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The Seventh Continent

Films: Apr.2018『セブンス・コンチネント』ほか

May,06 2018 13:00

昔のミヒャエル・ハネケ作品の再鑑賞を中心とした4月。
全体的にちょっと過激かつ変なのが多い気もしなくはない。
何はともあれ、R.I.P ハートマン。

観た映画: 2018年4月
映画本数: 19

ニューローズホテル

ニューローズホテル

なるほど、サッパリ分からん。けれどもアベル・フェラーラ作品は当たり外れがある事はハッキリ激しく確信。天野喜孝、何しに出てきたか良く分からん教授とジョン・ルーリー、そして主演の3人で一応なかなか華はある。端末やら映像ごしにハニートラップなあれこれを進めてハメられた奴ははっきりとするのだけれども、肝心の原因が全く分からん。エッジを効かせ過ぎなのか凡人には理解不能、と云うかディテールがぶん投げられてる感じ。劇中に挿入されるMazzy Starみたいな曲は大変良かった。
追記:
よくよく考えてアーシア・アルジェント主体の攻殻機動隊的SF視点で観ると全てはっきりしてくる。ので、前言撤回で評価変更。やっぱりディテールは酷いけど。

鑑賞日:2018年4月27日 監督:アベル・フェラーラ


フォーリング・ダウン

フォーリング・ダウン

バーガー屋の下りが観たくて。冷戦末期のUSAあるあるで、景気の悪い今の日本でも充分にありそうな話。わらしべ長者ばりに武装してレベルアップ(もとい、落ちてるか...)のマイケル・ダグラスとロバート・デュバルとの比較図が絶妙。苦難の正直者たちの憂いの多くが詰まっている。中学生の頃に今作で国家予算について学んだ思い出深い一本でもある。誰にでも起こり得る。傑作。

鑑賞日:2018年4月26日 監督:ジョエル・シューマカー


帰ってきたヒトラー

帰ってきたヒトラー

個人的には娯楽作品は中道が望ましい。ものの、バイロイトinヒトラー!!のドイツ的に物凄いアウト感、ブルーノ・ガンツのパロディ、BTTFのマーティ風コスなのに足元がアディダス等々のしっかりキッチリなかなか面白いところも多数だったりもする。

鑑賞日:2018年4月25日 監督:デヴィット・ヴェント


軍旗はためく下に

軍旗はためく下に

壮絶。脚本に新藤兼人が名を連ねているだけあって、後の『わが道』みたいな藪の中テイストがある。それでいて深作的な激しさと緊迫感で釘付けになる。「末端に対して誠意がない」って台詞は今も昔も当てはまるよな。凄まじい。傑作。

鑑賞日:2018年4月24日 監督:深作欣二


ジェイコブス・ラダー

ジェイコブス・ラダー

このキマり具合は正確には何オチって云うのか。記憶と幻覚の刹那は混沌を極める。

鑑賞日:2018年4月23日 監督:エイドリアン・ライン


ベニーズ・ビデオ

ベニーズ・ビデオ

ハネケの"感情の氷河期"三部作の二作目。先日に続いてこちらも十年ぶりくらいの鑑賞。メディアは異なれど、テーマとなるいびつな距離感と胃に来る感じは最新作の『ハッピーエンド』まで一貫している。何が怖いって音が怖いよなぁ。と思いきやオルガンやら聖歌で意識をさらって行く絶妙さ。凄い。傑作。

鑑賞日:2018年4月21日 監督:ミヒャエル・ハネケ


10ミニッツ・オールダー イデアの森

10ミニッツ・オールダー イデアの森

昨日の続き。より重い感じの方。ベルトルッチとワラワラとネオナチが出てくるフォルカー・シュレンドルフのやつは流石に文句なしに良い。マイケル・ラドフォードのトップをねらえ!感もなかなか。ゴダールのはもちろん素晴らしいけれど、それよりもアルヴォ・ペルトの『鏡の中の鏡』が反則レベルで名曲過ぎる。こちらも全編通して好き。

鑑賞日:2018年4月19日 監督:ベルナルド・ベルトルッチ、ジャン=リュック・ゴダール他


10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス

10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス

実家から持ってきて久々の鑑賞。それぞれの監督にそれぞれらしい良さがあり、思わずニヤリとさせられる。ヘルツォークの土人のとヴェンダースは毎度楽しいけれども、今回はジャームッシュのやつ。グールドのゴルトベルク、より時間を感じさせる'81年録音の方を敢えて使うセンス。シビれる。カウリスマキのダサさもやっぱり良いねぇ。どれも甲乙つけがたい、全編好き。

