
Films: Feb.2014『河内のオッサンの唄』ほか
Mar,11 2014 11:00
横山光輝版『三国志』を読み返したりやらで映画の本数も激減の2月。
なるべく見た事ないやつをチョイスするも、飛び抜けて良い作品と出会うのもなかなか難しい。
久々に鑑賞した日活以降の鈴木清順2作は勿論傑作だったけど。
最近、東南アジアに興味があるので、地獄の黙示録みたいな雰囲気を醸し出す『変態島』も割と良かった。
2月は一作品しか観てなかった筈なのに、圧倒的な存在感の川谷拓三。
観れば観る程、好きになるな。
観た映画: 2014年2月
映画本数: 21本
鑑賞時間: 2134分
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チャンプ
うーむ、これは全米が泣いたと言われても納得。どこまでも無骨な役が似合う男、真夜中のカーボーイことジョン•ヴォイトと見た目からして既にいじらしく、良い子な息子TJ+死んだ事にされた母親の物語。露骨なまでにベタな演出でややもすると号泣しそうになるも、その露骨さが邪魔をして踏みとどまる。が、映画としては普通に面白い。...まさか自分が天使になるとはな。良作。
鑑賞日:02月28日 監督:フランコ・ゼフィレッリ
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刺青
うーむ。いきなり人生転落したかと思いきや、一度転落してたって云う女。途中でブン屋が出てきたあたりから途切れないオーバーアクションで笑いを誘う。ゲーセン兄貴の事故はいくらなんでもねぇ。
鑑賞日:02月25日 監督:曽根中生
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ヴォイツェク
同じヘルツォーク作品の小人の饗宴を思い出してしまった。健常者が健常者でない者を作っている。異なると云う事が残酷なイメージを作り出す。変わり者に対しての歪んだ扱いが調子の外れた不安定な弦楽隊の音と共に描かれるが、クラウス•キンスキー演ずるヴォイツェクの欲望はとにかくまっすぐである。水辺から消えたヴォイツェクは消えてなくなりたいと思ったかどうかは分からないが、自分だったら消えたいなぁ。良作。
鑑賞日:02月23日 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
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エリックを探して
見渡す限り赤色で水色は出てこない。ユナイテッドファンにはたまらない一本。流石にカンフーキックは劇中に登場しないものの、ドヤ顔で教訓を語りまくるカントナ。映画が素晴らしいのは勿論の事、カントナの美しいプレイが挿入される度に改めて魅力させられる。圧倒的なカントナ軍団が攻めてきたら、そりゃ降参するでしょうよ。終わりもスッキリしており傑作。
鑑賞日:02月22日 監督:ケン・ローチ
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氷点
のっけにピアノ弦を切ると云う超絶打鍵を披露する若尾文子サマ。劇中の大半が恨み節でいぢわるでもやっぱりお美しい。そんな若尾サマに負けない天使の様な安田道代。ラノベレベルの妹像は現代日本においてはまさに希少生物そのもの。映画としては色々と雑な印象はあるものの、なかなか面白かった。前髪がパツッとしてない珍しい成田三樹夫も見られる貴重な一本。
鑑賞日:02月20日 監督:山本薩夫
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トッツィー
うーむ、嫌いになれないこの80年代感。カラッとしてます。ダスティン•ホフマンも脂が乗っている感じの頃。おまけにウォーホルまで出てくる。で、勿論クールなビル•マーレイ。にしても時代のせいかデイブ•グルーシンのサントラは卒業の頃とは随分違う。やっぱりカラッとしている。良作。
鑑賞日:02月20日 監督:シドニー・ポラック
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悲愁物語
久々の鑑賞。日活解雇からブランクを経ての今作。とにかくジャンルを問わず清順がやりたい事をやりたいだけやっている訳だが、日活時代とその後の浪漫三部作とのらしさとが融合されており実に興味深い。鑑賞者の不快感と不安感をこれでもかと煽る大和屋竺脚本。見事な鬼女っぷりを発揮した江波杏子も良かった。清順的には凡作な気もするけれども、やっぱり面白い。
鑑賞日:02月16日 監督:鈴木清順
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ライク・サムワン・イン・ラブ
平和な午後を破壊する加瀬くん怖ェー。色んな嘘と真で成り立つ現代日本に実際にありそうなお話。ある意味ホラー。ラストのバッサリ行くところが気にならんくらいに物語の進行が実に滑らかだった。良作。
鑑賞日:02月15日 監督:アッバス・キアロスタミ
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君が若者なら
松竹らしい健全な妙なノリで始まったかと思いきや、仁義なき壮絶さの中でやっぱり健全な若者たち。これが松竹力か。中卒集団就職のある意味犠牲となった前田吟ほか若者たちの鬱屈した雰囲気は山守組就職以前の広能たちにも通ずる、が、やっぱり何処までも爽やかに締められている。イケメン要員のわかめラーメン石立鉄男のキメ顔が絶好調の今作。良作であった。しかし小川真由美はやっぱり美しい。
鑑賞日:02月14日 監督:深作欣二
![書を捨てよ町へ出よう [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51nJEfXjJhL._SL75_.jpg)
書を捨てよ町へ出よう
久々の鑑賞。好きか嫌いかは置いといて、この時代にこれだけ大胆な事をやってのけた功績と云うのはやはり認めるざるを得ない。しかしまぁ、直接的過ぎると云うか何と云うか、いささか恥ずかしい気もしなくはない。時代背景も今とは随分と違うだろうし。J•A•シーザーは好きよ。
