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暗殺のオペラ

Films: Mar.2020『暗殺のオペラ』ほか

Apr,01 2020 14:40

世間のこんな状況でもほぼ毎日映画を観る事が出来ているのは、まだ幸せなんだろう。
今月も5ツ星連続な具合でどれも甲乙付けがたい感じではある。
ようやく字幕版で鑑賞できた『GIRLS』のレナ・ダナム監督作品、『タイニー・ファニチャー』。
随分前にフライングして輸入DVDで観たものの、ネイティブレベルじゃないと字幕なしはキツい。
滑稽さと憂いの絶妙なさじ加減はウディ・アレン級。
それから一番キョーレツだったのが、『ランボー 怒りの脱出』のジョージ・P・コスマトス監督の息子、パノス・コスマトス監督とニコラス・ケイジ主演の『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』。
キング・クリムゾンの『Starless』からガッチリハートを掴んでくるOPと多分、父親譲りな凄まじい様式美。超ハード。
上記2本と迷っていたのが、ベルトルッチ監督『暗殺のオペラ』。
先月はボルヘスの『伝奇集』を読んでいたこともあり、迷った末に今作を3月の顔とした。
他にもボブ・フォッシー監督『レニー・ブルース』、ノア・バームバック監督『ミストレス・アメリカ』、インドはリテーシュ・バトラ監督の『めぐり逢わせのお弁当』、『ベロニカとの記憶』と傑作だらけ。
川島雄三作品やら『野良猫ロック』シリーズに加えて、グレタ・ガーウィグ版が楽しみなので、驚異的な速さでコンプリートしたアニメの『若草物語』とシリーズっぽい一ヶ月でもあった。
いつまでのん気に映画を観ていられるかは分からないけれど、観られるうちは楽しみたい。

観た映画: 2019年3月
映画本数: 29本

あした来る人

ビシッとしたシンメトリーなOPEDとは裏腹に、作者のいたずらが過ぎる采配な五角関係は交わりそしてすれ違う。時間と空間のズレが生み出す人の出会いって筋は結構ありそうではある。ものの、そこにはドロドロさはなく、各々の生きる活力(エゴ)に対して各々が悩みながらもあくまで正直に信念を失わないでいるってのが、かえって気持ち良い。『かじか』の生態より複雑な人間であり、そして進化の途中でもある若者に正直であれと云うかなり前向きな一本。ギョギョギョ〜な属性の喋り出すと止まらない三國連太郎がヤバい。

鑑賞日:2020/03/31 監督:川島雄三


ピザ!

飯テロ映画。かなりエゲツないカースト制度の実態で目も当てられないスラムな有様。なんだけど、色んな酷い扱いにもかかわらず意外とダメージ少ない風な子供達。当人達が境遇の酷さに実感がない(ある意味で)、よく分からないってのが厳格な階級社会がもたらす悲劇の最もたるものなんだろねぇ。上の世界を知ってしまってのめり込まなかったのが唯一の救いだわな。婆ちゃんメイドのやつはともかくとして、ピザよりドーサの方が美味いに決まってる。

鑑賞日:2020/03/30 監督:M・マニカンダン


暗殺のオペラ

原作を読んだので鑑賞。翻訳のせいか、または次元が違うせいか頭良すぎて時々何言ってるのか分からないボルヘスの迷宮系なノリをとても分かりやすく、そして数ページを良い感じに膨らませていると云う印象。やっぱり凄いベルトルッチ。物事の解釈の柔軟さ、または無限なボルヘス節に作家なら強く惹きつけられるってのもなんとなく分かる気がする。更には初期にして既に全編に渡って色彩やら構図がお洒落に決まりまくっててビビる。『嘘をつく男』ももう一度観よう。

鑑賞日:2020/03/29 監督:ベルナルド・ベルトルッチ


若草物語

グレタ・ガーウィグ版が楽しみなので鑑賞。元の長さで仕方ないのかもしれんけれど、光の速さで進んでるイメージ。ジョオとキルスティン・ダンストのエイミー(小)は結構ハマり役。まだキラキラしとるクリスチャン・ベイルもなかなか。なんだけど、大天使ベスとローレンス翁のピアノの号泣不可避な筈のターンとかエイミー怨念の原稿焼きとか色々と空気過ぎる箇所が多いのが少し残念。長編を2時間の尺に収めるのはかくも難しい。

