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Laurence Anyways

Films: Sep.2013『わたしはロランス』ほか

Oct,01 2013 14:30

弱冠24歳にして才能を見せつけるグザヴィエ•ドラン祭りな9月。
基本的に人ごみは嫌いなのだが、"わたしはロランス"は公開2日目に乗り込む。
その流れでデビュー作の"マイ·マザー"も再鑑賞。
11月には日本での劇場初公開も控えているので、楽しみな事この上ない。
そしてオーソン·ウェルズはいつ何を観ても素晴らしい。

観た映画: 2013年9月
映画本数: 25本
鑑賞時間: 2554分

じゃりン子チエ 劇場版 [Blu-ray]

じゃりン子チエ 劇場版

笑っちゃう程のド底辺も何のその、チエちゃんのポジティブさで惨めさは微塵も感じない。はだしのゲンに文句が出る昨今ではかなりアウトすれすれの今作はやりたい放題だからこそ面白い。1981年当時の高畑勲のアニメーションの本気を垣間見る事ができる一本でもある。ゴジラ、寅さん等々も登場でこの上なく楽しい。傑作。

鑑賞日:09月30日 監督:高畑勲

スチューデント ヘア無修正版 [DVD]

スチューデント

ソフィ•マルソーを見たい為だけに鑑賞した訳だが、あまりのつまらなさに悶絶。監督クロード•ピノトーとともにラ•ブームの面影もない。とは云うものの、歳をとってもソフィ•マルソーは好きなので、お宝的な意味合いでは良し。

鑑賞日:09月29日 監督:クロード・ピノトー

マリリン 7日間の恋 [Blu-ray]

マリリン 7日間の恋

どっからどう見てもミシェル•ウィリアムズなのだけれども、最後は何となくマリリン•モンローに見えてくる。スターの表と裏、映画の表と裏を上手い事見せているんじゃあないでしょうか。現実はどうだか分からないけれど、ゴタゴタしてそうでいて、嫌な人間が出てこないってのも悪くない。川辺のシーンは実に美しかった。良作。

鑑賞日:09月28日 監督:サイモン・カーティス

悪の華 (クロード・シャブロル コレクション) [DVD]

悪の華

ボードレールでも押見修造でもないクロード•シャブロルの悪の華。現在と過去をノーカットで繋いでみせたりとさりげなく魅せる上手さ。淡々とした話の様でいて、気付けば不安と緊張に支配され一気に突き進むラスト。良いとこ一家のかなりややこしい家族関係で共感できるかと言えばハッキリ言って無理だが、凄い一本だった。良作。

鑑賞日:09月27日 監督:クロード・シャブロル

突然炎のごとく〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選9〕[DVD]

突然炎のごとく

下手なホラーより怖いジャンヌ•モローのご機嫌。鑑賞者がSかMで評価が変わってきそうである。と云う事で劇中の男どもとは違い、全く今作のジャンヌ•モローを崇める気には到底なれないのではあるが、先駆者は謙虚であれとの男の言葉への対抗手段としての爆弾娘(おばさん)っぷりは凄まじい。多種にわたるトリュフォーの撮影演出も嫌味ではない。当事者にはなりたくないが、はたから見ている分には大層面白い。傑作。

鑑賞日:09月23日 監督:フランソワ・トリュフォー

帝都物語 [DVD]

帝都物語

子供の頃は只々、加藤が恐ろしかった訳だが、それだけ嶋田久作がハマり役だったのでしょう。勝新をはじめ、改めて凄い面子。2時間チョイの尺ではいささか無理がある気もしなくはないが、役者、時代背景含め非常に華があって良い。荒俣宏ご本人もチョイ役で出演。人力のアニメーションも実に素晴らしい。そして美し過ぎる原田美枝子の巫女姿。実相寺昭雄のこの暗さはやはり好きだなぁ。良作。

鑑賞日:09月22日 監督:実相寺昭雄

俺たちは天使じゃない [DVD]

俺たちは天使じゃない

久々の鑑賞。ニール•ジョーダン版。この作品以降に比べるといささか持ち味が活かされていない様にも思えるが、良い意味でのリメイクはなされている。とんとん拍子で最後はキッチリと締める。ラストの朝焼けのシーンは実に美しい。デ•ニーロがデ•ニーロのモノマネをする人くらいの激しい顔芸に意識を持ってかれるものの、良作。

鑑賞日:09月21日 監督:ニール・ジョーダン

首都消失《デジタル・リマスター》[DVD]

