Films: Dec.2013『パーフェクトブルー』ほか
Jan,07 2014 15:00
何かとバタバタしていてあまり映画を観る暇がなかった12月。
少ない本数の中で凄く面白いのとつまらないとがはっきり分かれた月でもあった。
岡本喜八と今敏作品はいつ観てもハズレなし。
観た映画: 2013年12月
映画本数: 20本
鑑賞時間: 1948分
サヴァイヴィングライフ -夢は第二の人生-
シュヴァンクマイエル作品にしては実に丁寧過ぎる程の説明で分かりやすい作品となっている。良いか悪いかは別として、アニメーションの面白さでキッチリ成立しているから良し。毎度の事ながら、しばらく牛タンは食べる気をなくす。なんともポジティブな作品だった。
鑑賞日:12月31日 監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
サベイランス
ジェニファー•リンチ作品はボクシング•ヘレナ以降観ていなかったのだが、ちゃんと活動されていた様で何より。だが、今作においては面白くない事はないが、いささか物足りない気もしなくはない。割と教科書的なドンデン返しは綺麗過ぎるし、バイオレンス描写に関しては父親と違って品がない。親父自らが歌うヘロヘロなエンディングは実に良かった。まずまず。
鑑賞日:12月29日 監督:ジェニファー・リンチ
千年女優
個人的には今敏作品の中でも埋もれがちな今作ではあるものの、面白い事には変わりない。月と地球の物理的な距離よりも遠い影を時間を越えて追う女優。その疾走感とアニメーションで表現された走りの形の細やかさは実に秀逸。場面転換の滑らかさも然り。色んな映画のオマージュも楽しい。音楽も平沢進になり今敏作品を観ているって感じ。傑作。
鑑賞日:12月29日 監督:今敏
009 RE:CYBORG
攻殻は面白かったと思うけれども、それ以降の神山作品はやっぱり好きじゃない。観ているこっちが赤面ものの脚本、演出はどうにかならんものか。映像のクオリティが物凄い事は言うまでもないけど。残念。
鑑賞日:12月27日 監督:神山健治
マリアの受難
あまりにあんまりなマリアの受難はとめどない。卑猥な形の人形を握り締めつつの昆虫採集(自称)な状況に陥るのも無理はない。受難の果てに訪れた、まさに奇跡の様な一瞬は身震いする程。素晴らしかった。
鑑賞日:12月25日 監督:トム・ティクヴァ
ロケーション
やっぱり森崎東は変な監督だな。各種設定からして変でいて面白い。ポルノ映画の撮影隊を撮影する二重構造が結果的に実に臨場感溢れたものになっている。女の曰くありの盆の墓参りに同行し行き当たりバッタリのロケーション敢行する。西田敏行ほか役者陣はいずれも良い味を出していたが、美保純と大楠道代の熱演は思わず胸が熱くなる程の迫力。DVD化しなきゃいけないレベルの傑作。
鑑賞日:12月22日 監督:森崎東
キラー・エリート
サム•ペキンパーは大好きだし、この70年代な面子で面白くない訳がないだろうと思っていると見事に裏切られる。序盤にロバート•デュバルがジェイムズ•カーンを撃つシーンにアッとなるも、その後ストーリーは失速に失速を重ねて散りゆくお粗末な忍者と共になんとも酷い感じで終わる。が、サンフランシスコ的なカーチェイスやアメリカと云う国の血税の無駄のスケールのデカさをサラッと糾弾する辺りはなかなか。まずまず。
鑑賞日:12月22日 監督:サム・ペキンパー
侍
寒い日だったので久々の鑑賞。桜田門外の変を舞台とした実に哀しき男と消えゆく侍の物語。タイトルからラストの雪の桜田門外まで全く無駄がない。鑑賞者は東野英治郎のもどかしさと共に三船敏郎の行く末を見守り、侍の終焉を突き付けられる。しかしシリアスな岡本喜八作品でもテンポ、ズームの気持ち良さは変わらず。珍しく悪そうな役の伊藤雄之助も嫌いではない。勿論、傑作。
鑑賞日:12月21日 監督:岡本喜八
パーフェクトブルー
アニメーションだからこそできる表現を1作目でやってしまう今敏。既に完璧なまでに出来上がっており、文句の付けようがない。場面切り替えの素晴らしさ。しかし何度も観ていると、もはや出オチ状態のルミちゃん。やっぱり強烈だった。今作と妄想代理人は凄すぎる。傑作。
鑑賞日:12月18日 監督:今敏