鑑賞日:2020/03/28 監督:ジリアン・アームストロング


タイニー・ファニチャー

ようやっと字幕版で観られた。既にだらしない体でドスドス歩くレナ・ダナムとファミリーと後のGIRLSの面々。一人だけ体はデカいけど無力な20代にタイニーな家具を併せてくる圧倒的センス。要所に散りばめられた小さいネタや自虐ネタ、無様さに散々笑わせておいてから、最後にキューんと琴線に触れてくる手腕はこの時点で完成されてる感じ。良かった。

鑑賞日:2020/03/27 監督:レナ・ダナム


洲崎パラダイス 赤信号

現在はタワマンゾーンにかつて存在した『洲パラダイス崎』。のレッドラインな一本手前で展開される男女の嫉妬と執着のあれこれ。花街上がりなスレた新珠三千代なんぞ嫌なんだけど、割と純情って事でまんまピュア設定な芦川いづみより萌える。普通ならお前らの揉め事に人巻き込むなってなりそうなところなんだけども、コミュ力高い登場人物達がなんのかんの言って世話するってのは映画だからか時代だからか。堅気でやり直したくても厳しい国ってのは昔から変わってないんだねぇ。遊郭萌えに秋葉のラジオセンターと貴重過ぎな記録でもある。蕎麦屋行きたい。

鑑賞日:2020/03/26 監督:川島雄三


銀座二十四帖

銀座が巴里と錯覚する程のおフランス映画っぷりで、完全にイヤミな世界で繰り広げられる油絵作者のGMと銀座のGMを巡っての結構なサスペンス。軽い感じな森繁ナレーションを挟みながら描かれる新旧と善悪。しかしどちらかに偏るでなく、時勢やら必要悪やらそれぞれに理由があって現在(当時)の銀座が成り立っていると云うほぼほぼドキュメンタリーなのは流石の川島雄三と今平。そんな基礎工事状態な有楽町そごう含む当時の銀座の風景を21世紀から眺めていると古き良き時代に対する羨望って言葉しか出てこない。

鑑賞日:2020/03/25 監督:川島雄三


ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

我が家の茶トラより芸達者。この間観た同監督のスタローンのやつが面白かったので鑑賞。したものの、チラつくキリスト教圏の施し的なのからの猫動画やら本の色んなメディアで一獲千金って云う普通なサクセスで物足りない。本気で困ってる、苦しんでる感の描写が緩いと云うか何と云うか。その辺があくまでゴリゴリにストリートミュージシャンなルーウィン・デイヴィスとは雲泥の差がある。

鑑賞日:2020/03/24 監督:ロジャー・スポティスウッド


マンディ 地獄のロード・ウォリアー

スターレスからで始まった瞬間にビリビリくる。で、そんなOPからの木星の話とかして超暗黒へ向かう気満々な雰囲気で心が痛い。キレ芸なニコラス・ケイジ(文字通りレッドでメーター振り切りまくる)で過去の名作群同様に絶対的な安心感で流石としか言えん。トイレのパン一絶叫も勿論の事、映画でクソダサいマイ斧精製の鍛冶シーンとか痺れる。ストロボ気な演出でリンチっぽいところも多々ありつつも、キッチリしっかり濃ゆいリベンジものな仕上がりなのは『怒りの脱出』のお父さん譲りか。そんな映像を盛り上げる、何かいつもよりダーク・アンビエントでSunn
O)))みたいになってるヨハン・ヨハンソンもなかなか。灰色の凄いやつみたいな星振り切るタイプの映画だった。

鑑賞日:2020/03/23 監督:パノス・コスマトス


野良猫ロック 暴走集団’71

シリーズ集大成的なメンツだな。ニ作目に続いての藤田敏八に原田芳雄が加わってより妙な雰囲気を醸し出しているものの、野良猫シリーズっぽいのかと言われるとどーなんだろ。火薬の量が凄い+デカダンスなええじゃないか映画で楽しいは楽しいんだけど。ウサさんと子供の謎ほっこりラストで何故だか藤田敏八作品を観たって気になる。日活であんまり見ない気がするサディスト気な戸浦六宏もなかなか良かった。