首都消失

のっけこそ派手なタイトルでオオッってなるのだが、後半に進むにつれて映画自体が雲散霧消で結局何がしたかったんだと云う気になる。ラピュタ状態の東京を何とかすべく、凶暴で危険な男•渡瀬恒彦を筆頭にあれやこれや。スクール•ウォーズばりの熱い演技の山下真司の空回りっぷりも異常。そして鳥肌もの(笑)の大合唱。終わってみれば名取裕子がイイオンナだなぁってくらい。久々に凄いモンを観てしまった。

鑑賞日:09月21日 監督:舛田利雄

BU・SU [DVD]

BU・SU

現在も全く劣化している感じがしない富田靖子の全盛期の頃の一本で市川準監督長編デビュー作。陰険な3年B組に放りこまれてしまう天使な富田靖子。仏頂面をしつつも、以外とガッツがある。それだけに最後の笑顔はあまりに眩しい。成功する青春だけが笑顔を生む訳ではない。年をとってから観てみると市川準監督の細かい演出も良く見えてくる。やっぱり良作。

鑑賞日:09月19日 監督:市川準

ドーン・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット プレミアム・エディション [DVD]

ドーン・オブ・ザ・デッド

サラ•ポーリーがゾンビ映画に合う合わないは置いといて、非常にテンポが良く面白かった。機動力の高いゾンビの怖さは異常。ミディアムの旦那役のジェイク•ウェバーのラストの漢っぷりもなかなか。良作。

鑑賞日:09月16日 監督:ザック・スナイダー

台風クラブ [DVD]

台風クラブ

台風なので鑑賞。モヤモヤした日常から解放の非日常へのシフトが、相米慎二の長回しと合間って徐々に増幅されていく。非日常への不安感とワクワク感は不謹慎って事を抜きとしたら共感できる人も多い気がする。それにしても若者達が飄々と描かれているのに、内に秘めたザワザワが手にとる様に伝わってくるのは凄い。暴風雨の中のシーンは素晴らしいの一言。傑作。

鑑賞日:09月16日 監督:相米慎二

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

観てない気でいたら観てた。のっけのアークちょい見せから始まってレイダースからの流れが色濃い。ショーン•コネリーの遺影のシーンでは最後の聖戦で使われたテーマも流れる。今作はいささかスケールがでか過ぎる気もしなくはないが、単純に楽しいから良い。スピルバーグのエンターテイメントはいつでも素晴らしい。

鑑賞日:09月16日 監督:スティーブン・スピルバーグ

ラブホテル [DVD]

ラブホテル

不幸過ぎる。特に寺田農が。相米慎二の長回しと百恵ちゃんで不幸かつしみったれた雰囲気に包まれる。結果的に騙されていた寺田農は身から出た錆びって事で。どうにもならん男女のエピソードがどうにもならん感じで描かれる。バブリーでやや寒い箇所もあるものの、面白い。良作。

鑑賞日:09月15日 監督:相米慎二

I KILLED MY MOTHER

マイ・マザー / I KILLED MY MOTHER

"わたしはロランス"を観た流れで8ヶ月ぶりの鑑賞。容姿から美的感覚まで、すべてが向かうところ敵無しなグザヴィエ•ドランのデビュー作。息子的には大人になった後に赤面レベルであろう母親との確執の様がこれでもかとビリビリ描かれる。そしてバス停での母親の一言の破壊力。荒々しいまでに鑑賞者の心を鷲掴みにする今作は大人を描いたロランスより若いドランの等身大の姿を垣間見る事ができる。傑作。Crystal Castlesが流れるシーンも素晴らしい。

鑑賞日:09月14日 監督:グザヴィエ・ドラン

灼熱の魂 [DVD]

灼熱の魂

ちょっと衝撃的過ぎる。自分の場合だったら、母チャンそれは聞きたくなかったヨって言いたくなる内容な訳だが、怒りの渦中で起きた悲劇を母親が身を以て過ちを許すと云う手本を子供達に示す。母親の懐の広さが怒りを浄化させる様は、今もどこかで起きている争いに回答を示している様にも思える。1+1=1がまた実際にあり得そうで怖い。傑作。

鑑賞日:09月13日 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

西部戦線異状なし [Blu-ray]

西部戦線異状なし

傑作。戦争に憧れて戦地へ赴く若者達は最初の砲撃で自分達が間違っていた事に気付く。互いに対して恨みなんぞない末端同士の潰し合う様は不毛としか云い様がない。若者が恐怖に慣れていくあたりも何とも云えない複雑な気持ちになる。若者は死体に語りかける、「銃と軍服を捨てれば僕等は兄弟になれる」と。偉い人にはそれが分からんのですよと言いたくなる。名作。