晴れ、ときどき殺人
あまりのつまらなさに久々に10分くらい寝落ち。しょうもないギャグをワザとやってそうな気もしなくはないが、あまり深く考えるのはやめたい。宇崎竜童の安心サウンドだけ和む。
鑑賞日:12月17日 監督:井筒和幸
Campo (El)
[セカンド·ハウス(日本未公開)]田舎に越してきた夫婦は大殺界なのか何なのか、とにかく不穏な感じに悩まされる。アダムスファミリー的な婆さんが勝手に家の中にいたら確かに嫌なもんだとは思うが、東洋には風水ってものがあってだな。と云う事を強く感じた一本。なかなか面白かった。
鑑賞日:12月17日 監督:Hernan Belon
恐怖と欲望
『非情の罠』以前の若かりしキューブリックの一本。クオリティに満足できずに封印したと納得できる低予算映画な訳だが、なんとなくやりたい事は分かる...が、キューブリックの頭脳に自身の技術が付いてきていない感じはする。これを封印するならば世の中にはもっと封印した方が良い作品が沢山あるレベル。
鑑賞日:12月16日 監督:スタンリー・キューブリック
裸のランチ
この頃のクローネンバーグ作品はなんかこう、グロくて汚いのは勿論としてエロティックさが増してきている感じがする。カフカ的なと言っちゃアレなんだろうが、クローネンバーグにしては珍しく分かりにくい一本。20年くらい前に観た時も、やっぱりボンヤリ観ていた気がする。まぁ難しい事は考えずに肛門のオンパレードやグロを楽しめば良いと思います。やっぱりカナダっぽい時代のが好きだなぁ。
鑑賞日:12月15日 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
狂った果実
岡田英次がスケベ面で引用する立原道造の「濡れた草場に隠れて僕の繰り返した様々の窮屈な姿勢を何とみじめに快かったことか」的な青春を何とも超真面目に描く根岸吉太郎。そしてなんだかもう男の理想形みたいな蜷川有紀が、これまた都合良い感じのエロゲー展開へと誘う辺りは悶絶もの。どいつもこいつも不器用なのが愛おし過ぎる傑作。アリスの主題歌も良かった。
鑑賞日:12月13日 監督:根岸吉太郎
肉体の盛装
随分とえげつないタイトルである。京都の花柳界に名を轟かすビッチが男の恨みを買うって話な訳だが、流石の新藤兼人脚本でキッチリ締まっている。戦火を逃れ封建的な文化が残る街に生きる芸者の姉•佐久間良子と今更清楚がしっくりこない藤純子主に描く。重くのしかかる瓦屋根、暗い路地とその先の明り等々の京都と物語のマッチングは絶妙。そしてメンタル崩壊の西村晃もなかなか。汚れと云うのも色々である。良作。
鑑賞日:12月11日 監督:村山新治
奇人たちの晩餐会
ややネタがクドい気もしないではなく序盤はいまいち。段々とテンポが良くなってきて、最後はちょい美談になるもしっかり伏線を回収して落とす古典的な締め。嫌いではないです。時間も丁度良し。
鑑賞日:12月08日 監督:フランシス・ヴェベール
羅生門
つい最近、芥川龍之介を読み返していたので久々に鑑賞。リマスター版って事でエラい綺麗になっていて驚いた。人の心の実に複雑な事。鑑賞者をまさに匠レベルの技術で疑心暗鬼地獄へ迷い込ませる黒澤明とスタッフ。何度観ても新鮮で発見がある。当然傑作。
鑑賞日:12月08日 監督:黒澤明
聖トリニアンズ女学院 (史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦)
腹がよじれる程のコメディを期待すると、いささか物足りないかもしれない。まずまず。
鑑賞日:12月07日 監督:バーナビー・トンプソン、オリヴァー・パーカー
死亡遊戯
久々に観たがやっぱり鬼編集。CGも何もない時代の製作者の苦悩が伺える。にしても、もうちょい似ている奴いなかったのかなぁ。本人シーンはキレキレで素晴らしい。
鑑賞日:12月03日 監督:ロバート・クローズ
ヘルタースケルター
エリカ様見たさで鑑賞したものの、あまりの酷さに絶句(特にエリカ様と大森南朋の常にキメ顔の演技が)。第九とカノンと美しく青きドナウに失礼なレベル。桃井かおりは桃井かおりで良かった。
鑑賞日:12月02日 監督:蜷川実花
category: 映画レビュー
tags: 2013年映画レビュー