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Twin Peaks

Films: Oct.2016『ツイン・ピークス』ほか

Nov,02 2016 12:30

2017年公開に備えて、先月末から"ツイン・ピークス"を見始めたせいか、それに続いて"キングダム"など、何やらカルトな様相を呈している気もしなくもない10月。
と思いきや、ざーっと見渡してみるとなかなか名作、傑作ぞろい。
セルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチの素晴らしさは言うまでもないとして、
どの作品も外れる事がないばかりか、必ず妙な満足感を得られるフランク・キャプラ作品。
ミケランジェロ・アントニオーニはやっぱり頭オカシイ。

"ツイン・ピークス"と"キングダム"について書いた過去記事もどうぞ。
新・習志野劇場 第1回 『Twin Peaks』
新・習志野劇場 第12回 『Kingdom』

観た映画: 2016年10月
映画本数: 15本
鑑賞時間: 2324分

ザ・マスター

ザ・マスター

PTAが描く怪しげな宗教観、師弟の組合せは前の作品よりかなり掘り下げられているかと思われる。他の信者とは異なるマスターとトラウマ男との関係、現世に置いての付かず離れず、しかしながら互いに強烈に惹かれあう関係。人と人との因果の壮大な話が割とのんびり語られる。が、今作に関してはPTAの手腕、ジョニーの音楽ってよりも役者の迫力が上回る。エイミー•アダムスの手淫もなかなか。良作。

鑑賞日:10月31日 監督:ポール・トーマス・アンダーソン

流されて2

流されて2

前作とは異なり物理的には流されない上にソド○ーも無し。良く喋るマリアンジェラ•メラートと妙にお洒落なサントラだけは楽しめる。

鑑賞日:10月31日 監督:リナ・ウェルトミューラー

キングダム

キングダム

ボックスセットを引っ張り出しての再鑑賞。かなりの鬱要素満載のシリーズなものの、この頃のラース•フォン•トリアーは映画作りをとても楽しんでいる様にも見受けられる。オカルトはともかく、コミカルのキレが際立っている。大量のフラグをブチまけてしっかり回収しているかと思えば、一番大事な続きが役者死亡により作れないと云う、伝説レベルの放置と実に凄まじい。やっぱりウド•キアーがいるいないでは締まりが違う。傑作。

鑑賞日:10月30日 監督:ラース・フォン・トリアー

マラソン マン

マラソン マン

真夜中のカーボーイ的な満足感を求めるといささか物足りない気もしなくはない。凄く上手い所があるかと思えばショボくもなる。マラソンの要素がある様なない様な中途半端な感じではあるものの、ラストに歩くダスティン•ホフマンやユダヤ人街を行くナチ残党など面白いシーンも多い。

鑑賞日:10月24日 監督:ジョン・シュレシンジャー

トレヴィの泉で二度目の恋を

トレヴィの泉で二度目の恋を

世界中で似たような事をやる輩が後を絶たなそうな気もしなくはない。年齢的にジジババの暴走を有り難がるつもりはないにせよ、マイケル•ラドフォードのグッとくる演出は20年くらい前の映画と変わらず。なかなか良作。

鑑賞日:10月23日 監督:マイケル・ラドフォード

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

久々の鑑賞。ただでさえ天才的なレオーネ+モリコーネの成熟度マシマシな一本。喪失の美学のお手本のよう。傑作以外の言葉がない。続•夕陽のガンマンと甲乙つけがたいくらいに好き。

鑑賞日:10月22日 監督:セルジオ・レオーネ

赤い砂漠

赤い砂漠

凄まじい壊れっぷり。どこまでも満たされないモニカ•ヴィッティ。冬の工場地帯に映える色彩の見事な事。素晴らしい。

鑑賞日:10月21日 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ

ワイルド・アット・ハート

ワイルド・アット・ハート

ツイン•ピークス再鑑賞のついでに。同時期な為に役者が被りまくっている他、連なるのは豪華な面々なリンチ的オズの魔法使い。呪い(悪)への対抗、脱却と云う筋はツイン•ピークスとあまり変わらんけれども、どこまでも陽な仕上がりとなっている。瞬間的にリンチ作品の中でも断トツな部分が多々ある。傑作。

鑑賞日:10月19日 監督:デイヴィッド・リンチ

深く静かに潜航せよ

深く静かに潜航せよ

JAPを連呼するのはいただけないけれども、後のUボートなんかにも踏襲される密室での静と動を使い分けたスリリングな展開は流石。イケてるダンディズムを追求するクラーク•ゲーブル劇場と思いきや世代交代のなかなか良い筋であったりする。面白かった、良作。

鑑賞日:10月18日 監督:ロバート・ワイズ

或る夜の出来事

或る夜の出来事

うーん、素晴らしき哉。全ての気が効いている感じ。傑作。

鑑賞日:10月17日 監督:フランク・キャプラ

おろしや国酔夢譚

おろしや国酔夢譚

実話との事で。ロシアに漂着した大黒光太夫こと緒形拳以下、船員たちのロシア横断から帰国までの結構なスペクタクル巨編。大航海時代の野望がちらほらと見え隠れするものの、自然以外はさほど恐ロシアではない。エリツィン時代における日ロ友好のほのかな願望が伺えたりもする一本。音楽をバスッと切る演出以外はなかなか良かった。良作。

鑑賞日:10月17日 監督:佐藤純彌

マルティナは海

マルティナは海

ビガス•ルナ監督のおっぱい星人ぶりに加えて、謎の朗読プレイ。何やらよく分からないけれどもエロティック。どいつもこいつもツメが甘いけれども、たまにはこんな脳天気さもなかなか。期待していたピアノマジックの曲はあんまり合ってなかった。良作。

鑑賞日:10月16日 監督:ビガス・ルナ

ツイン・ピークス

ツイン・ピークス

新シリーズに備えて、6〜7回目くらいの鑑賞。リンチ監督回とその他の監督回のクオリティの差は仕方ないにしても、2ndシーズン後半は結構グダグダしている。最終回でリンチが撒き散らされた伏線を回収しまくる上に、登場人物をブラックロッジ方面へと叩き落す切れ味鋭い演出は流石。25年を過ぎてどんなのが観られるか楽しみ。

鑑賞日:10月15日 監督:デイヴィッド・リンチ

ウッドストックがやってくる!

ウッドストックがやってくる!

あー、人がゴミの様だ。しかしながら、どこまでもピースフルなヴァイブス。裏方及び当時のそんな雰囲気を拾い上げた映画と思われるので、一切アーティストが出てこないのはさほど重要ではない。むしろバックでほんのりと流すセンスを買う。ちょいちょい挟まれる、おホモ達感がまたアン•リーらしい。良作。

鑑賞日:10月10日 監督:アン・リー

ラストエンペラー

ラストエンペラー

個人的には'70年代のベルトルッチ作品と同じくらい好き。今作から数作一緒にやる教授との相性もぴったりである。中国の歴史上、繰り返し起こる権力の終焉における乱世感が実に良く表現されている。紫禁城を出たり入ったりするジョン•ローンの毎日同じところで身ぶるいする程のドラマチックなキメだけではなく、どのシーンにも演出の丁寧さが伺える。戦前の中国の魅力と散りゆく者のあまりにデカダンスな物語。傑作。

鑑賞日:10月04日 監督:ベルナルド・ベルトルッチ