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Only God Forgives

Films: Jan.2014『オンリー・ゴッド』ほか

Feb,01 2014 13:30

新年一発目は大好きな作品、勝新の"顔役"から。
今月は何やら神代映画の本数が異常。で、全部面白いと云う凄さ。
今年は毛嫌いしていた東映作品を中心(東京の方限定)に攻めたい。
オンリー·ゴッドゼロ·グラビティは実に面白かった。

観た映画: 2014年1月
映画本数: 29本
鑑賞時間: 2613分

宇宙人ポール [Blu-ray]

宇宙人ポール

サイモン&ニックが出てくるだけで面白い。彼等自身がエイリアン(外国人)として世にも下品な宇宙人とアメリカを旅する。過去の2人の作品同様に隙のない小ネタの嵐で笑わせてくれると思いきや、しっかり泣かせてくれる。更にはスピルバーグにシガーニー•ウィーヴァーとこちらもしっかり絡めてくる細かさ。実に面白かった。良作。

鑑賞日:01月31日 監督:グレッグ・モットーラ

黒蜥蜴

黒蜥蜴

めくるめく美輪ワールドを吹っ飛ばす三島(静止)の威力。製作陣の層の厚さが異常。出てきた途端に殺される西村晃とは何だったのか。1968年への羨望に溢れる一本。良作。

鑑賞日:01月30日 監督:深作欣二

もどり川 [DVD]

もどり川

神代的大正浪漫。惚れた女に三顧の礼の劉備玄徳ばりの誠実さを突きつけるショーケンこと苑田岳葉(実は死ぬ死ぬ詐欺)。全ては歌の為に身を落とすデカダンスな男と美人4人。清順のどこか美しい大正浪漫とは一味違い、神代辰巳のそれはどこまでもドロドロであった。性と心中を描いた作品としてはかなり激しいものがある。蜷川有紀のモガな可愛さは流石の原田美枝子を凌駕する。私的に。良作。

鑑賞日:01月29日 監督:神代辰巳

テッド [Blu-ray]

テッド

期待が大き過ぎたのか、そこまでブラックでなかったのか...とは云うものの安心して鑑賞できる一本。80年代映画ネタがてんこ盛りで、その辺りも楽しい。劇中のQUEENの使い方としては、ショーン•オブ•ザ•デッドの方が好みではある。どこまでも日本仕様な翻訳の心意気は買うものの、まずまず。

鑑賞日:01月28日 監督:セス・マクファーレン

北陸代理戦争 [DVD]

北陸代理戦争

とりあえず、予告にもデカデカと出ている渡瀬恒彦がいない(爆)のはともかくとして、実に面白かった。仁義なきの千葉ちゃん的な荒っぽさを持ちつつも、何気に策士な松方弘樹。徹底的に不幸だけど。首から下を雪中に埋めてその上をジープで走り回ると云うトンデモ拷問がメインと云っても言い過ぎじゃない作品である...多分。山守ばりの西村晃、ハナ肇、可愛い過ぎる姉妹の野川由美子、高橋洋子と好きな要素が多過ぎる。相関図がややこしい過ぎるし、北陸の人にしたらイメージ的に超迷惑な作品だと思うものの、これは傑作。

鑑賞日:01月27日 監督:深作欣二

オンリー・ゴッド

何はともあれ、ロボコップばりの爆唱おまわり無双に限る。ビッチな母親のせいで性的に問題を抱えたゴズリングが善と悪の間で揺れ動く。結果的に善に屈したと云う話だと思うのだが、前作に比べるといささかテンポが悪い様にも感じる。色んな監督の良い所を上手く消化するレフン監督の手腕は確かなものだと思うけれども。良作。

鑑賞日:01月26日 監督:ニコラス・ウィンディング・レフン

危険なメソッド [DVD]

