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Phantom of the Paradise

Films: Dec.2018『ファントム・オブ・パラダイス』ほか

Jan,08 2019 12:30 PM

なんとも雑食気味な12月。
ファントム・オブ・パラダイス』と『第七の封印』は勿論の傑作。
予想外の極妻3作目や『召使』等々、掘り出し物も多かった。
最近のだと、リン・ラムジーの『ビューティフル・デイ』。これは良かった。

観た映画: 2018年12月
映画本数: 17本

Mの物語

Mの物語

SF(すこしふしぎ)どころじゃない。日本風に云うところの地縛霊って訳でもない自在さ。割となんでもアリ設定な雰囲気ながら、せっせと作り上げていく部屋の下りなんかはなかなかギョっとするものがある。で、各々の愛ゆえの目的と行動と結果。エロいエマニュエル・ベアールと時計職人と時間の全てをネバーモアは見ていたと。シャーッ。

鑑賞日:2018/12/31 監督:ジャック・リヴェット

神に選ばれし無敵の男

神に選ばれし無敵の男

嵐の前の静けさの如く。ヘルツォークっぽい火山的ロケーションで潰されてるカニ、カニ、カニ。ユダヤ人は蟹食わないらしいけども、なんでこの描写なのかは良く分からん。呆気ない幕切れながら、広く英雄視されてる事実は世界のユダヤ人を救う1/36の正義の人+αって事なんだろう。「神がいたらこんな世になっていなかった」とティム・ロス。現在を刹那的に生きる人、人、人。そんな世界の中だからこそウド・キアーの賞賛する粋って概念は結構大事なのかも知れないな。ピアノ協奏曲3番の第一楽章は映画でよく使われてるけど第二楽章ってのは初めてで、なかなか。地味だけど良作。

鑑賞日:2018/12/29 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク

極道の妻たち 三代目姐

極道の妻たち 三代目姐

三田佳子かよと正直全く期待してなかったら、とんでもない力作だった。主役食いまくりかつ、出てくるだけで場が締まるショーケンと成田三樹夫に充分張るくらいの熱演で胸熱。曲からしてゴッドファーザーっぽい内容だけれども、それに姐さんと情人と云う関係性(かたせ梨乃を比較対象とする荒技)を盛り込み更に層が厚くなっている。役者の面々もさることながら降旗康男+木村大作だったら面白いのも当然か。おまけに明らかに傷天時代の写真とかがまたニクい。'80年代東映って感じ。良かった。

鑑賞日:2018/12/26 監督:降旗康男

召使

召使

支配の定義。境遇と能力とは比例しないと云う冷ややかな視点。労働者階級側からっぽい感じでわりとステレオタイプ過ぎる気もしなくはないけれども、ある意味時代を反映してるんだろね。遠近、反転、影等々の多種多様な方法で演出されるこの不安定さは嫌いじゃない。

鑑賞日:2018/12/25 監督:ジョセフ・ロージー

第七の封印

第七の封印

久々の鑑賞。底なしの泥沼の中で激しくせめぎ合っている図。永遠の問いは容易に止める事はできない、けれども常に隣り合わせの死を知る事、束の間に享受している平穏を見逃さないって事を考えさせられる作品。傑作。

鑑賞日:2018/12/24 監督:イングマール・ベルイマン

極道の妻たち II

極道の妻たち II

結構投げっぱなしな所とか速攻でログアウトする奴とかが多々あるものの、あえて多くを語らない作りって事で解釈しておこう。懐かしの絶望的にバブリーな風俗含めて全体としてはなかなか面白いし、ほわっとした十朱幸代も迫力が無い割に悪くはない。けども切れ味鋭そうな岩下志麻の方がやっぱり好みであったりする。露出&汚れを一手に引き受けた称賛レベルのかたせ梨乃と夫婦漫才的リズムを加えた藤岡琢也は流石。女じゃないけど泣けてくる。

鑑賞日:2018/12/23 監督:土橋亨

バレエ・カンパニー

バレエ・カンパニー

現場あるある風の群像劇でいて、わりとほんわかした下克上。昨日と今日の意見は違うんだよとテキトーっぽいところとか資金繰りやら組織そのもののそれ。でも仕事はきっちりこなすってのがやっぱりプロの世界なんだねぇ。その場に居合わせたみたいなやたらとライブ感のある映像、ジュリー・クルーズの曲の所も非常に良かった。それはさておき、久々に見たマルコム・マクダウェルがとんでもないジジィになっていて複雑な気分になる。認識するまで若干時間がかかったぞ。全体としては、いささかグダグダするとこもあるけども良作。

鑑賞日:2018/12/22 監督:ロバート・アルトマン

恐るべき子供たち

恐るべき子供たち

動物的なまでにテリトリーを守るねぇ。細かい描写のコクトーの原作と萩尾望都のお陰か、オレは預言者かってくらいに映像が先読みできる。コクトーのナレーションがいささかウザいものの、幻想的かつデカダンスな雰囲気とヴィヴァルディ+バッハのチェンバロのやつとで全体としてはとても好き。