鑑賞日:2020/03/22 監督:藤田敏八


野良猫ロック マシン・アニマル

Mr.
Nobodyこと藤竜也が色なしメガネの善人キャラになってる。脱走兵に協力する梶芽衣子とピンポンパンみたいな格好した取り巻き達で結構ほっこりする。やっぱりストーリーは大したことないんだけど、LSDところを含めた映像エフェクト系は超お洒落。郷えい治(宍戸錠の弟って初めて知った)がサイドカーのへりに手をかけ過ぎだけでも面白いのに、ミニバイクのチェイスに盛大にツボる。パチンコ屋の「すいませ〜ん」のところで人生初なレベルの泣き笑いを経験。傷天の岸田今日子みたいな范文雀もすごーく微妙な感じでありつつも悪くない。そして天才的な作曲宇崎竜童。

鑑賞日:2020/03/21 監督:長谷部安春


野良猫ロック セックス・ハンター

セックス・ハンター感はない。イ○ポ呼ばわりでピクッとなる藤竜也。の私怨からなるあいのこ撲滅運動が姑息で実にみみっちい。それに対するイケメン力也と梶芽衣子の結構な純愛っぷりが微笑ましい。ゴールデン・ハーフ等々のところは良いとして、やっぱりダラダラしがち。なんだけども、たまに出てくるお洒落過ぎるシーンで十分埋められている感じ。ラストの力也は謎。

鑑賞日:2020/03/20 監督:長谷部安春


野良猫ロック ワイルド・ジャンボ

完全なる藤田敏八作品って感じ。前衛的ってよりは逃げる鏡の中の梶芽衣子などなどシーンの撮り方がお手本の様な上手さ。前作のサングラス上過ぎから下過ぎへと変わる藤竜也を筆頭に遊びまくる。馬に吹き出しにまだ水に浮いてる第五福竜丸、極め付けのうーん、マンダム+藤竜也など次から次へと良く出てくるよね。ザル過ぎな賽銭強奪を盛り上げるべく無理矢理な南部式発掘。からの銃撃戦とやりたい放題で楽しい。大人の事情な使い回しアッコも含めて超無軌道って感じ。かっぱえびせん欲しくなる。熱いなぁ。

鑑賞日:2020/03/19 監督:藤田敏八


女番長 野良猫ロック

騒乱の空気が色濃く残る憧れの新宿感だけでご飯おかわりできる。筋やアクションはしょーもないんだけど、デ・パルマばりの謎編集にサイケ&GSな雰囲気で素敵感激。ティナ・ターナーばりのアッコの存在感も然り。サングラス上過ぎな藤竜也とアッコがバイクとバギーで地下街に無理入りするシーンはコーヒー吹きそうになる出来で瞬間的に評価を稼ぎまくる。アンドレ・カンドレこと陽水だけ流石に空気がガラっと変わるな。

鑑賞日:2020/03/18 監督:長谷部安春


セイ・エニシング

クラッシュT着て爆音でピーター・ガブリエルをお届けする'80年代的青春。ペンの使い方からEDまで結構凝っている上に、ただでさえ愛されキャラなジョン・キューザックとで飽きずに観られる。セブンのガルプってのはこの時代の映画の小道具としてはなくてはならんもんだよな。引用符ネタも良い。青春時代をキッチリ青春映画にするキャメロン・クロウ。俺の青春を返せって思ったって事は良い映画だったんだと思う。

鑑賞日:2020/03/17 監督:キャメロン・クロウ


マイ ビューティフル ガーデン

雰囲気は悪くないけど、生い立ちやら植物嫌いやらアスペ風設定の投げっぱなし感が強い。肝心な庭もよくよく考えると片付けたくらいって云う。他者を受け入れたので全てに成功したファンタジーですと言われたら元も子もないんだけど、映画としてはあまりにあんまりな気はする。英国人のガーデニングにかける情熱は伝わってくるし、大いに賛同するけど。かつては日本家屋には庭がつきものだったけども、緑が無いに等しいペンシルハウスが乱立する国と化した現在としては、そこら辺はしっかり見習う必要がある。