鑑賞日:2018年4月18日 監督:アキ・カウリスマキ、ヴィム・ヴェンダース他


フルメタル・ジャケット

フルメタル・ジャケット

PT! ハートマン軍曹が亡くなったとの事で。ゾッとする人間の壊れっぷりな前後半。もちろん傑作。

鑑賞日:2018年4月17日 監督:スタンリー・キューブリック


5時から7時までのクレオ

5時から7時までのクレオ

水は低きに流れる如くな90分の中でテーマのシーンで時が止まる。アニエス・ヴァルダの演出も素敵だけどもやはりミシェル・ルグランが天才的。今を生きよう。

鑑賞日:2018年4月16日 監督:アニエス・ヴァルダ


ミラノ、愛に生きる

ミラノ、愛に生きる

富豪なのに安い。至る所の設定、エピソードの説得力なさ。ジョン・アダムズのミニマルミュージックも合ってなくて、いささか耳障りではある。最後の見せ場を盛り上げて行きたい気持ちは良く分かったけど、まずまず。

鑑賞日:2018年4月15日 監督:ルカ・グァダニーノ


触角

触角

我が家の発掘シリーズ。珍しい東宝配給で個人的には新藤兼人作品でもトップクラスに好き。他の作品でも度々取り上げられるマザコン的テーマと原爆恨み節。切れ味は他を凌駕し、昭和なブルジョワジー的お洒落さも相まって非常に良い。陰陽二役に雪やら何やら乙羽信子に対するスパルタ要求も変わらずなかなかにキビシイ。このところオイディプス王的ネタ映画を多く観ている気がするものの、これは他の名作に引けを取らない仕上がり。青木繁的構図も見事。何度観ても飽きないなぁ。傑作。

鑑賞日:2018年4月12日 監督:新藤兼人


恋愛日記

恋愛日記

『私のように美しい娘』の害虫駆除のイメージの強いシャルル・デネ。ほかにやる事ねーのかよってくらいに女性を漁る訳だけれども、キングダムのウド・キア化してもなお失われないストイックさで最後は何となくイケメンに見えてくる。「指紋の様な筆致」で出産の如く男が作品を生み出す姿に劇中の女性同様にちょっとグッとくる。しかしトリュフォーの脚描写は筋金入りだな。良作。

鑑賞日:2018年4月11日 監督:フランソワ・トリュフォー


セブンス・コンチネント

セブンス・コンチネント

十年ぶりくらいの鑑賞。オチが分かっていてもドキドキ、キリキリする。淡々と、あくまで淡々と日常からの...ショッキングな引越し映画。長編デビューにしてハネケ節は完成されている様に思われる。もちろん傑作。

鑑賞日:2018年4月8日 監督:ミヒャエル・ハネケ


人生スイッチ

人生スイッチ

リミッター振り切れ過ぎで胃が痛くなってくるオムニバス。リンチやハネケなんかで味付けで挿入されそうなフラストレーション系を行けるとこまで行ってやったッて感じ。映像もなかなかのもんで、疲れるけど面白い。出てくるやつ全員とお知り合いになりたくないけど。

鑑賞日:2018年4月7日 監督:ダミアン・ジフロン


豚と軍艦

豚と軍艦

インターナショナルゥ! 先日に続いて掃除してたら出てきたので久々の鑑賞。ま〜絶望的に惨めで貧しい。冒頭の「これは架空の物語である」とは日活の米軍に対する配慮か今平監督の悪い冗談か、いずれにせよ本編のその惨めさと図式は現在の日本も蓋を開けてみればさほど変わっていない気がする。水戸黄門みたいなリズムに乗って秘めたる誇りを持って抗え、と言われている様な。傑作。
過去記事: 豚と軍艦

鑑賞日:2018年4月5日 監督:今村昌平


グランドフィナーレ

グランドフィナーレ

デビッド・ラングの曲も含めて、構成がなんとなくグレート・ビューティーと被っている気もしなくはない。にも関わらず圧倒的な映像美と粋な台詞の数々で細かい事はどうでも良くなってくるクオリティ。あそこの場所のプレミアム感はともかくとして、天国の様な美しさを背に"人類の挑戦の悲壮さ"を実践せにゃならんのは、何も年寄りだけに限った事じゃない。ちょっとやる気が出てくる。良作。

鑑賞日:2018年4月4日 監督:パオロ・ソレンティーノ


ベイビー・ドライバー

ベイビー・ドライバー

主要パートでのクイーンの使い方とリズムのアタック感がまぎれもなくエドガー・ライト。個人的にはサイモン&ニックでイギリスな雰囲気の方が好きではあるけれども、良作。

鑑賞日:2018年4月3日 監督:エドガー・ライト


さよならの微笑

さよならの微笑

変な映画だな。不倫ものでここまでドロドロしてないのは初めてかもしれない。オープニングからエンディングまで一貫して突き抜けたポップさ。なかなか。

鑑賞日:2018年4月1日 監督:ジャン=シャルル・タケラ