危険なメソッド

美しい映像のクローネンバーグ。グチャグチャは影を潜めているかに見えて、底なしのグチャグチャな内面が描かれている。が、そんなクローネンバーグの手腕も吹っ飛ぶキーラ•ナイトレイのアゴ芸。人体だけでグロさを追求したのを狙っていたとしたら、これは凄い事である。良作。

鑑賞日:01月25日 監督:デヴィッド・クローネンバーグ

ミスター・ミセス・ミス・ロンリー [DVD]

ミスター・ミセス・ミス・ロンリー

やっぱりストーリーが分かりにくい作品なのだが、それよりも何よりも原田美枝子、原田芳雄、宇崎竜童ほか全員強烈なキャラの一つ一つの動きと云うか、完璧なる個性みたいなもんを楽しむ一本だと再確認する。グダグダだけどリアリティ。神代作品は好きだけれども、良作。

鑑賞日:01月23日 監督:神代辰巳

青春の蹉跌

青春の蹉跌

何度観てもエンヤトットな一本。身の丈に合わない向上心は破滅を招く。神代辰巳、長谷川和彦、井上堯之の面子で良くない訳がない。桃井があまりに哀れだけれども、傑作中の傑作。What To Do Next〜。

鑑賞日:01月22日 監督:神代辰巳

待ち伏せ [DVD]

待ち伏せ

レオーネ+モリコーネの西部劇っぽい雰囲気を頑張って出してる感じの三船プロダクションな大作。吸い寄せられるかの如く人里離れた三州峠のとある茶屋に集まる大物の面々。結果的にはお上の術中にはまっていたロン毛の勝新と三船だった訳だが、最後があまりにグダグダだった上に終盤の裕次郎の存在感の無さは半端ない。中村錦之助の虫酸が走る役人役は嫌いではない。まずまず。

鑑賞日:01月20日 監督:稲垣浩

ひも

ひも

夜の青春シリーズと云う何とも良い響きの一作目。俺の名はひも!! キリッ。っと格好良いやら悪いやら微妙な入りをする梅宮。で、新宿を舞台に梅宮辰夫扮するヒモ男のクズっぷりが延々描かれる。梅宮の毒牙にかかってしまった女の子は緑魔子。梅宮のせいでボロっカスになった挙句、タダ乗りした筈がタダ乗りされたりとなかなか悲惨な運命を辿る。仁義もクソもない弱肉強食な世界を垣間見てしまった感じ。実に面白かった。

鑑賞日:01月21日 監督:関川秀雄

儀式 [DVD]

儀式

久々の鑑賞。ドロドログッチョグチョ。戦前から戦後を通して描かれる桜田一族の色んな儀式。呪いには発端がある訳で、佐藤慶の悪オーラは異常。日本の悪しき部分がこれでもかと浮き彫りにする大島渚。様々な思想が入り乱れ、若い世代が犠牲になる当時の日本の縮図とも云える。狂気の一人結婚式はあまりにあんまりである。傑作。

鑑賞日:01月19日 監督:大島渚

暗殺者のメロディ [DVD]

暗殺者のメロディ

茶系の映像だからか、トロツキーの事を良く知らないからか、あまり丁寧な説明がないせいかで半分以上はダルかった。色々と中途半端な感じで、悩める暗殺者の演出って事であえてやってるとしたら凄い。しかしまぁ、最後の10分の加速した展開とアラン•ドロンの迫真の演技は素晴らしかった。度々、凄いショットがあったものの、ジョセフ•ロージーって監督はあまり自分好みではない気がしてきた。

鑑賞日:01月19日 監督:ジョセフ・ロージー

コクリコ坂から [Blu-ray]

コクリコ坂から

ジブリの顔をした普通の映画と云った印象。息子は監督業を続けたいならジブリの呪縛から逃れた方が良いのではないかと云うくらいにジブリってだけで成立している作品。その時代に青春を過ごした者じゃないと同じ懐古でも説得力がない上、何やら詰め込み過ぎな気がする。サントラ設定もしかり。演技力は別としてジブリ顔の長澤まさみは色々良かった、うん。