鑑賞日:2020/03/16 監督:サイモン・アバウド


朝食、昼食、そして夕食

食事を中心とした人々の様々な営みってと云う事で、苦さと甘さが混在した大人にあるあるな人生模様。『星の旅人たち』にも出てくる巡礼最終地点のサンティアゴ・デ・コンポステーラを舞台に人生の舵取りに悩める世代から老人までを描くってのがなかなか上手い。基本的に食事中にダウナーな気分とか飯が不味くなるので勘弁願いたいけれども、この映画ではそんな悩めるシーンが沢山出てくる。特に結婚に悩む主婦の戯れは酷い。人生の歩みのお供な食事は楽しくありたいものとつくづく思う。とりあえずハモン・セラーノとピンチョスを死ぬほど食べたいモードになる。

鑑賞日:2020/03/14 監督:ホルヘ・コイラ


ベロニカとの記憶

個人間の狭い範囲内だけでも認識が異なりまくるとするならば、歴史における犯人探しなぞナンセンスだと。自分が加担しながら傍観者として保存された記憶、過去の甘く脳内変換された記憶から正しい記憶へと構築されて行く過程をお手本の様なフラッシュバックで表現。今を直視しろと、今更の如く動き出した老人の時計に遅い遅くないは別問題としてとても良いラストでほっこりする。死ぬまで気付かないって人もいるからねぇ。個人の歴史の転換点は自殺者の心理と同様に晒されない限り人には見えない。21世紀へようこそな時代には晒しまくってる感も否めないけど。Time
has told meとニック・ドレイク使いの上手さに唸る。

鑑賞日:2020/03/12 監督:リテーシュ・バトラ


ナイトメアは欲情する

全裸でひたすらゴロンゴロンしているイメージ。微妙に古い感じの凝ってる風の映像とシガー・ロスっぽいのと併せて、色んな監督のどこかで見た様なのが満載。映画ってよりは中二的なMVって感じ。劇中だけで何やらシリアスにやってる具合でちょっとキツい。エロ描写はなかなかのモンでした。

鑑賞日:2020/03/11 監督:クリスティーナ・ブオジーテ


めぐり逢わせのお弁当

いつものお店が出てきそうなインド。インドの嫁は当たり前にチャパティを綺麗に膨らませてくるね。宅配のめぐりあわせから始まって、匂いだけで適量判断できる神レベルなスパイス使いの階上おばさん等々『見えない同士の会話』を軸としてインドの中流家庭の諸問題を絡めつつ、かなり上手い事作られている。人々の不通、埋まらない寂しさをも孕む社会の中でも電車にリキシャなどは毎日ガンガン動き、そして『間違えた列車に乗っても、正しい場所へ着く』と謳う。凄いインドパワー。そして電車内で野菜を切るインドパワー男はドングリへ帰るそうです。

鑑賞日:2020/03/10 監督:リテーシュ・バトラ


愛ふたたび

何はともあれ、セシールのCM感が凄い。吉田喜重のやつといい、この頃はフランス映画みたいな日本映画が流行ってたのかね。完全ベルばら(そっちは弟だけど)な馬飼野俊一のソフトロックな劇伴にラーメンズの新橋ッの元ネタくさいの等々でロケーション含めて雰囲気的にはこの上なく好きではある。ものの、延々と別れる別れないな筋で流石に飽きてくるなぁ。映像はキマってるけど。宮口精二の外人には兼六園だろの発言に一番日本と世界との距離を感じた。

鑑賞日:2020/03/09 監督:市川崑


茶碗の中の嵐

モップタイプなパッツィを筆頭に勃発するワンコ戦争にヴィヴィアン・リーが霞む。スコットランドとイングランドの対立を微妙に絡めつつ、確かにフランク・キャプラ風法廷劇な内容なんだけどもすごい雑。でも画面を埋め尽くすイッヌたちの暴走シーンだけで充分楽しめる。

鑑賞日:2020/03/08 監督:ヴィクター・サヴィル


クレイジー・イン・アラバマ

チキンフライドステーキを食えそうな地域で虐げられる人々を正義で思いっきり救済するアントニオ・バンデラス。60年代の公民権運動と女性差別の問題を牢屋の一画面で表現するのは結構上手いと思うけどな。意味不明な諸要素があったりするのは否めないけれども、横切る国旗だのドキッとするようなシーンが他にもいくつもあるので監督業ももっとやったら良いのにね。メラニー・グリフィスの馬鹿っぽくネトっとしていながらも切実な演技もかなり良い。個人的には母ちゃんより好きなデビューなダコタ・ジョンソンは難易度高すぎて探すの諦めた。

