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Andrei Rublev

Films: Mar.2016『アンドレイ・ルブリョフ』ほか

Apr,01 2016 15:30

先月からのタルコフスキー祭りに引き続き、
今月はベルトルッチからヴィスコンティとイタリア方面へ。
ちょっと日本映画が少なめの3月。

観た映画: 2016年3月
映画本数: 18本
鑑賞時間: 2059分

キラーカーズ / パリを食べた車

キラーカーズ / パリを食べた車

馬鹿みたいな映画なのに、考えれば考えるほど深い。何もかもがかりそめの街のグロテスクさ。そして音楽を始めとして何もかもがズレている。この監督が『いまを生きる』を作るとは考えられない様な狂気。良作。

鑑賞日:03月31日 監督:ピーター・ウィアー

ブロンテ姉妹

ブロンテ姉妹

忠実に伝記しているのは分かるけれども、全体的にいささか雑な気もしなくはない。そしてフランス語にも違和感を感じる。で、ちょっと気になったのは、家庭教師の下りが『ねじの回転』っぽい。アジャーニのポゼッション化と可愛いユペールが観られたので良しとする。

鑑賞日:03月30日 監督:アンドレ・テシネ

イノセント

イノセント

うーん、デカダンス。没落しまくりな貴族。妻への愛により無神論、快楽主義が徹底できない、実に人間らしい弱さが随所に見受けられる。そんな中で青いシリーズ然り、ラウラ•アントネッリの脇毛主張の力強い事。これは傑作。

鑑賞日:03月29日 監督:ルキーノ・ヴィスコンティ

神々と男たち

神々と男たち

恐らくこれは今に始まった事ではなく、大昔から世界は無常と共にあった。成熟できない者と搾取する者の関係も然り。それでもインポッシブルなミッションと分かっていながらそれに従事する者が存在し、その歴史の上に現在がある。静かなる抵抗の決意の束の間に流れる『白鳥の湖』の美しさと言ったらブラックなスワンとは比べものにならん。傑作。

鑑賞日:03月27日 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ

吸血鬼 ボローニャ復元版

吸血鬼 ボローニャ復元版

いわゆるテンプレ的な吸血鬼ものではなく、ホラー要素のみならずキッチリとサスペンスしている。影やカメラワーク、人物の些細な動きで表現される不気味さは当時としたら画期的だったに違いない。と云うか普通に凄い。良作。

鑑賞日:03月24日 監督:カール・TH・ドライヤー

孤独な場所で

孤独な場所で

昨日観たベルトルッチの映画にニコラス•レイの名前が出てきたので、流れで鑑賞。ボギーらしくないと云えばらしくない不安定な男にグロリア•グレアムの不安定な女心、更にはニコラス•レイの敢えての不安定なミスリード。ボギーで始まりボギーで終わる、なんとも無情な一本。良作。

鑑賞日:03月22日 監督:ニコラス・レイ

ドリーマーズ

ドリーマーズ

なんでか良く観る一本な気がする。あくまでも異邦人っぽい視点のベルトルッチの描くパリは嫌いじゃない。至る所に散らばる毛沢東のいかにもな感じとジミヘン始め60年代のアメリカ音楽の組み合わせはなかなか。ほぼ『恐るべき子供たち』な訳だが、古今東西、2+1の構図はある意味NTRよりキツイ。良作。

鑑賞日:03月21日 監督:ベルナルド・ベルトルッチ

ブリューゲルの動く絵

ブリューゲルの動く絵

まぁ、よく作ろうと思ったよね。映像としてのクオリティは高いとは思うものの、いささか退屈。黒澤明が夢でやったゴッホくらいにサラッとしてた方が良い。ボンヤリと眺める一本だな。

鑑賞日:03月17日 監督:レフ・マイェフスキ

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

なんと云うメシテロ映画。SNSゴリ押しが凄まじい、舞台装置として仕方ないんだろうけど。挫折感ゼロのトントン拍子な訳だが、決して嫌いにはなれないロードムービー的良さがある。なかなかの良作。

鑑賞日:03月15日 監督:ジョン・ファヴロー

殺し

殺し

パゾリーニ脚本のベルトルッチデビュー作。この時代のイタリアってだけでなんだか洒落オツ風で羅生門風な一本。藪の中で終わらずスッキリなラストもなかなか。時間軸の中に通り雨を挿入するセンスは流石。良作。

鑑賞日:03月14日 監督:ベルナルド・ベルトルッチ

曼陀羅

曼陀羅

久々の鑑賞。論争ありきの実に70年代的な面倒臭さはあるものの、アーバンから風情ある古都の強烈な映像美でねじ伏せられる。豊葦原瑞穂国としては岸田森一味の思想は現代においてかなり必要な事なんじゃないかとは思うけれども、歪んだ国家故に歪んだものが生み出されると云う皮肉。傑作。

鑑賞日:03月13日 監督:実相寺昭雄

おいしい生活

おいしい生活

全体的にちょっとヌルい感じだけれども、細かいところはきっちりウディ•アレンしているので安心して観ていられる。良作。

鑑賞日:03月12日 監督:ウディ・アレン

Mommy/マミー

Mommy/マミー

若くして既に家元レベルの芸風を確立してしまったグザヴィエ•ドラン。過去作品同様に激しさと静かさと美しさとブレずにしっかり彼の作品になっている。見事なアス比調整(1回が良かった)けれども、マイ•マザーの時のガツンとやられる様なところはなかった。しかしクオリティはやっぱり高い。良作。

鑑賞日:03月10日 監督:グザヴィエ・ドラン

野獣刑事

野獣刑事

なんと云うか、ド底辺すな。実のところあんまし野獣感はない上に全てを無くす緒形拳な訳だが、雰囲気だけで最後まで持っていく力量は流石。いしだ、泉谷のクズっぷりには閉口する。全体的に面白くはあるけれども、カーチェイスはややダルい。成田三樹夫はエリート役でも成田三樹夫だった。まずまず。

鑑賞日:03月07日 監督:工藤栄一

アンドレイ・ルブリョフ

アンドレイ・ルブリョフ

イエスが最後に人々に伝えたのは、世界は不公平で残酷だと云う、有史以来最大級の苦悩。しっかり湿り気たっぷりのタルコフスキー映像で15世紀初頭の凄惨なロシアがこれでもかと描かれている。この世の地獄の果てに導き出された期待と人間の力強さに鳥肌が立つ。大傑作。

鑑賞日:03月07日 監督:アンドレイ・タルコフスキー

地下水道

地下水道

徹底的な息苦しさと重なる屈辱。音楽家が劇中で奏でる壊れた劇伴も素晴らしい。なかなか。

鑑賞日:03月06日 監督:アンジェイ・ワイダ

愛の渦

愛の渦

なんだかひどく苛々すると思ったら、『ボーイズ•オン•ザ•ラン』の駄目な実写化しちゃった監督か。アイデアのみ。もっと苛々するのはやっぱり何がなんでもギリギリのところで隠す三津谷葉子。まずまずでした。

鑑賞日:03月02日 監督:三浦大輔

僕の村は戦場だった

僕の村は戦場だった

ほとんど同じ構図のサクリファイスのラストから今作のオープニングを改めて観ると鳥肌が立っちゃう。ウェッティな感じと映像美は完成済みの長編一作目。素晴らしい、傑作。

鑑賞日:03月01日 監督:アンドレイ・タルコフスキー