鑑賞日:09月12日 監督:ルイス・マイルストン

夕陽のガンマン [Blu-ray]

夕陽のガンマン

何度観てもオープニングから感心しっぱなしの今作。主演の3人とオルゴール。モリコーネの音楽が4人目の役者の如く作品を引き締める。正に映画音楽のお手本。帽子撃ち合いの下りなどセルジオ•レオーネの演出もひたすらお見事。やや、リー•ヴァン•クリーフに持ってかれてた風のイーストウッドではあるものの、文句なしの傑作。

鑑賞日:09月11日 監督:セルジオ・レオーネ

ボディ・スナッチャーズ [DVD]

ボディ・スナッチャーズ

アベル•フェラーラ版。触手地獄に耐性のない人間にはキツイ。作りはまずまず。ドーン。

鑑賞日:09月10日 監督:アベル・フェラーラ

遊星からの物体X [Blu-ray]

遊星からの物体X

閉鎖空間で起こる疑心暗鬼とグロに次ぐグロ。で、単なるグロだけではないしっかりとした筋と見応えはあるが、やはりグロ過ぎて胃がムカムカする。音楽がモリコーネの必要があるかどうかは分からんが、グログロ良作。

鑑賞日:09月09日 監督:ジョン・カーペンター

わたしはロランス

わたしはロランス

"わたしはロランス" 狂おしいまでの'80年代臭。つい最近、放浪息子の最終巻も出たばかりと云うタイミング。24歳の監督、グザヴィエ•ドランの映像美にドキドキしっぱなしの2時間48分。"マイ•マザー"程の衝撃はなかったが、傑作。失禁レベルの"Fade To Grey"が最高。

鑑賞日:09月08日 監督:グザヴィエ・ドラン

フューネラル/流血の街 [DVD]

フューネラル/流血の街

タイトル自体とのっけの“暗い日曜日”から陽気さは皆無だが、やっぱりと云うか予想以上にどすーんと暗い。数あるマフィア映画の中でも断トツで暗い。クリストファー•ウォーケンを始めとする役者達の演技もかなりのもんだが、ラストの持って行き方は、やっぱりアベル•フェラーラの特長な感じ。ハーヴェイ•カイテルの方の“バッド•ルーテナント”程の衝撃はないものの、良作。

鑑賞日:09月07日 監督:アベル・フェラーラ

オーソン・ウェルズINストレンジャー [DVD]

オーソン・ウェルズINストレンジャー

久々の鑑賞。ナチ残党のオーソン•ウェルズが追い詰められる筋だが、割と自爆な気もしなくはない。上手く化けたつもりが世界はどんどん狭くなる様を鑑賞者は神目線で観るのだが、それでも圧倒的な緊迫感。オーソン•ウェルズの登場シーンの影の使い方の秀逸さは流石。ロレッタ•ヤングの“影だけが地面に残っていた”の台詞の所は素晴らしい。傑作。

鑑賞日:09月05日 監督:オーソン・ウェルズ

小さな泥棒 [DVD]

小さな泥棒

圧倒的な可愛さで最早敵なしのなまいきシャルロットが見事にズタボロ化する。この頃から幸の薄い役が既にハマっている。ノッポな上にやってる事は結構な犯罪って云う大人みたいな子供のシャルロット。色んな惨めさに揉みくちゃにされて、ささやかに大人になって行く。良作。

鑑賞日:09月03日 監督:クロード・ミレール

WALKABOUT 美しき冒険旅行 [DVD]

WALKABOUT 美しき冒険旅行

アボリジニと〜、JKが〜、出会った〜。あまりに壮大なオーストラリアの大自然の中で無力な白人が露骨に描かれる。肉屋で売っている肉と狩りでさばく肉など、シニカルな対比が多い。全裸で泳ぐシーンなんかはこれが本来の姿と云わんばかりに美しい。求愛の末に散ったアボリジニの青年は、この地の歴史をそのまま写している様に見えなくもない。“ジェラシー”も然り、ニコラス•ローグ作品は何か強烈なものがある。傑作。

鑑賞日:09月02日 監督:ニコラス・ローグ

不毛地帯 [DVD]

不毛地帯

戦闘機選定をめぐっての商社と政治家のドロドロの泥仕合。シベリア抑留で全裸&四つん這いの憂き目にあった大本営参謀上がりの仲代達矢は日本でもまさしく不毛な争いに巻き込まれると云うか進んで奔走する。雲の上の方で本当に起こっていそうな人間の醜い争いに反吐が出そうな程の臨場感がある。八千草薫と秋吉久美子のツーショットだけでも観る価値がある。傑作。

鑑賞日:09月01日 監督:山本薩夫