Films: Aug.2013『私の好きなモノすべて』ほか
Sep,03 2013 11:26
8月は夏休みを挟んでいたのでいつもより多く鑑賞。
好きなだけ映画を観られる事の幸せ。まだまだ観たいものが沢山あるけど。
長めの映画と異色の作品が入り交じった月でありました。
そして"警視-K"も観終える。素晴らしかった。
観た映画: 2013年8月
映画本数: 37本
鑑賞時間: 4886分
八月の濡れた砂
久々の鑑賞。藤田敏八監督作品は秋吉久美子の3本がやっぱり好きだが、これも捨てがたい。後の食いしん坊万歳でも若い頃は暴走する。この時代ならではのフラストレーションがビンビン伝わってくる。胡散臭い牧師役の原田芳雄を始め脇を固める役者も良い。傑作。
鑑賞日:08月29日 監督:藤田敏八
暴れ犬
シリーズ4作目って事もあり、大分完成されている。決して人をバラさない拳銃の達人•鴨居大介。今作も軽い感じで上手い事言いまくる。更にはあんまり上手くない歌も披露。前の3作よりはインパクトは薄い気もしなくはないが面白かった。それよりも何よりも草笛光子の美貌にばっかり目が行ってしまった。良作。
鑑賞日:08月28日 監督:森一生
スタスキーハッチ
オリジナルの方は観てなけれども、これはこれで面白かった。ベン•スティラーとオーウェン•ウィルソンの組み合わせで安定した笑いを提供してくれる。イージー☆ライダーを始めひと昔っぽい70年代パロディも嫌いではない。良作。
鑑賞日:08月26日 監督:トッド・フィリップス
燃えつきた地図
原作は未読だが思った以上に安部公房だった。実際脚本も手掛けている。武満徹の音楽と何やらサイケな映像+英語のタイトルで違和感ありまくりで始まる。勝新が合っているかは別として安部公房の訳分からなさを見事に表現しており、更には松本俊夫ばりのエフェクティブな映像。カラーのせいか“砂の女”、“他人の顔”より視覚的には色々と楽しめる。怪作。
鑑賞日:08月25日 監督:勅使河原宏
海潮音
ひたすら重くて暗い。多くの原因は池部良演ずる父親のせいな訳であるが、その反面、泉谷しげるの男前感が凄い。記憶喪失の女と云うトンデモ爆弾の出現により何となく保っていた家庭内バランスが見事に崩壊する。心の奥に常に引っかかっていてスッキリしないのは、無垢なJK荻野目慶子であった。猟銃持ち出すのも無理はない。まずまず。
鑑賞日:08月25日 監督:橋浦方人
ニューヨーク1997
当時鑑賞していればもっとのめり込んだかと。筋肉系映画の様でいて、以外と心配りが多く見応えはあった。サントラもニューウェイブな感じで大変良い。よくよく考えてみると、マンハッタン島ごと刑務所って云う設定は何か飛び抜けた感さえある。良作。
鑑賞日:08月23日 監督:ジョン・カーペンター
吸血鬼ゴケミドロ
うーむ、強烈。グロと云うより卑猥な額の傷とドロっとしたゴケミドロ。これだけでも恐怖なのだが、極限状態に置かれた人間のクズっぷりもある意味怖い。金子信雄の顔芸もかなりのもの。露骨な反戦を盛り込みまくっているのはともかく、実に面白かった。
鑑賞日:08月23日 監督:佐藤肇
くるみ割り人形
特撮、演出、音楽の全てがカオス過ぎて、幼少の頃に観ていたらトラウマになる事請け合い。この人形とは思えない程の表情の豊かさを実現する為に費やされた作業時間は如何程のものか。凄過ぎる。作詩•寺山修司を筆頭に声優もそうそうたる面子。アンドレを彷彿させる志垣太郎のイケメンボイスもピッタリはまっている。キティちゃん登場だけいささか萎えたが、傑作。
鑑賞日:08月23日 監督:中村武雄
太陽はひとりぼっち
シンプルさを失った世界は“分からない”と繰り返すしかないのだ。きのこ雲風の建物から最後は核の話まで。近代化故の諸刃の剣が随所に現れる。人間性を失いつつある人類の中で居心地の悪さを感じるのはモニカ•ヴィッティだけじゃない筈。表情、日常の緩急はもとより、ブロンドと黒髪の使い分けでもEclipseを感じさせる物凄い表現力。愛のあり方を自問したくなる。傑作。