鑑賞日:2018/12/20 監督:ジャン=ピエール・メルヴィル

浪人街 RONINGAI

浪人街 RONINGAI

侍にはつらい時代のお話。もはや演技と云うか、この人ってこんなだよねと、各人の地が役になった感じ。そんな善悪共に濃過ぎる面子をそれぞれに絶妙な配置をした黒木和雄。チョイ役の琵琶と天本英世なんかも然り。とりあえず途中でうどん食いたくなる。良作。

鑑賞日:2018/12/17 監督:黒木和雄

ゆきゆきて、神軍

ゆきゆきて、神軍

『軍旗はためく下に』のその後みたいな。やや過剰なドキュメンタリーかと思いきや、安定の今村プロダクション。粘着タイプの自己正当化男、奥崎謙三なる最悪の人物に睨まれたら最後な感があるな。戦時下の惨劇も当然軽視はできないけれど、それよりも何よりもこんな男を生み出してしまったの戦争の悲劇って側面の方が強い気もしなくはない。

鑑賞日:2018/12/14 監督:原一男

ビューティフル・デイ

ビューティフル・デイ

設定やら鏡やら撃ち抜くところまでかなりタクシードライバー風なんだけども、社会的立ち位置、行動原理なんかは割と対称的ではある。そして外的か内的かのルートは違えどなかなか共通点のあるラスト。って事でなんだかんだで完全に自分のものにしているリン・ラムジー。きっちりとしたオマージュってのも簡単に出来る事じゃない。伏せ気味なトラウマとは裏腹に感情豊かなジョニーの劇伴と潜入時のデンジャー・ゾーンが始まりそうなやつも良かった。

鑑賞日:2018/12/12 監督:リン・ラムジー

バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍

バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍

なんと云うひめゆり。フルメタル・ジャケット的なキャラ設定でありながら、蓋を開ければかなり熱い女子のスポ根ものな雰囲気。からの重く生々しい戦闘。国の為に散っても、その後に控えた内戦と云うこの頃の恐ロシア...。それがまたドスンと重い。

鑑賞日:2018/12/10 監督:ドミトリー・メスヒエフ

愛のめぐりあい

愛のめぐりあい

出て来る連中の大半の様子がおかしい。ユーロ圏における脈絡ぶっ飛ばした恋に落ちる瞬間。の、それは文化的な違いのせいか理解不能なものの、心と肉体が別な現代の愛の不毛さは何となく伝わってくる。不毛どころか剛毛のソフィー・マルソーのエピソードと大天使イレーヌ・ジャコブのやつが良かったな。完全かつモロなヴェンダース介入により余計にややこしい一本な気もするけども、建もの探訪的な視点ではなかなかお洒落な良物件多し。この頃のイーノ+U2は雰囲気あったよね。

鑑賞日:2018/12/09 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ、ヴィム・ヴェンダース

追想

追想

復讐の合間にこれでもかってくらいに思い出しまくる。スイッチ入ってからの異常な冷静さが余計に怖いフィリップ・ノワレ。勝手知ったる所有の古城と云う条件+編集マジックで火炎放射器からもまんまと姿をくらます無敵っぷり。最後っ屁かましたナチにしてみたら、相手が悪かったとしか言い様がない。OPEDとフランソワ・ド・ルーベのテーマだけで、なんだかもう泣けてくる。日本版があったら小林桂樹でお願いしたかった。良かった。

鑑賞日:2018/12/08 監督:ロベール・アンリコ

ルームメイト

ルームメイト

たいして良い出来な映画じゃない気がするけども、ジェニファー・ジェーソン・リーが観たくてなんとなく鑑賞。しつこく蘇らないのがスマートで良かったりする。しかし虹色マックにエニグマと懐かし過ぎて悶える。

鑑賞日:2018/12/06 監督:バーベット・シュローダー

ファントム・オブ・パラダイス

ファントム・オブ・パラダイス

うーん、ロック・オペラ。デ・パルマの好き要素を詰め込みまくった感がある。ファウスト、オペラ座の怪人は勿論の事、サイコっぽいところやらドリアン・グレイまでやりたい放題。メフィストフェレスなのかマモーなのか、クズP役をきっちり演じつつ、曲提供の本物Pなポール・ウィリアムズ。お陰でグラム・ロックテイストにカーペンターズ的要素が混じると云う世にもカオスな事態になる。そしてそんなごちゃ混ぜ状態にもかかわらず、画面が分割されれば安定のデ・パルマ作品へと変貌する不思議。これって凄いよな。

鑑賞日:2018/12/03 監督:ブライアン・デ・パルマ

復活

復活

できればボンジョルノよりズドラーストヴィチェでお願いしたかった。原作読んでないけど、トルストイらしいてんこ盛り感で風呂敷を広げまくり、贖罪が社会レベルのとんでもない大きさに変わる。許しを得る為のやや盲目的な自己犠牲と解放する為の自己犠牲でそれらが交差した時に復活の瞬間が訪れる。頑張って人を愛せよ。見応えはなかなか。20世紀ドーン! 。

鑑賞日:2018/12/02 監督:パオロ、ヴィットリオ・タヴィアーニ