惡の華
Jul,02 2013 12:03
先週は今期のアニメの最終回ラッシュでしたが、その中でも何かと衝撃的だったはやっぱり押見修造原作の『惡の華』のアニメ版。
ロトスコープで表現されたヌルヌル動く実写とアニメの間の独特な世界感で放送開始当初から方々で物議を醸していた今作。
原作を読まずに観ている立場としては、「原作の絵柄ガー」等の先入観はなく、ごくごくすんなりと入り込む事ができました。
と同時にその新しい表現に圧倒されっぱなしだったのでありました。
"体操着の盗難から始まり〜"
と放送中よく耳にした漫画版のCMの簡潔かつ見事な説明の如く、趣味が読書でボードレールの『悪の華』を愛読書とし、俺は周りとは違うと悦に入っている中二病を具現化した様な少年·春日高男。
この少年がほんの出来心で憧れのクラスメイトの佐伯奈々子の体操着を盗んでしまう所をよりにもよって絶対にお近づきになりたくないタイプ(でも可愛い)の仲村佐和こと爆弾娘に見つかってしまい、世にも遠慮したい類いの契約を押し付けられるハメとなる...
とまぁ大体こんな内容。
終始、仲村さんの非情な指令に絶え抜く春日。
次第に訪れる自我の崩壊と共に再構築されていくなんともある意味悲惨な青春。
絶対真似しちゃいけない圧巻鳥肌ものの7話から、ひたすら歩く8話の如く全般を通して静と動との緩急が実に秀逸で文字通りに視聴者は揺さぶられ続ける。
物語が加速しそうで加速しないまったり感もあったので、原作を知る人達の間では全13話で話がまとまるかどうか等が議論されていた様子。
雨の降る山道にて偶像の象徴とも云うべき佐伯さんと仲村さんとの超屈辱的なフルチンでの板挟みを経て、仲村さんが自分の真実の理解者である事に気付く。
そして最終回は過去から未来への断片的かつ混沌とした描写に加えて、第一部完なんて出ちゃったものだからこれまた方々で議論されているのを見かけた訳ですが、原作を読まないで観ていた人間としては、春日が無理矢理結ばされた契約から自らの意思で仲村さんと契約を結ぶに至った所で物語は完結し、そこの部分がアニメでのキモである様に思える。
その後の未来の行動はなんとなくあちこちで知識を仕入れてしまったのですが、今作に関しては契約後の行動を詳細に描くのは蛇足な気がしなくもないので、あの表現で良かった気もする。
勿論、話数が許せば観たかった事は観たかったけれども。
しかし、まぁ視覚的なものに加えて聴覚的にもなにかと斬新であった。
ハナ、ガ、サイタヨー
と繰り返す超絶不気味なAsa-Chang&巡礼のEDとゲストボーカルにの子、後藤まりこ、南波志帆を迎えたOP。
主題歌を集めたコンセプトEP、"惡の花譜"はジャケからして異常。
更には劇中で流れた深澤秀行が手がけたアンビエントなサウンドトラック、"惡の讃華"も押さえておきたい。
そんなかんなで土曜の深夜のお楽しみが終わってしまって寂しくはあるものの、
次の土曜からはまた"物語"シリーズが始まるので余韻に浸っている暇はないと云う嬉しい今日この頃。
『惡の華』のDVD欲しい。