鑑賞日:01月13日 監督:宮崎吾朗

ナバロンの要塞 コレクターズ・エディション [DVD]

ナバロンの要塞

お国の為にミッション•インポッシブルに挑む。エーゲ海の凪と嵐と平和と殺戮が混ざり合う一本。岸壁をよじ登るまでは良かったが、その後が少しダレる。が、大砲のデカさにテンションは復活。有事の際のモラルのあり方を大物3人を中心に問う。グレゴリー•ペックは演技下手なんだろうなと思うものの、まぁさほど問題ではない。良作。

鑑賞日:01月12日 監督:J.リー・トンプソン

ゼロ・グラビティ [DVD]

ゼロ・グラビティ

うーん、超壮大。宇宙空間で大変な目に遭う映画な訳だが、予想以上だった。置かれまくる布石のお陰でズタボロになるサンドラ•ブロック。唯一役に立ったツールに、んなアホなとツッコミたくなるも、しっかり手に汗握っている自分がいた。あり得ない動きをするカメラに抑揚の効いた音響効果にハリウッドの本気を堪能。飛び出す字幕が気になる以外は素晴らしかった。良作。いやはや、死んでもイケメンなジョージ•クルーニー。

鑑賞日:01月11日 監督:アルフォンソ・キュアロン

遠雷 [DVD]

遠雷

田舎の若者のベタなテンプレっぽ過ぎていまいちではある。鬱屈とした田舎の若者を描きつつも、田舎でなくなる事には抵抗する複雑な胸中がビニールハウスと団地の対比で描かれる...が、悩殺天使•石田えりに全て吹き飛ばされる感じ。井上堯之の音楽と蟹江敬三のサイコキャラはなかなか良かった。

鑑賞日:01月09日 監督:根岸吉太郎

天才マックスの世界 [DVD]

天才マックスの世界

久々の鑑賞。2作目でも今とあんまし変わらないウェス•アンダーソン。面白ければ何でも良い。J•シュワルツマンの叔父への配慮か地獄の黙示録風やらセルピコって云う絶妙な劇のチョイス。...シドニー•ルメットは関係ないけど。ウザいくらいにスマートかつ往生際の悪い超人マックスに愛着が湧かない訳がない。良作。

鑑賞日:01月07日 監督:ウェス・アンダーソン

四谷怪談

四谷怪談

KOEEE!!! 向上心の強過ぎる浪人ことクズニートな仲代達矢の毒牙にかかった岡田茉莉子ことお岩。化けて出たくもなる非道の数々が幽霊のそれより恐ろしい。背筋が凍ると云う表現がやはり日本の古典には合う。良作。

鑑賞日:01月05日 監督:豊田四郎

おとなのけんか [Blu-ray]

おとなのけんか

割と軽めなポランスキー作品ではあるが、実に良くできた一本。子供同士の喧嘩の和解に集まった双方の親。数々の地雷を見事に踏んで歩く訳だが、中でもコブラーと携帯の破壊力は抜群だった。汚れ役をキッチリ演じたケイト•ウィンスレットに初めて好感を持てた。ターゲットが絶妙に変化する様は流石のポランスキー。時間も丁度良かった。良作。

鑑賞日:01月05日 監督:ロマン・ポランスキー

暗室 [DVD]

暗室

何やら詩的で高尚な台詞回しに溢れ返る...エロ。兎にも角にも出てくる男も女もデカダンス。個人的に唸る内容ではあったが、女子的には神代辰巳作品級にイタイのではないだろうか。浦山桐郎唯一のポルノとは云うものの、身を切られる様な孤独のドラマはそこいらの映画では太刀打ちできない気がする。ロン毛の寺田農と医者の殿山泰司が異常に似合わない事を別にすれば、傑作。

鑑賞日:01月04日 監督:浦山桐郎

人生はノー・リターン 〜僕とオカン、涙の3000マイル〜 [DVD]

