Films: Oct.2018『グロリア』ほか
Nov,04 2018 12:00
大御所の傑作揃いな10月。
先月からジョン・ヒューストンものばっかり観ている印象。
『ブルー・イグアナの夜』、『アンチクライスト』、『ファウスト』、『クライング・ゲーム』の辺りはやっぱり傑作。
ちょっと格上で『グロリア』ってとこかしら。
観た映画: 2018年10月
映画本数: 19本
クライング・ゲーム
何回観てるんだか、サントラ盤と併せて我が家のマストな一本。タチの悪いIRAと対極的な優しい性のお陰で物語と泣きが深まる。で、開眼しちゃう抗えない...性。ニール・ジョーダン的なお耽美なシーンの数々もまた良い(カラオケシーン含む)。若い頃のジミー・ペイジ参加のデイヴ・ベリーの原曲と思い出補正全開のボーイ・ジョージ+PSBのカバーと甲乙付けがたい。うーん、漢。傑作。
鑑賞日:2018/10/31 監督:ニール・ジョーダン
愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像
随分前のベーコン展の時くらいかしら、久々の鑑賞。大体パンツ一丁。愛ゆえに壊れゆく男とその様を見る事をやめられない芸術家の性。どうにもならない人達のどうにもならない歪んだ時間の連続。ヒリヒリする懐かしのライズ作品。良作。
鑑賞日:2018/10/30 監督:ジョン・メイバリー
キー・ラーゴ
久々の鑑賞。息も詰まるような密室劇。緊迫したシーンが多々あるも、観てる側からすれば顔剃りのとこが一番緊張するよね。理詰めな風でいながら、身体が戦いたがっているんだ(キリッ)っと言ってのける、どこまでも格好良いボギー。自然と人間の災難に巻き込まれまくる一夜に居ても居なくても良い感じの奴もいる気もするけども、とりあえず手に汗は握る。雨戸開放シーンはやっぱりゾワッとする。粗も沢山ある印象なものの、きっちりと締めてくるジョン・ヒューストン。良作。
鑑賞日:2018/10/28 監督:ジョン・ヒューストン
巴里の空の下セーヌは流れる
所謂、巴里っぽいパリが鼓動しているねぇ(移民的に)。散りばめられた露骨なフラグとしっかりとミラクルな回収。テンション高めなフランスっぽい神の目線なナレーションも嫌いじゃない。回り始めるルーレットと人に訪れる気まぐれな幸福をほわっとしている様でかなり厳格に描写する。64フランと荒ぶるニャンコに一番持ってかれる。上手な群像劇。良作。
鑑賞日:2018/10/26 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
荒馬と女
みんなミスフィット。善の中の小さな悪を理解できず、余計にかき乱すフワフワふっくらの可愛いセクシーモンロー、年齢順に適応度の異なる時代遅れのクラーク・ゲーブル他の男たち。永遠はないと話し、そして星を目指す二人の遺作って事で終わった後はなんとも言えない気分になる。人それぞれの指標を上手く描くジョン・ヒューストン。更にはあのモンローの寝顔をPVにするリンチとクリスタ・ベルのセンスは流石。良作。
鑑賞日:2018/10/23 監督:ジョン・ヒューストン
プレタポルテ
パリ・コレに喧嘩売ってる風なロバート・アルトマン。大から小まで多彩な面子とあってもなくても良さそうなエピソードでいささか散漫な印象なんだけど、よーく考えたらどの作品もそんな感じか。フランスかと思わせてからのロシアやらその後のひまわりみないな一幕と遊びまくってる印象。流行に翻弄される側にはなりたくないものだな。良作。
鑑賞日:2018/10/22 監督:ロバート・アルトマン
勝利への脱出
ロッキー3、ランボー期のスタローンで減量済み。で、やたら速いほふく前進と脱走が何となく様になっている。大昔に観て内容はサッパリ忘れていたスポ魂脱走劇+ペレ!!!!!!と往年の名プレーヤーと云うチート作品。ジョン・ヒューズ的な上手さがあるような無いような、割と試合とかダレるんだけど、全体としては結構盛り上がる。フランス人のヴィクトワールの爆発なんかちょっとグッとくるな。昨日に引き続きビル・コンティ劇伴で戦場にかける橋とロッキーが混ざったみないな感じ。天才かよっ。問答無用で上げてくる映画はどうしたって好きなんです。良作。
鑑賞日:2018/10/21 監督:ジョン・ヒューストン
グロリア
10年振りくらいの鑑賞。魚眼の登場からありとあらゆる表情を披露しつつ、発砲率高めなジーナ・ローランズ。成り行きから始まる、ブロンドとヒスパニックのふれあい街歩きばりの局所的な逃亡劇。逃げ場のなさを演出しつつ、徐々に感情を芽生えさせるジョン・カサヴェテスの上手さは流石。アランフエス協奏曲とロッキーのあいの子みたいな絶妙な哀愁サウンドのビル・コンティと文句の付け所がない。傑作。
鑑賞日:2018/10/20 監督:ジョン・カサヴェテス
盲目ガンマン
