Films: Sep.2018『早春 / DEEP END』ほか
Oct,03 2018 12:30
ライブラリ整理もあって再鑑賞ものが多かった9月。
それもあってか傑作揃いなラインナップ。
初めて観た『早春』と『さすらいのカウボーイ』が特に印象深い。
ソーコさんの『ザ・ダンサー』もなかなか。
しかしながら最後に『イグアナの夜』と云うとんでもない傑作が待っていた。
思い出しただけでもジンワリくる。
観た映画: 2018年9月
映画本数: 21本
イグアナの夜
ファンタスティック。メイ・ユー・グアチしつつも、秘めたる葛藤の露出。そしてそれらを癒す一夜の生きた交流。満点を振り切る。大傑作。
鑑賞日:2018/09/30 監督:ジョン・ヒューストン
荒野の無頼漢
ミスター・ノーボディっぽいと思ったら、こっちが先だった。ほんわかしたサウンドに乗せて超展開の連続。ロバート・ロドリゲスも真っ青なオシャレ武器で火薬量もなかなか。マカロニなメキシコでヤンキー、露助にチャイナとごった煮状態でカオス。緻密な様で雑、雑な様で緻密と癖になる一本。良作。
鑑賞日:2018/09/27 監督:ジュリアーノ・カルニメーオ
泥棒野郎
一応の監督デビュー作をようやく鑑賞。ラビのやつとかマーチングバンドのやつ等々、他の初期作でも見かける突き抜けたくだらなさのクドい鉄板ネタ満載。精神分析どころでない壊れっぷりはやはりグルーチョを感じさせる。良作。
鑑賞日:2018/09/26 監督:ウディ・アレン
ダークシティ
確かにアレだな、体を反らせて弾よけするあの人が出てくるイメージ。ウィリアム・ギブソン的サイバーパンク感は嫌いじゃないけど、いささか風呂敷がデカ過ぎる気もしなくはない。まずまず。
鑑賞日:2018/09/25 監督:アレックス・プロヤス
ソイレント・グリーン
時は2022年、ディストピアどころか映画自体がボロボロな印象。どうみてもミッドセンチュリーな雰囲気はともかくとしてアメフト部に品のないクラシックの使い方と気になるところが多過ぎて、なかなか捗らなかった。マッドボンバーのおじさんは出てくるだけで無駄に存在感があってよろし。
鑑賞日:2018/09/23 監督:リチャード・フライシャー
ザ・ダンサー
女子の命削る系でスポ根要素も入ってる途轍もないトップをねらえ!感。今時なオシャレ番長ソーコさんがヨカナーン代わりに兎の首を持ちだしたりと、のっけから全開でなかなか見応えがある。一人で存在感マシマシなのでデップの娘の下りは不要な気もしなくはない。上手いこと現代を取り込んだパフォーマンス、映像とヴィヴァルディの四季を再構成したマックス・リヒターのやつとで、ただの伝記に仕上げないあたりに非常に好感が持てる。良作。
鑑賞日:2018/09/20 監督:ステファニー・ディ・ジュースト
コックファイター
先日のさすらいのカウボーイ、ウォーレン・オーツ繋がりで久々の鑑賞。俺の生き様を見てくれと言いつつ撃沈するダメでどうしようもない漢。アンドレイ・ルブリョフばりの沈黙の行とひたすらストイック。やっぱりフライドチキンはイカン。
鑑賞日:2018/09/19 監督:モンテ・ヘルマン
ゲット・アウト
時代は黒人だよねと言われても、個人的には別に共感はしない。出てきた瞬間に胡散臭いGIRLSの女にどこまでも中途半端なケイレブ登場で普通に嫌な予感しかしないってのは狙い通りなのかな。絶妙なさじ加減の人種差別ネタで構成されていて面白い事は面白いけど、全体としてはちょいと物足りない気もする。鹿のシーン対比としてのラストはなかなか。
鑑賞日:2018/09/18 監督:ジョーダン・ピール
かくも長き不在
グイグイ行くカミさんに対してのなんとも言えない表情。戦争がもたらした、この絶望的な溝と爪痕が文字通り痛い。そして終わらない不在で冬に望みをかけるって、これまた痛い。良作。
鑑賞日:2018/09/17 監督:アンリ・コルピ
さすらいのカウボーイ