鑑賞日:2020/03/07 監督:アントニオ・バンデラス


人生は狂詩曲

映画に加えてイラストとでヴィンセント・バル作品のマイブームが来ていたのでいささか期待し過ぎた感はある。関東と関西やマドリッドとバルセロナ等々みたいなベルギーの超ローカルなお国事情を含めた筋で丁寧に撮られている。ものの、ミュージカルの必要性に疑問が残るし、別の見方をすると結構適当なところがあった気もしなくはない。劇中の金ローOPみたいな曲は良いとして、サッカーだの別の競技でもいけそうではある作品ではある。監督の可愛い子ちゃんを発掘するセンスが高過ぎるせいなのか、主演のアマリリスちゃんだけで十分良いけど。

鑑賞日:2020/03/06 監督:ビンセント・バル


ミストレス・アメリカ

30歳も18歳も精神的には大して変わらんのだけども、歳を追うごとに願望が強くなるって辺りに大きな差が出てくる。年齢の上下にあらゆるクラスの上下の意識の差を描く映画は数あれども、これだけ繊細かつ文学的に本質を描けるのはノア・パームバックとグレタ・ガーウィグのコンビならではな気がする。あなたの霊が1.5m左で悲しそうにしてるとか思いつかないでしょ普通は。邪魔じゃないのにそれと分かる、おなじみな元Galaxy500のディーンのサントラも良かった。で、カーク姉妹が出てると、最近(ちょっと前の)のNYって感じがする。

鑑賞日:2020/03/05 監督:ノア・バームバック


レニー・ブルース

50~60年代の保守的なアメリカに出てきちゃいけなくて出てきて良かった人。言葉の抑圧への底無しな怒り。猥褻と品格は別の問題だと考えられない人が多いからこそ世界は未だ混乱中(多少はマシにはなってる)。ほぼほぼいつものダスティン・ホフマンの演技っぽくはある気がするものの、レニー・ブルースを熱く演じる熱量は火傷するレベル。ミュージカルでなくとも凄いボブ・フォッシー。

鑑賞日:2020/03/04 監督:ボブ・フォッシー


ザ・コミットメンツ

自称白人の中の黒人といえどもJB様等々なんかをやるのは無理がある気はしなくもない。U2などに続いてとカバーバンドでのし上がれるのか云々は置いといて、アラン・パーカー的な映画を音で組み立てる作りはやっぱり上手。ボブ・ゲルドフやら過去作をしれっと出すのもまたニクい。責任感がないと崩壊必須なのはバンドに限った事じゃないにせよ、結成から崩壊までの道程がとても冷静に描かれている印象。90年代初頭のダブリン的には多分イケてない部類と思われるけれども、なかなか良かった。爆音パイプオルガンで『青い影』やりたい。

鑑賞日:2020/03/03 監督:アラン・パーカー


独裁者と小さな孫

下野して民の実態を徐々に知る独裁者と有事の際には止めどなく鬼畜化する民とで実に上手くできている。簡単に品を失う事ができる人と保てる人がいる世の中で、トレペやら買い漁ってるのが品を失う始まりな気もせんでもないとぼんやり考えてしまった。気をつけよう。

鑑賞日:2020/03/02 監督:モフセン・マフマルバフ



犯罪を行うにあたっての心理で上手い具合に起承転結になってるのが流石。序盤のイタリア的全員声がデカいカオスから崖の届かぬ声って流れもまた凄い。物理的にも精神的にも声の大きさがまかり通る世の中、しかし人の心を揺るがすものってのは声の大きさとは別のところにあると。原題は『だます』との事でロレッラ・デ・ルーカみたいなスーパー天使な娘を前に羞恥心を感じ、足萎えの少女の心の美しさに駄目押しされる哀れな犯罪者の末路。ある意味悪くてある意味良かったんだろう。

鑑賞日:2020/03/01 監督:フェデリコ・フェリーニ