Films: Sep.2015『ファニーとアレクサンデル』ほか
Oct,03 2015 13:30
イングマール・ベルイマンな9月。
ベルイマン作品はどれも傑作だけども、5時間のファニーとアレクサンデルはこれまた素晴らしかった。
ベルイマンの牧師の息子としての神の不在の苦悩、ほとんどの人間に巣食う悪とそれを消化した末の刹那主義。
読み終えたばかりの『森の生活』とも通ずるものがある。
観た映画: 2015年9月
映画本数: 21本
鑑賞時間: 2543分
ステート・オブ・グレース
アメリカ移民社会における地位の低さを題材にするのであれば、別にアイリッシュマフィアでなくても成立しそうな作品ではある。先人たちが築き上げたマフィア映画が如何に偉大か浮き彫りにされてしまうものの、決してつまらない訳でもない。モリコーネの劇伴は申し分なし。まずまず。
鑑賞日:09月28日 監督:フィル・ジョアノー
ヒステリア
圧倒的なまでの電マ映画だが、卑猥さはない。産業革命の光と影を実に上手く描いている。貧困の裏側でマッサージに興じる高所得層のアイロニーもイギリスっぽい。ドラマ版ハンニバル同様に困り顔ながら使命感の火が燃え上がるヒュー•ダンシーにちょっとグッと来た。良作。
鑑賞日:09月27日 監督:ターニャ・ウェクスラー
ランボー 最後の戦場
久々の鑑賞。1〜3がありきの4作目な訳だが、殺戮的な出来で言ったら一番な気がする。能天気な平和主義者へしきりに家へ帰れとベタなテーマをごり押しの末、1作目の故郷へ→豚箱から数十年を経て故郷へ赴くジョンの姿にはベタベタでもジーンと来るものがある。落ち着いた風の生活を送っていても駆り出されるランボーなので、スタローンが死ぬまでは次があると思いたい。良作。
鑑賞日:09月25日 監督:シルベスター・スタローン
テナント/恐怖を借りた男
これだから集合住宅ってやつは。あるあるの様なそうでないような。シャロン•テートのトラウマが成せる技か余りに個人的恐怖過ぎてやや置いてかれる。が、ボリス•ヴィアンばりの倒錯した映像表現は見応えがある。総じてなかなか面白かった。
鑑賞日:09月23日 監督:ロマン・ポランスキー
叫びとささやき
有閑姉妹のデカダンスな心の内かな。血の繋がりを表す様な赤い部屋でおぞましく展開する。ラストのそれぞれが清純な白をまとったシーン、信仰篤い妹のささやかな満足感が対極をなす。それにしてもこんな絶命シーンは今まで見た事ない。傑作。
鑑賞日:09月22日 監督:イングマール・ベルイマン
天使のはらわた 赤い教室
男と女のどうにもならん人生かな。歪んだ鏡やら水たまりやら反射物演出が秀逸過ぎる。ケーブル放送版であれこれとカットされているのは仕方ないが、それにしてもこの時代のポルノ作品の上手く隠すって作業は凄まじい。実に面白かった。
鑑賞日:09月19日 監督:曽根中生
イングリッシュ・ペイシェント
久々の鑑賞。地図と国境と戦争があるが故に。英国の負傷者の皮肉を始めとして、イギリスにまつわる色んな痛みが描かれる。シンドラーの時と云い、この頃のレイフ•ファインズは不遇の役どころが多い。砂漠だけでも観る価値のある映画。名作。
鑑賞日:09月17日 監督:アンソニー・ミンゲラ
ハモンハモン
カオス。ペドロ•アルモドバルの初期作品等々、スペインの作風なのか細かい事なんかなんのそのの混沌とした群像劇。ハムで殺し合いなんて観た事ないな。惜し気もなく出しまくる今作がデビューのペネロペよりは髪結いのカーチャンの方が好き。これは良作。
鑑賞日:09月15日 監督:ビガス・ルナ