とりあえずサントラが最高。この間観た夜行性情欲魔とおんなじ人。で、内容はと云うと、ニューウェーブな導線拷問やら無駄なお色気x50など強烈なインパクトを与えてはくる。キャンディなのかリンゴなのか、ウェスタンでもデカい指輪を外さないスターキーも悪くない。程々に面白くはあったし、トニー・アンソニーのめくら演技もなかなかだったけれど、勝新の凄さを露呈してしたまっただけな気もしなくはない。良作。
鑑賞日:2018/10/18 監督:フェルディナンド・バルディ
NOVO/ノボ
'90年代っぽいと思ったら'00年代だった。良くも悪くも当時っぽいテイストでちょいと恥ずかしい。もう一度ゴツんと行ったら話が早そうではある。とりあえず5分でこの映画を忘れるだろうな。エロ描写は良かった。
鑑賞日:2018/10/17 監督:ジャン=ピエール・リモザン
ファウスト
まさに戯曲。十年振りくらいの鑑賞。わが家的にちょっとノスタルジー。で、今年は何故だかファウストものが多い。シュヴァンクマイエルにかかると悪夢系も喜劇もより研ぎ澄まされた上に斜め上を行く。今回気付いたけど、廃墟のシーンはノスタルジアでも出てくるところっぽい(多分)。混沌とした印象を与えつつも、布石からラストまでの綿密さ。上手いとしか言い様がない。傑作。
鑑賞日:2018/10/14 監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
錆びた黄金
富を得た事ないから良く分からんけど、黄金に等しきは物質ではなく偉大なる夢に心を砕く過程の事とな。願望を実現する為に道を外れるのはまた論外と。ニコラス・ローグらしいややアヴァンギャルドかつ笑える展開としつこいズームで展開する人の欲深さ。そしてなかなか派手で無茶な殺しのシーンと結構見応えがある。人それぞれ正しき道を探すのは大変なんだな。良作。
鑑賞日:2018/10/12 監督:ニコラス・ローグ
ザ・スクエア 思いやりの聖域
これを観て不快に感じない人はパーフェクトな聖人君子って事なんだろう。自分も含め多くの人の偽善的な部分を見せつけられるようで、そりゃまぁ嫌な気分になる。ほとんどの人がそんな人間にゃなりたくないと思ってるだろうけど、それがうまく行かないのも人生ね。条件付きでも人を信じる事が難しい世界に生きている訳だ。個人的にはお通夜状態から状況を打破する鬼メンタルを所望するも、まだまだ道は険しい。
鑑賞日:2018/10/10 監督:リューベン・オストルンド
小さな泥棒
昨日、アンチクライストを観たので、久々の鑑賞。流石にはちきれんばかりにプリプリしているシャルロットではあるけれど、なんだかんだでこの頃から結構身体張っているよね。ちょっとずつ大人になって、あーなると想像するとこれまた一興。良作。
鑑賞日:2018/10/08 監督:クロード・ミレール
アンチクライスト
久々の鑑賞。やっぱり自然て偉大だよネって云う、ズタボロ期(今もか?)のラース・フォン・トリアー的アンチクライスト映画。フンワリした世界の見えにくいところで、今も絶賛続行中のキリスト世界と自然世界の苛烈かつ半端ないせめぎ合い。その激しさをよせばいいのに分かりやすく激しく、痛く表現する無駄な親切。キングダムとかイディオッツとかの頃のやつがほのぼのしてくるレベル。捧げられたタルコフスキーも草葉の陰で、お、おう...と言ってるに違いない。傑作。
鑑賞日:2018/10/07 監督:ラース・フォン・トリアー
何がジェーンに起ったか?
何がジェーンに起きているのか...爆汗。稀に見るキ印っぷりながら、電話の応対の時の冷静なスイッチングと単なる狂気とも一線を画す。上手いシーンてんこ盛りでドキドキしっぱなしだった。良作。
鑑賞日:2018/10/06 監督:ロバート・アルドリッチ
機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星
デギンの激おこ、フラウ・ボゥの無駄露出が印象的な完結編。戦シーン増ししつつも、上手い事まとまっていたとは思う。けど、もういいかな。
鑑賞日:2018/10/04 監督:安彦良和
ブルー・イグアナの夜
先日『イグアナの夜』を観たので、ついでに久々の鑑賞。イグアナたちにも感情はある。そっと寄り添い、ジンワリと暖められるかのようなそんな交流が生まれる一夜。明けない夜はないんだぜ。詩で締めるあたりにもリスペクトを感じる。傑作。
鑑賞日:2018/10/02 監督:マイケル・ラドフォード
モラン神父
ムラムラしちゃっても耐えるエマニュエル・リヴァ。姦淫の罪云々は置いといて、単純にグッと耐えてるところがイイ。無神論からの改心、からのムラムラと云うジレンマ。ムラムラする。対して段上でキリっとするベルモンド。信仰心のレベル表みたいな一本だった。良作。
鑑賞日:2018/10/01 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
category: 映画レビュー
tags: 2018年映画レビュー, ジョン・カサヴェテス, ジョン・ヒューストン, ラース・フォン・トリアー