鑑賞日:08月21日 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
パンダコパンダ&パンダコパンダ雨ふりサーカス
素敵なお客様とポニョ回。異次元メンタルのミミちゃん達はちょっとの事では動じない。既に確立されている宮崎ワールド。素晴らしい。傑作。
鑑賞日:08月20日 監督:宮崎駿
エロスは甘き香り
藤田敏八監督、大和屋竺脚本、長谷川和彦助監督って時点で普通な訳がなく、やっぱり変な映画だった。米軍ハウスを舞台に若者の妙なエナジーをビンビン感じる。修正版って事でかなり手が入れられた様で、是非共オリジナルが観たい。アーティストとエロ事師は紙一重って事なのね、やっぱり。そして桃井かおりは既に桃井かおりだった。それにしてもアラン•ドロンの扱いったらない。怪作。
鑑賞日:08月20日 監督:藤田敏八
パンダコパンダ
なんとも狂気を感じなくもないが、宮崎アニメの原点にして怪作。ミミちゃんを始め、狂おしいまでのポジティヴシンキングで強引に展開する物語。爆笑の竹フラグからのパンダ登場は流石。山田康雄のお巡りさんも良い。40年前の作品とは思えない程、クオリティは高い。傑作。
鑑賞日:08月19日 監督:宮崎駿
午前中の時間割り
素直に認めちゃイカン気もしなくはないが、なかなか見所もあるにはある。生前の主人公が生き生きとカラーの8mmで映された画とその後の残された者たちのモノクロの棒演技ドラマが交互に進んで行く。音楽監督•荒木一郎のアシッド•フォーク、サイケな音楽はかなり好き。エンドレス•サマーはなかったって一本。まずまず。
鑑賞日:08月19日 監督:羽仁進
ドクター・ノオ
久々の鑑賞。いささかダレている感は否めないものの、既に色々出来上がっている1作目。福島後に観ると、貧相な防護服でピンピンしている不死身のジェームス•ボンドにかなりの違和感を覚えるのだが、それを抜きにしてもスタイリッシュ。セクシーさも含めてジェームズ•ボンドはやっぱりショーン•コネリーが一番好き。低予算ながら良作。
鑑賞日:08月19日 監督:テレンス・ヤング
トップガン
二十年振りくらいの鑑賞。思えば冷戦真っ只中の強いアメリカ様の一本。ツッコミ所は多いけれども、戦闘シーンはダイナミックで普通に面白い。一世を風靡しただけある。しかし、今も昔も世界を飲み込むアメリカのプロパガンダの凄まじさ。でも正直トム•キャットは格好良し。サントラだけ本気を出すケニー•ロギンスも懐かしくてよろし。名作。
鑑賞日:08月19日 監督:トニー・スコット
私の好きなモノすべて
積み上げられてきた好きなものと云うのは人それぞれなのだ。変なものが好きでも自分が好きならそれで良い。21章に分けられた中年男の時に美しく時に滑稽な好きなものを見ていると、自然と自分の好きなものの確認作業をしてみたくなる。マルティン•シュリークの映像は静かでとても良い。傑作。
鑑賞日:08月18日 監督:マルティン・シュリーク
私の男
女神属性の娼婦とそれに拾われた浮浪者上がりのヒモの中のヒモ男から始まる物語。日本人的感覚では一体何が起きているのかと思うのだが、フランス的に云うと運命と戯れるって事なのだろう。調子に乗った男には悲劇が訪れ、愛情を見せた女には幸福が訪れる。“バルスーズ”にも劣らない描写で釘付け。傑作。
鑑賞日:08月17日 監督:ベルトラン・ブリエ
青いパパイヤの香り
大人になってからの方が良さが分かる。奉公娘が玉の輿に乗ってジョブチェンジしたってだけの映画なのだが、みずみずしく時にグロテスクなベトナムを実に魅力的に描く。露骨な表現なくして、汗ばむ肌だけでエロティシズムを描写するってのはなかなかできるもんじゃない気がする。そしてトラン•アン•ユンの接写演出は実に美しい。良作。