リバー・ランズ・スルー・イット
久々の鑑賞。非常に地味な作品なのだが、じんわりした良さがある。ソロー的な自然賛歌と人間。悠久の美と散っていく美。小さいドン•ジョンも出演している。良作。
鑑賞日:09月15日 監督:ロバート・レッドフォード
ペコロスの母に会いに行く
普通の皮を被った森崎東作品。面白いかは別としてやっぱり普通じゃなかった。現代と過去が交錯しつつ、暗くなりがちな介護問題を笑いでキッチリ見せる。が、過去の作品ほど何処に行くんだと云うワクワク感には欠ける。まずまず。
鑑賞日:09月14日 監督:森崎東
クイルズ
サドを題材にしている割には存在の耐えられない軽さの一本。出てきた瞬間に堕天使確定のホアキン•フェニックスがポキリと心が折れる瞬間はなかなかだったけれども、やっぱり軽い。まずまず。
鑑賞日:09月13日 監督:フィリップ・カウフマン
ラスト アメリカン ヒーロー
反骨なのかそうでないのか微妙なところだけれども、定義的には一応アメリカン•ニューシネマ。フィッシャー•キングから2日続けてジェフ•ブリッジス作品。ブタ箱入りした密造酒作りの父親を横目に大した挫折もなく頂点へ登りつめる淡々とした作品な訳だが、雰囲気は悪くない。ジム•クロースのテーマ曲がひと役かっている感じ。まずまず。
鑑賞日:09月09日 監督:ラモント・ジョンソン
フィッシャー・キング
テリー•ギリアムの何が好きかと言われれば、未来世紀ブラジルと答えるとは思うものの、今作もこれはこれで素晴らしい。全体的にやや散漫なところも多いけれども駅のシーン等の見せ場も多い。何よりも近未来でもなんでもない現代の悲惨な描写が散々あった上でちゃんと綺麗に終わる安堵感につきる。良作。
鑑賞日:09月08日 監督:テリー・ギリアム
悪徳の栄え
ちょっと退屈だった。色々と中途半端な割にズームがやたら出てきてゲンナリする。アゲ嬢みたいなカトリーヌ•ドヌーヴも美徳感ゼロ。やるんだっらソドムの市くらいの毒が欲しい。
鑑賞日:09月05日 監督:ロジェ・バディム
STAND BY ME ドラえもん
泣けるエピソード集。お婆ちゃんネタが入ってたら死んでいた。ちょっとあざとい感じはともかく、3Dでヌルヌル動くドラえもんってのは実に良い。スネ夫の髪型表現もなかなか。どんな媒体にも適応するドラえもん、それが凄い。
鑑賞日:09月05日 監督:八木竜一,山崎貴
仮面 / ペルソナ
とてつもなく不安定な映画。内から外へと共同体になる。自己防壁に自信がない自分としては、できればそんな存在とはお近づきになりなくない。映写機で始まり映写機で終わり、吉田喜重も真っ青の光と影の巧みな映像表現にドキっとする。背筋が凍りつく傑作。これは凄い。
鑑賞日:09月03日 監督:イングマール・ベルイマン
トップをねらえ2! 劇場版
1作目を観た勢いで再鑑賞。前作同様にOVAを1時間半に詰めているので、どうしても足りないところはあるものの、続編としては実に良くできた作品。何度観てもラストは鳥肌が立つ。当然、前作ありきな訳だけれども、傑作。
鑑賞日:09月01日 監督:鶴巻和哉
トップをねらえ! 劇場版
1年振りの鑑賞。観れば観る程に岡本喜八。それを消化する技量が巧み過ぎる。好きな事を好きなだけやった感のある渾身の一作。昨今のアニメや邦画のだらしなさが露見するレベルの大傑作。素晴らしい。
鑑賞日:09月01日 監督:庵野秀明
category: 映画レビュー
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