鑑賞日:02月12日 監督:寺山修司
![ル・アーヴルの靴みがき [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51bKws-FkjL._SL75_.jpg)
ル・アーヴルの靴みがき
各人のちょっとした優しさがドデカい奇跡を呼び起こす。全体的にはかなり雑な印象を受けなくもないが、何故かあまり気にならないカウリスマキ作品の不思議。ダサめなロックを挿入するのはこの監督的にデフォなんだろーな。良作。
鑑賞日:02月11日 監督:アキ・カウリスマキ
![ツィゴイネルワイゼン [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51GJCFRCYBL._SL75_.jpg)
ツィゴイネルワイゼン
何度観ても狐につままれた感と実に日本的な背筋の凍りつく様な気味の悪さが残る。素晴らしい映像美でありつつも、視覚情報の裏をつく清順の表現方法はブルース•ウィルスもびっくりだろーな。しかしこれ観る度に釈迦堂の切通しに行きたくなる。久々に内田百閒も読んでみよう。傑作。
鑑賞日:02月10日 監督:鈴木清順
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変態島
タイトルに釣られて鑑賞したものの、とりあえず変態は出てこない。悪夢としか言いようがない異常な疲労感と息苦しさが残る作品。川下りの末にワラワラ出てくる子供達と地獄の黙示録感満載で、ある意味更に怖い。完全にカーツ大佐化したエマニュエル•ベアールにはマーロン•ブランドも驚く事でしょう。カメラワークを含めた映像とノイジーなサントラも良かった。良作。
鑑賞日:02月09日 監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
![DRAMADAS 藤田敏八×大和屋竺が遺した愛の童話 ぬるぬる燗燗劇場 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51bhnbgrxgL._SL75_.jpg)
DRAMADAS 藤田敏八×大和屋竺が遺した愛の童話 ぬるぬる燗燗劇場
大和屋竺が歌う『殺しのブルース』風テーマに乗せて究極のぬる燗を求める妙な一本。低予算全開であるものの、映画は金で作るもんじゃないなと感じる。藤田敏八と大和屋竺がいるだけで良い。製作陣に何気に青山真治やら黒沢清の名がクレジットされていたりも。なかなかの作品。
鑑賞日:02月09日 監督:西山洋一
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ヒア アフター
クリント•イーストウッド作品は基本的に好きなのだが、今作はどうにもモヤモヤした感じが否めない。別々の都市に住む人々が繋がって行く訳だが、それまで関係があった人々の切られ方が超冷酷。料理教室の赤毛ちゃんはともかく、津波の後の瓦礫の中でキツく抱き合った2人は何だったのか。胡散臭い霊界が題材ではあるが、あまり来世感は感じられず。ミディアムの方がまだ割り切っていて面白い。とりあえず綺麗にまとまっている作品ではあった。
鑑賞日:02月08日 監督:クリント・イーストウッド
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河内のオッサンの唄
ようやく一作目の鑑賞。超絶オシャレな川谷拓三を存分に堪能できる初主演作品。二作目同様に大体似たような作りではあるものの、単純に面白いから良し。ネイティブ過ぎて何言ってるか分からんミヤコ蝶々も川谷拓三に張る程の存在感。見事な轢かれっぷりであった。傑作やワレェ。
鑑賞日:02月07日 監督:斉藤武市
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黒薔薇の館
黒蜥蜴に続いて深作ほか似たような制作陣の一本。めくるめく美輪ワールドは健在と云うか、むしろそれだけな映画な訳だが、そんな中でも田村正和青年が奮闘。昔から既に芸風が完成されている風である。前のと同様に時折挿入されるサイケな映像も実に良いが、もう少し話が面白ければとも思ったりもする。
鑑賞日:02月06日 監督:深作欣二
![飼育 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51jH-sscIfL._SL75_.jpg)
飼育
部落的な恐ろしさに背筋も凍る。隠蔽主義で責任転嫁なあれこれは、日本らしいとも言えるし、どこの国でもある気もする。最近ではミヒャエル•ハネケの白いリボンとかこんな嫌な空気が流れていた。村人のなんでもクロンボのせいなのしちまえーって云う酷さと若者の明瞭さの比較は現代でもありそうではある。ちょっと作りが雑な気がするが、良作。
鑑賞日:02月04日 監督:大島渚
![嗚呼!おんなたち猥歌 デラックス版 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51tk%2BXjif7L._SL75_.jpg)
嗚呼!おんなたち猥歌
兎にも角にも69な内田裕也。世の中の女子の敵レベルの非道っぷりを終始展開。キレ芸と共に滅茶苦茶やった後は見事なしっぺ返しを喰らうのであった。無意味に服を引き裂きつつも、裕也に従順な安岡力也が妙に良い奴に見える。毎度の事ながら女子の痛めつけが酷い神代作品であるが、良作。
鑑賞日:02月02日 監督:神代辰巳
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砂漠でサーモン・フィッシング
カミさんやら軍人やらが割りとあっさりバッサリ切られている辺りにいささか虚しさとヌルさを感じるものの、全体的にはきちんとラッセ•ハルストレム作品で安心して鑑賞。退廃的なのも嫌いじゃないけど、やっぱり希望がないとね。良作。
鑑賞日:02月02日 監督:ラッセ・ハルストレム
category: 映画レビュー
tags: 2014年映画レビュー