鑑賞日:08月15日 監督:トラン・アン・ユン
仁義なき戦い
この時期になると観たくなる。今年は総集編。やっぱり大分端折られているのでいささか物足りない。川谷拓三筆頭にゾンビもしくは不死鳥の如く蘇る役者陣はともかく、文句なしの傑作。まぁしかし、金子信雄の為にある映画と云っても過言ではない。
鑑賞日:08月15日 監督:深作欣二
さびしんぼう
何回観ても心がキューっとなるのは富田靖子の可愛さからか、はたまた訪れた事がなくても何故か懐かしさを感じる尾道の風景のせいなのか。まるで漫画なお話な訳だが、ストーリーもセピアがかった画も別れの曲も全てが美しい。しょーもないコメディ要素と号泣を誘発する緩急のつけ具合は流石。 富田靖子の歌うとんでもアレンジの別れの曲も別に嫌いではない。傑作。
鑑賞日:08月14日 監督:大林宣彦
あ・うん
健サンと藤純子って組み合わせだけでも良い。心に秘めたものがあるってのは日本人における美徳でもあるのでしょう。大人になってから観直してみるとビンビンくるものがある。そして大人の洗礼を受ける富田靖子。冬の時代に向かった日本の如くエンディングを迎える今作ではあるが、ジワーっと暖かい余韻が残る一本。良作。
鑑賞日:08月13日 監督:降旗康男
ツリー・オブ・ライフ
神は何故に与え奪うのかと云う永遠のテーマの壮大な一本。“カラマーゾフの兄弟”における反逆〜大審問官にも通じている。人は常に神に問いかけ、答えを模索する。人の一生の出来事の大小はともかく人類は続いて行く事実。ラストの生命の賛歌とも云えるシーンは鳥肌が立つ。それにしても領土の概念を子供に教えるシーンでの“わが祖国”は絶妙過ぎ。願わくば愛の名のもとに生きたいものだ...難しいけど。素晴らしい傑作。
鑑賞日:08月13日 監督:テレンス・マリック
リトル・ブッダ
ベルトルッチ監督作品の中では割と評価の低い今作。久々に観てもやっぱり少し物足りない気はするものの、映像は素晴らしい。ブッダよりも火の鳥を読み返したくなる。それにしても、この頃の教授の音楽は映画音楽していて非常に良い。ほぼちょい役のブリジット•フォンダも美しい。良作。
鑑賞日:08月12日 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
荒野のガンマン
久々の鑑賞。撃てないガンマンが主人公の西部劇。設定や時折入る惨たらしい演出は間違いなくサム•ペキンパーなのだが、デビュー作な事もあり後の作品と比べるとマイルドではある。しかし、復讐を捨て許す宗教的テーマで西部劇をやる辺りはやっぱり変な監督である。傑作。
鑑賞日:08月12日 監督:サム・ペキンパー
倫敦(ロンドン)から来た男
ようやくの鑑賞。最初の長回しから妙な緊迫感に襲われる。ほぼ無表情な登場人物達はお世辞にも幸福とは言えずどうにもみすぼらしい訳だが、それとは対象的な力強い音は確実な生をビリビリ感じさせる。人間を撮ると云う事はこうなのだと突き付けられた様。構図もしかり。“ニーチェの馬”と甲乙つけ難い。傑作。
鑑賞日:08月11日 監督:タル・ベーラ
地下室のメロディ
まぁ何と云ってもMichel Magneの手掛けたテーマ曲に尽きる一本。モダン•ジャズに乗せてカジノの10億フラン強奪の計画が進められて行く。若さ故かちょっと軽率な役柄のアラン•ドロンは最後に心臓バクバクものの憂き目に遭う。苦し紛れの浅知恵を見守るジャン•ギャバンの失望をサングラス越しに読み取らせるアンリ•ヴェルヌイユ。凄いな。傑作。
鑑賞日:08月11日 監督:アンリ・ベルヌイユ
妻は告白する
今風に云うと単なるメンヘラ女で、見事に地雷を踏んでいる様に見える川口浩。エゴと弱さと云うのは何だか近い様な遠い様な不安定に揺れ動く様を増村保造が見事に演出し、若尾文子がしっかり演じきるのはお見事。周囲がドン引きのずぶ濡れ文子サマでも美しい事には変わりない。いやはや、女の執念は怖い。傑作。