人生はノー・リターン 〜僕とオカン、涙の3000マイル〜

母親と息子って云うロードムービーは初めてかもしれない。過保護なカーチャンがいた事がなくても十分にウザさは伝わってくるけれども、なかなか良いお話だった。とりあえずステーキ食いたくなる。

鑑賞日:01月04日 監督:アン・フレッチャー

ぼくらの七日間戦争 [Blu-ray]

ぼくらの七日間戦争

うーん、レボリューション。現在とは生徒と教師の関係が違ったのね。モンペに強気になれる教師もいても良いかと思う今日この頃。デビューで初々しい宮沢りえとボーイズ•アンド•パンツァーな結構めちゃくちゃな一本で、当時こんなのがなんでヒットしたのか謎である。が、小学生時代に観た思い出深い作品であったりもするし、この頃のTKは今でも良いと思う。

鑑賞日:01月04日 監督:菅原比呂志

ホビット 思いがけない冒険 [Blu-ray]

ホビット 思いがけない冒険

正月っぽく大作を鑑賞。前日譚って事でスメアゴルの下りやレベル50くらいのガンダルフ等々なかなか楽しい。が、今作に限らず、やはり長くて途中でダレる。でも続きが観たくなっちゃうんだなぁ。良作。

鑑賞日:01月03日 監督:ピーター・ジャクソン

河内のオッサンの唄 よう来たのワレ [DVD]

河内のオッサンの唄 よう来たのワレ

2作目から鑑賞。終始血管の筋が出てそうなテンションの川谷拓三とド底辺な仲間達。物騒なツールのオンパレードながら、超平和的かつ予定調和なコメディで楽しく拝見。田中邦衛に岩城滉一だともはや別のイメージが浮かんでしまうものの、両者共に良かった。ただ篠ひろ子とはなんだったのか。早く1作目が観たい。良作。

鑑賞日:01月02日 監督:斉藤武市

殺人者はライフルを持っている! [DVD]

殺人者はライフルを持っている!

ペーパー•ムーンと甲乙付けがたい程に面白かった。ボリス•カーロフの怪奇映画の恐怖と大量殺人の現実の恐怖が完璧な布石の末にドライブインシアターで炸裂する。スクリーン裏からの狙撃と玉がけフィルムが回りきるまでの混沌と緊迫はあまりに衝撃的過ぎる上に映画好きにはまさに神設定。事細かに映写シーンを挿入するあたりにボグダノヴィッチの映画愛を感じる。久々に手に汗を握る傑作だった。

鑑賞日:01月02日 監督:ピーター・ボグダノヴィッチ

桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]

桐島、部活やめるってよ

ようやく鑑賞。スクールカースト平常運転の日常に寝耳に水な事件が発生する。絶妙なまでに波紋は広がり、保たれていたいびつな形のバランスが崩れ始め新たな形へとシフトする様が実に見事に描かれていた。リア充爆発しろなどと十把一絡げに言う事もできなくなる程に人間の心は奥深いと高らかに宣言する様な作品である。ワーグナーの下りは鳥肌が立った。傑作。

鑑賞日:01月02日 監督:吉田大八

去年マリエンバートで [Blu-ray]

去年マリエンバートで

やっぱり凄まじい。白と黒、擬似的な静止画と動画が織りなす物事の生と死。何もないとこには何もないと云う人間心理の根本的なところを実に見事に表現する。キューブックも影響を受けたであろう、シンメトリーな映像だけでも楽しめる。傑作。

鑑賞日:01月01日 監督:アラン・レネ

顔役

顔役

正月一本目は傑作で。勝新の監督デビュー作。ありとあらゆる格好良いが堪能できる。ヒッチコックみたいなオープニングから荒地のエンディングまでシビれる映像のオンパレード。後の警視-Kに繋がる勝新のスタイルは既に完成されている。最高。

鑑賞日:01月01日 監督:勝新太郎