまたアメリカさんの様に自分達が生き残る為の必要悪を指すのか定かではないが、強烈な一本。
鑑賞日:04月22日 監督:イエジー・スコリモフスキ
オレンジ・カウンティ
かなり良くできた映画だと思うのだが、日本未公開らしい。主役じゃないのにジャック•ブラックの存在感は圧倒的。この人が出ている映画は全部好きな気がする。
鑑賞日:04月21日 監督:ジェイク・カスダン
独立愚連隊
何度観ても傑作以外の何物でもない。岡本喜八作品はどれも好きだが、やはり独立愚連隊は群を抜いている。豪華な出演の中でも珍しくイタイ役の三船敏郎はかなり希少価値が高い。江原達怡のセリフ「迷わず靖国行くんだゼ」は胸に響く。こんなやるせないセリフをユーモア混じりにさらっとやるところが岡本喜八監督の素晴らしいとこな気がする。
鑑賞日:04月18日 監督:岡本喜八
二十日鼠と人間
先日の『怒りの葡萄』に続いてのスタインベックもの。原作を損なう事なく、きちんと表現されている。シニーズ、マルコビッチの両者の演技も素晴らしい。個人的には『ツインピークス』でお馴染みのシェリリン•フェンが出ているだけで、ランクアップしたい。老犬の伏線も印象強く、ラストに上手く繋がる。良作。
鑑賞日:04月17日 監督:ゲイリー・シニーズ
エレキの若大将
TVでやってたので、ついつい。全作品の事だが、田沼雄一は非の打ち所がなくてサイボーグみたいな奴だな。しかし"ブラック•サンド•ビーチ"は格好良い。そして、いつ観ても"君といつまでも"の澄子が歌い出すシーンに失笑する...そこが癖になるのだが。すべりまくりのギャグをかっ飛ばす内田裕也の司会っぷりも微笑ましい。やっぱり東宝娯楽作品は良いなぁ。
鑑賞日:04月17日 監督:岩内克己
風の歌を聴け
面白いのか面白くないのかよく分からん。とりあえず原作がこんな話だったっけ?と云う感じ。読み返してから観た方が良かったかもである。が、節々で村上春樹の調子がはっきりと見えてくるのは、自身のスタイルが確立されているからなのであろう。...好き嫌いは別だけども。この映画の場合は村上春樹を再現しようとして、余計にややこしい事になっている気がする。そんな中で、坂田明の棒な演技が和んだ。
鑑賞日:04月16日 監督:大森一樹
SUPER 8/スーパーエイト
この安定感、シネコンで観たい。'80年代な雰囲気に満ちており、自分が小学校の頃に観ていた名作の数々を思い出させ、ちょっとしたノスタルジー。主人公達は絶対に死なないって分かっている映画は、それはそれで良いもんです。しかしアメリカだな。
鑑賞日:04月15日 監督:J.J.エイブラムス
21グラム
久々の鑑賞。イニャリトゥ監督お得意の時系列を崩した見せ方で三者三様の思い通りにいかない人生を非常に効果的に表現している。神をテーマにした物語で頻繁に出てくるけれども、ベニチオ•デル•トロの善人になりたいのに上手く行かないもどかしさが特に心を捉える。そしてそれでも人生は続いて行くと云う、抗い難い現実が観終わった後にドスーんと残る。...しかし、なまいきシャルロットは貧相な役柄が多い。
鑑賞日:04月14日 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
うつしみ
園子温監督って昔からやりたい放題だったのですね。既に強烈なスタイルを確立しており、全体に漂うアマチュア臭さをねじ伏せている。つまり、アマチュアでないって事なのだろう。雪の中のハチ公のシーンには鳥肌が立った。本物の才能って多くの条件を超越するもんなのですね。脱帽です。
鑑賞日:04月09日 監督:園子温
パレルモ・シューティング
いつものヴェンダースを期待すると裏切られる...個人的には良い意味で。全体としては、何だか鬱々としていて、おまけにデニス•ホッパー絡みの死のイメージはかなりアニメっぽいのではあるが、嫌いではない。ヴェンダースがこんなのも撮れるのかと云った具合。何よりもヨーロッパっぽさが強く、何か新鮮な気がする。そして、いささか老害の気は感じなくもないが、ヴェンダースのフィルム愛がひしひしと伝わってくる。存命中のルー•リードが亡霊っぽい感じでの出演で少々引いたが、なかなかの良作。サントラも素晴らしい。
鑑賞日:04月09日 監督:ヴィム・ヴェンダース
怒りの葡萄
ジョン•フォードを認めない訳にはいかないのは勿論ではある。映像、演出ともに素晴らしい作品である事は間違いないのである。が、映像化が現在でも難しいと思われる原作の崇高なラストがないのは非常に残念である。映画では受難が主に描かれ、原作の途中くらいで終わる。原作最後に描かれた人間の尊厳の描写なくして『怒りの葡萄』は締めくくる事ができないと個人的には感じる。各エピソードもどうしても説明不足になりがちで、巨匠と云えども長編の映画化の難しさを露呈させる。しかし、それでも映画だけで成立はしているし、名作ではある。
鑑賞日:04月07日 監督:ジョン・フォード
黒猫白猫
ぼーっと観てて『アンダーグラウンド』っぽいなと思ってたら、同じ監督でした。面白いのだけれど、いささか長い気もする。今日の気分じゃなかったのか、ゴチャゴチャ具合に頭が重くなった。が、『カサブランカ』のオマージュは素晴らしい。
鑑賞日:04月05日 監督:エミール・クストリッツァ
樹氷のよろめき
雪深い北海道で展開される、岡田茉莉子と2人の男のドリカム状態のかなり面倒くさい三角関係。上がったり下がったりの繰り返しで苛々させられっぱなしだったのだが、後半はあまりの噛み合わなさ具合に滑稽で逆に面白くなってきた。吉田喜重の映像美は健在だが、演出としてはいまひとつ。
鑑賞日:04月04日 監督:吉田喜重
トリコロール 赤の愛
傑作。キエシロフスキーの捉える光は慈愛に満ちている。赤だけいささか話の筋の系統が突飛な気もしなくはないが、それを感じさせない程の見事な演出。素晴らしい。
鑑賞日:04月01日 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
category: 映画レビュー
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