鑑賞日:08月10日 監督:増村保造
私のように美しい娘
超絶ビッチのベルナデット•ラフォンと哀れな男達。男のあまりに情けない姿が露骨に描かれているので、男の自分としては笑えないけども笑える何とも軽快なコメディ。良作。
鑑賞日:08月10日 監督:フランソワ・トリュフォー
卑弥呼
良くも悪くも当時のアングラ臭が漂う。美しい岩下志麻と超絶イケメンの草刈正雄、更には武満徹の音楽と暗黒舞踏で神秘的な雰囲気を醸し出す事には成功しているものの、如何せんダレる。まずまず。
鑑賞日:08月09日 監督:篠田正浩
ザ・プラマー / 恐怖の訪問者
これはなかなか。未開人研究のインテリ奥様とどう見ても下等生物の配管工の偽ディラン。浴室でディラン風の曲を爆唱する辺りが不信感マックスで奥様にどうしたって共感する訳だが、ラストは超展開でテーマが拡大する。“いまを生きる”のピーター•ウィアー監督の昔の作品と後から知って妙に納得。良作。
鑑賞日:08月09日 監督:ピーター・ウィアー
激動の昭和史 軍閥
久々の鑑賞。2.26事件からやがて太平洋戦争へとなだれ込む日本を描いていく。小林桂樹が演じているせいかどうかは分からないが、この映画を観ると東条英機のイメージと云うものは少し変わるのではないかと。まずは多くの人が何故この戦争が起こったかを知る必要はある。が、人間熱くなって猪突猛進しちゃうと駄目なのねぇと痛感。途中でやめときゃ良かったのにと云うのは後の祭り。岡本喜八監督の有名2作までとはいかないまでも、緊迫した一本である。良作。
鑑賞日:08月09日 監督:堀川弘通
警視-K VOL.7
第7話。勝新の怒りのキメ台詞と川谷拓三の回。いつになく機嫌の悪い勝新であるが、キャベツの芯とバターを間違える茶目っ気もしっかり見せる。ガラスの反射を上手く利用した凝りまくりの撮影もお見事。面白かった。
鑑賞日:08月08日 監督:勝新太郎
幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
うーむ、なかなかのショボさ。しかし嫌いではない。中尾彬のイラっとくる演技はともかくとして、いささか無茶な感じもしなくはないが、キッチリ悲哀は描かれている。ナイフを持った吸血鬼の瞬間移動を含め、アヴァンギャルドなエフェクトも多く見所は割とあった。良作。
鑑賞日:08月08日 監督:山本迪夫
おおかみこどもの雨と雪
まずまず。トトロの劇中台詞を思わず挿入したい衝動に何度か襲われたものの、何とか回避。細田守監督前2作に比べるといささかパンチが足りない気もしなくないと云うか、綺麗にまとまり過ぎている気もしなくはない。別に捻くれているのを求めている訳ではないのだが。この辺は高木正勝の音楽の影響もある気がする。しかしアニメーションは美しかった。
鑑賞日:08月07日 監督:細田守
暗黒街のふたり
邦題はともかくとして傑作。服役後に自由の身になったアラン•ドロンを待ち構えていた正義の名のもとのギロチン。個人から国にまで発展する誤った正義感の危うさが、首が痛くなる程伝わってくる。正義とギロチンのあまりに不釣り合いな狭間で見せるアラン•ドロンとジャン•ギャバンのやりきれない眼差しに心が打たれる。
鑑賞日:08月06日 監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
最高殊勲夫人
お洒落なオープニングからひたすらテンポ良く展開し気持ち良く鑑賞。映画ならではのトンデモ設定をベースに、当たり前の様に男達を手玉に取る新人BG若尾文子はやっぱりお美しい。川口浩のややオーバーな演技も映画に良く合っていた。昭和の丸の内も実に魅力的に描かれている。良作。
鑑賞日:08月01日 監督:増村保造
category: 映画レビュー
tags: 2013年映画レビュー