三者各々が心残りと不安を抱えつつ、それぞれが我を通す。それぞれを不器用ながらに思いやりと悲しげな優しさをのぞかせながら。おまけに銃撃戦すら酷く不器用とやたらに人間臭い西部劇に仕上がっている。やりたがりなクドいトランジション処理がちょっと気になるけど、画自体が綺麗だから問題なし。ブルース・ラングホーンのサントラは良過ぎだな。
鑑賞日:2018/09/16 監督:ピーター・フォンダ
カミーユ・クローデル
我が家ライブラリより。自分の中で超絶可愛いと常に話題のカミーユ・クローデル。の人生のお話をこれまた美しいイザベル・アジャーニが演ずるとこれだけで贅沢企画。ロダンとの痴情のあーでもないこーでもないの見せ方はともかくとして、アジャーニ嬢にほぼポゼッション化のボロ雑巾みたいな役をやらせたら敵なしだな。良作。
鑑賞日:2018/09/13 監督:ブルーノ・ニュイッテン
穴
ディテールが割とザルで穴だらけな気もしなくはないけれども、それも気にならないくらい最後までスリリング。身近な特大サイズの穴に気がつかない心理の穴と、とっても上手い作り。刑務所では連帯を乱す罪は何より重いのだねぇ。良作。
鑑賞日:2018/09/12 監督:ジャック・ベッケル
誰のせいでもない
小道具に証明写真はヴェンダースだよなぁ。3Dの必要があるのか良く分からないけども、劇場でなくともヌルヌルしている映像。それぞれがそのうち良くなる為にはそれぞれがそれぞれに対して寛容さの様なある種の作法が必然なのだろうね。ヴェンダースらしくないなぁと思いながら観ていたけれど、地味にほっこりする感じはやっぱり昔から変わらない気もする。良作。
鑑賞日:2018/09/11 監督:ヴィム・ヴェンダース
犬ヶ島
謎の昭和感でどこまでも黒澤明的だけども、いつものいつものウェス・アンダーソン。劇中のディストピア具合と今時の日本との対比で笑えなくもあり、楽しくもある。市長のモデルは三船なのか。てっきり旭かと思ったよ。ともかくまぁ、うちは猫派です。良作。
鑑賞日:2018/09/08 監督:ウェス・アンダーソン
早春
CANとホットドッグの妙。触っただけでもヤカンのお湯を沸かす事が出来そうなくらいの童貞君の凄まじい熱量。からの失敗+失敗でクールダウンと文句の付け所がない。色彩と秀逸なシーンとクソ可愛いジェーン・アッシャーでジョージ・最高!! そんな時代の一本。傑作。
鑑賞日:2018/09/07 監督:イエジー・スコリモフスキ
墓にツバをかけろ
原作からの鑑賞。一応、脚本にはボリス ・ヴィアンの名があるものの、駄目出しの嵐の末の映画化って事で納得してない様子。キャラ名、設定から始まってストーリー自体が明後日の方向へ行ってる感じ。フランス本国で発禁処分となっていた原作の異常な生々しさは時代的に表現は難しいとは云え皆無。ボビーソックスもギターも出て来ず、いかにもフランス映画的サントラ(結構良い)でアメリカ感も無し。今作の試写で心臓発作で死亡との事のボリス・ヴィアン。映画の余りのつまらなさにそうなったのかどうかは定かではない。
鑑賞日:2018/09/03 監督:ミシェル・ガスト
バニー・レークは行方不明
HAL9000もドン引きしそうなレベルの壊れっぷり。先の読めなさ具合&どこでゾンビーズが出て来るのかで、全くもって予測不能な一本だった。ジャンケットとティーで優雅な午後を過ごしたい。良作。
鑑賞日:2018/09/03 監督:オットー・プレミンジャー
SCUM/スカム
今読んでるハクスリーのとちょこっと内容が被る。抑圧と暴発と憎たらしい感じのいかにもブリテッシュ。予告で思ったよりはマイルドな仕上がりではあった。機能不全の渦中でメッカが俺を呼んでいると言いたくなる気も分からないではない。
鑑賞日:2018/09/01 監督:アラン・クラーク
category: 映画レビュー
tags: 2018年映画レビュー, アンドレイ・タルコフスキー, ウディ・アレン, ジョン・ヒューストン, ヴィム・ヴェンダース