
Films: Jul.2016『グレート・ビューティー 追憶のローマ』ほか
Aug,03 2016 13:00
何故だか毎年本数が減る7月。
しかし、なかなかどうして傑作、良作の多い月でもあった。
中でもグレート・ビューティー 追憶のローマは実に嬉しい発見。
監督のパオロ・ソレンティーノの他の作品も観てみたい今日この頃。
観た映画: 2016年7月
映画本数: 17本
鑑賞時間: 2068分

ジャーヘッド
殆ど戦闘らしきものがないってのを抜きにすれば、だいたいフルメタル•ジャケットな感じ。ディア•ハンターからのスケベ映像の流れがなかなか秀逸。ワーグナーとキルゴアに高揚感を得る若き海兵隊員の肩透かしな戦争。やるやられるの単純な戦いではないものを垣間見る事ができる。良作。
鑑賞日:07月30日 監督:サム・メンデス

ツリー・オブ・ライフ
我が家の領土を教えるシーンの『わが祖国』を流す絶妙さは何度観てもうなる。神に対する永遠の問いかけ「何故」のところをとことん描く。ラストにおける復活の日的描写をやってしまうテレンス•マリックの意気込みと美的センスは胸に迫るものがある。傑作。
鑑賞日:07月27日 監督:テレンス・マリック

真夜中のカーボーイ
ハリー•ニルソンが聴きたくて鑑賞。ダサいカーボーイを卒業し過去から新天地へと赴く清々しいジョン•ボイドには序盤の軽薄さはない。何度観ても傑作中の傑作。
鑑賞日:07月21日 監督:ジョン・シュレシンジャー

キャンディマン
都市伝説ものとの事で、5回唱えると間髪入れずにしっかり登場するので、むしろ小気味良い。憐れな主人公とフィリップ•グラスの哀愁漂うテーマでホラーとはまたちょっと違う悲劇みたいなものがある。蜂は無理だけど。なかなか。
鑑賞日:07月20日 監督:バーナード・ローズ

メランコリア
久々の鑑賞。凡庸な人生を恐れる妹と非凡庸な人生を恐れる姉の対称的な物語。混沌から始まり、静寂を経て混沌に終わる見事な構成。魔法のシェルターが欲しい人はウド•キアーの真似をすれば良いと思うよ。傑作。公開時の感想→http://otom.jp/blog/melancholia/
鑑賞日:07月19日 監督:ラース・フォン・トリアー

危険な関係
駆け引きの頂点に君臨すべく争う不毛な話。愚かさに気付くマルコビッチと村八分のグレン•クローズと対称的に幕を閉じる。貴族のデカダンスかつ実にくだらん遊びだけれども、まぁ"理屈抜き"で嫌いではない。
鑑賞日:07月18日 監督:スティーブン・フリアーズ

マーニー
ティッピー•ヘドレンのトラウマ回収の映画とするならば、いかに掃除のおばさんのところ等の演出が素晴らしかろうと凡作なイメージを持ってしまう。が、動物学者になり損ねたショーン•コネリーが目の前に現れたマーニーを希少生物か何かを見る目で興味を持ち、愛玩動物よろしく可愛がると云う見方をすると、サイコな感じでかなりゾッとくる。真意はどうか知らんけれども、やっぱりヒッチコックは面白い。
鑑賞日:07月18日 監督:アルフレッド・ヒッチコック

ポランスキーの欲望の館
ありとあらゆるフェティシズムが網羅され、不思議の国のアリスどころではない一本。太陽が燦々と降り注ぐやたらアートな館で登場人物の奇行にほぼ裸で翻弄される可愛い子ちゃん。マストロヤンニの謎性癖と連弾シーンが良かった。ポランスキーを本気で心配するレベルで不安になる作品だけれども、実に面白かった。
鑑賞日:07月14日 監督:ロマン・ポランスキー

スティグマータ 聖痕
霊験あらたかである。後のミディアム姉さんことパトリシア•アークエットが聖痕のお陰で劇中の半分くらい血だらけになる、なかなかインパクトの強い一作。トマスの福音書を題材に真理と教会の対立をポルターガイスト並みに頑張って描いてる。バックではビリー•コーガン+αの90'sなやたら懐かしい曲が流れる。思いのほか面白かった。
鑑賞日:07月12日 監督:ルパート・ウェインライト

J・エドガー
USAな伝記映画かと思いきや、まさかのホモ展開。これは予想していなかった。マーロン•ブランド化したディカプリオを始め無理のある老けメイクは良いとして、フーバーのダークサイド演出がいささか生温い気もしなくはない。とはいえ、強烈な個性の成り上がり=アメリカの凄さはプロパガンダ云々を置いといても伝わってくる。イーストウッド作品にしては弱いのは否めないけれど良作。
鑑賞日:07月11日 監督:クリント・イーストウッド

ある秘密
良くある話な気もする。オカルトレベルのお兄ちゃんが見えちゃう強い因縁のあたりをもっと掘り下げてから過去が明らかになっても良かった様な。まずまず。
鑑賞日:07月10日 監督:クロード・ミレール

ベティ・ブルー/愛と激情の日々
真性キ印か重度のメンヘラかどっちでも良いけど、個人的には御免被りたい女とまともな男の始終。端から見ている分には面白い。若い時に観た時よりも幸福の時間差の切なさがジワジワくる。良作。
鑑賞日:07月07日 監督:ジャン=ジャック・ベネックス

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋
ワンダーラストは結構面白かったと思うのだけれども、今作はいまいちだった。乙女過ぎるのは良いとしても、なんだか演出が軽いし音楽の使い方もあざと過ぎる気がする。最後に歌で出てきちゃったのもややマイナス。比較対象としてどうかとは思うけれどもヨーク公題材の別の映画の方が出来は良かった。まずまず。
鑑賞日:07月04日 監督:マドンナ

アルカトラズからの脱出
大きなおホモだちと菊の花とか何かのギャグかと思いながら鑑賞。一応、実話に基づくとの事であるものの、あまりにお粗末なフェイクの数々が逆にハラハラさせる妙。ドン•シーゲルとクリント•イーストウッドの巧さに無理矢理納得させられたと云う方が合っている気がする。良作。
鑑賞日:07月02日 監督:ドン・シーゲル
category: 映画レビュー
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