Films: Nov.2016『最後の晩餐』ほか
Dec,03 2016 12:15
トリュフォー、ミケランジェロ・アントニオーニと始まってイタリア気味で行くかと思われた11月。
蓋を開けてみれば、秋のアントニオ・バンデラス祭りにワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナシリーズをはじめとしてなかなかゴチャゴチャしたラインナップ。
リンチが流石なのは言うまでもないとして、
最後の晩餐を見つけたのは今月一番の収穫だった。サントラも実に素晴らしい。
観た映画: 2016年11月
映画本数: 23本
鑑賞時間: 2691分
仁義なき戦い 組長最後の日
新シリーズ2作目から大分あけてしまったものの、広能は関係ないので気楽に鑑賞。政治観のない主人公像としてはシリーズとして変わらないものの、藤岡琢也と松原智恵子に気を取られっぱなしで文サンどころじゃない。俺の妹とイチャついてまんざらでもない文サンの表情はなかなか貴重かもしれん。良作。
鑑賞日:11月28日 監督:深作欣二
ミスター・ソウルマン
ちょいちょい面白いところはあった。プリンスネタみたいなのが少しだけだったのが、いささか残念。シャフトのテーマのとこは実に良かった。
鑑賞日:11月26日 監督:スティーヴ・マイナー
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地争覇
3作目。今回は西太后から始まりロシアのスパイ問題を絡めるなかなか絶妙な筋。アフレコがズレまくろうが、若干キャラが変わろうが、漫画みたいなジェット•リーのアクションの格好良さは変わらず。良作。
鑑賞日:11月22日 監督:ツイ・ハーク
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱
2作目。前作で死んだ奴が別人で出てきたり、ユン•ピョウの役が別人になってたりと微妙に仁義なき戦い現象が起きていてもジェット•リーがいれば許される。孫文も出てくる今作は国外に対する憂いに加えて国内の動乱もより色濃くなってはいる。良作。
鑑賞日:11月21日 監督:ツイ・ハーク
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明
列強に迫られる清王朝末期の民族的屈辱感、そんな思いを抱えつつ、どんな時も慌てないジェット•リー。熱い。音声がモコモコしている意外は演出や構図も素晴らしい。良作。
鑑賞日:11月19日 監督:ツイ・ハーク
私が棄てた女
なかなか印象深い。お前の弱さは俺の弱さでもある、誰もが俺であり君なんだとまさに集団就職、高度経済成長時代ならではの各々が各々の弱さの中でもがく青春。モノクロとカラーの演出や自然な台詞なんかも実に好ましい。見終わった後に妙な虚無感があるものの、良作。
鑑賞日:11月18日 監督:浦山桐郎
デビルズ・ノット
魔女狩りをする90年代的なアメリカの民衆の恐ろしさはきちんと描かれている。実話って事で真犯人やら諸々がモヤモヤしているのは仕方ないとは思われる。標的にされたメタルキッズが犯人と思わせといて、ロバート•ジョンソンを聴いているコリン•ファースが実は犯人だったでござる、と云う方が映画としては楽しめた気はする。良くも悪くもエゴヤンらしい作品。
鑑賞日:11月15日 監督:アトム・エゴヤン
醜聞(スキャンダル)
他人の私生活を暴く「現代の辻斬り」は公開時はもとより、今の時代にも適用される普遍的なテーマではある。三船敏郎の話ってよりは、『生きる』よろしく生ける屍のような志村喬がお星様に昇天するお話であり、弱者達が来年から頑張ると蛍の光を爆唱するシーンのリアルな弱者像はこれまたかなりのもの。若干ダレる気もしなくはないけれども、良作。
鑑賞日:11月15日 監督:黒澤明
ある結婚の風景
作中の終盤に至っても尚、互いを理解しきれていないのに離れられないと云うこの微妙な距離感。一般的には腐れ縁とでも言うのだろうけれども、この人達のそもそもの始めから終わりまで何故くっ付いているのか首をかしげたくなる。ものの、そこには人知を超えた何ものかがある訳で、「人生には確かなものはなく、ただ運命を受け入れるしかない」とな。傑作。
鑑賞日:11月14日 監督:イングマール・ベルイマン
マスク・オブ・ゾロ
勝手に晩秋のバンデラス祭り第三弾。終始ハリウッド的な予定調和ではある。世代交代の筋はなかなかだけれども、個人的には奇傑ゾロで充分だった。アントニオ•バンデラスは実に良い。
鑑賞日:11月13日 監督:マーティン・キャンベル
レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード
ガン=カタどころじゃない。脚本もクソもない感じだけれども、ギラギラしたアントニオ•バンデラスがいるだけで成立する。良いなぁ。
鑑賞日:11月12日 監督:ロバート・ロドリゲス
インランド・エンパイア
裕木奈江が見たくて、公開時以来の再鑑賞。10年振りで割と新鮮な気持ちで観られた訳だけれど、実にややこしい。ローラ•ダーンの現実、撮ってる映画の中、未完の映画『47』の当時等々の場所と時間軸がごっちゃな中、物語は進む。Axxon!、シルクの穴、スクリーン等であっちこっちを行ったり来たりすると思われ、最終的には未完だった映画を撮りきり、青緑色の世界から全てを見守る無念なロストガールが成仏した的な話ではなかろうか。よくやるよね、良作。
鑑賞日:11月08日 監督:デイヴィッド・リンチ
第五福竜丸
久々の鑑賞。控えめながらも内に孕んだ猛烈な怒りと云うのは、やはり原爆を扱いまくる新藤兼人作品ならでは。今作を観た後で木場の実物を見る事にも意義がある。殿山泰司は漁師の方が合っているとは思うものの、良作。
鑑賞日:11月07日 監督:新藤兼人
情事
とりあえずクズが多いのは置いておく。恋人であり友人である女の失踪の後に相思相愛になったのなら放置でいーんでないかいとも言えなくはない。が情事を行った者が理解できる、寝とった私の因果応報的不安感とやたらと美しい構図はかなり効果的。良作。
鑑賞日:11月06日 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
最後の晩餐
飯テロってレベルじゃない。死へと突き進む飽食で観てる方も体調がおかしくなってくる。とんでもなく退廃的な中のユーモアはソドムの市に匹敵する。放屁とマーロン•ブランドが秀逸過ぎる。傑作。
鑑賞日:11月04日 監督:マルコ・フェレーリ
O嬢の物語
ウド•キアが観たくて。しかしなんだな、この監督は実に退屈な映画を作るのが上手いね。とは云うものの、ひたすら繰り返す謎のプログレサントラとほわーっとした処理で見せるお耽美とモダンの組み合わせは嫌いではなかったりする。まずまず。
鑑賞日:11月03日 監督:ジュスト・ジャカン
砂丘
久々の鑑賞。うーん、ラヴ&ピース。そんな時代の若人の衝撃と炸裂。ブルジョワジーと資本主義も吹き飛ばしてしまえとなかなか熱い。何度観ても砂漠のラヴメイキンと爆発シーンは冴え渡る。ピンク•フロイド他のサントラも実に効果的。傑作。
鑑賞日:11月02日 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
日曜日が待ち遠しい!
軽やかで巧妙で絶妙。各所の細かい演出のセンスの良さ。上映中の映画は『突撃』なのがまたニクい。本編も勿論だけれども、エンドクレジットは素晴らしいの一言に尽きる。傑作。
鑑賞日:11月01日 監督:フランソワ・トリュフォー
category: 映画レビュー
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