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不滅の女

Films: Nov.2019『不滅の女』ほか

Dec,04 2019 2:00 PM

曲作りが難航中で映画に逃げているフシがある11月。
アラン・ロブ=グリエ祭り続行中でU-NEXTさまさま。
去年マリエンバート』ノリなワケ分からなさが結構な具合のアラン・ロブ=グリエ作品。
前作かなり良いけども、『不滅の女』は頭一つ抜けている感じ。
久方ぶりのエミール・クストリッツァ作品、『オン・ザ・ミルキー・ロード』は勿論の完成度の高さ。
その他、川島雄三とロベール・ブレッソンばっかり観ている気がする。

観た映画: 2019年11月
映画本数: 19本

血の祝祭日

イターい。出てくる全員が絶望的な棒演技で1人もまともな役者がいないってのが逆に清々しい。こんがりとドライアイス感などディテールが超適当な感じであるものの、やりたい事はこっちで補完できる感じ。最後のお仕置きが一番イターい。

鑑賞日:2019/11/30 監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス


僕とカミンスキーの旅

僕とカミンスキーの旅

「何も捨てるものがないなら、それを捨てろ」と達磨大師の旅さながらかつ、魔の山的ロケーションから始まるロードムービー。黒澤明をねじ込みつつ、あちこちに禅っぽいフィーリングを配置。軸のブレないカミンスキーと振り回されるセバスティアン、そんな両者の関係から次第に位相がバッチリ合わさり、海岸にて開眼するとか出来過ぎ。数多の芸術作品に混じって、しれっとボブを登場させる辺りにヴォルフガング・ベッカーのセンスの良さを感じる。

鑑賞日:2019/11/28 監督:ヴォルフガング・ベッカー


マンマ・ローマ

人生にイージーモードとハードモードが存在するのはなんでなのヨォーッ!とでも言いたげに恨めしい感じで教会を見つめるマンマ。全ては息子クンの為とイタリア的よくある風景な立ちんぼクラスからの脱却をすべく、ちょっと浅知恵っぽいけどありとあらゆる努力をするマンマ。ヒモに脅かされ、息子に裏切られ続けつつも、ガハガハと豪快な笑いを放ちながらひたすらにクラスチェンジを願うマンマのいじらしさに段々泣けてくる。息子クンが欲望満たしたいが為に聖母子像(一画面内にエロスと共存するのがまた凄い)を道具にする、そんな時代においては神もいないわなって気になる。

鑑賞日:2019/11/26 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ


風船

白痴のムイシュキンのその後みたいな森雅之の台詞、「必要以上の金を持つと人間が腐る」と裕福な立場から言ってみたい。この映画における揺るぎない真理の権化とも言える芦川いずみ画伯が驚愕の名画と共にみんなの心をかっさらっている感じ。己の望む真理を手に入れる為に行動する人達に対して、ふらっとしている風の二本柳寛の後悔と願望と一筋縄ではいかない大人の世界の辛さってのもまたキチンと描かれている様に思われる。金はなくとも腐った側に堕ちない様に気をつけよう。新珠三千代を追い込む三橋達也は万死に値するレベル。ボン助役は上手いけど。森英恵のモオドな感じもとっても良い。

鑑賞日:2019/11/24 監督:川島雄三


好奇心

好奇心旺盛なのは良い事だねぇ。中学生くらいだったら辞書で余裕かと思われるので、『墓にツバをかけろ』で悪いなぐさみしても別に驚かん。けれども、ママンと大人の間を揺れ動く末にそこへ行くか。美しくあればタブー侵すのもアリだねとチャーリー・パーカーに乗せて開放的な感じでやられちゃ、そうですねとしか言えんけど。

鑑賞日:2019/11/23 監督:ルイ・マル


愛のお荷物

お盛んだねぇ。上級国民なら人口問題はそっちのけでどんどん生んだらよろしいのではないか。現代とは結構真逆な国家状況の上に階級が違い過ぎて蚊帳の外感が強いんだけども、川島雄三+今平助監であれだけの役者が揃ってたら喜劇としてはどうしたってクオリティ高くはなるよね。

鑑賞日:2019/11/21 監督:川島雄三


嘘をつく男

ひとり羅生門ってな具合。裁く者は存在せず、ひたすらに良心の呵責と格闘している風。どちらが英雄と裏切り者なのか良く分からんのだけれど、そんな筋云々よりも己すらも欺きかけない嘘をつく快感そのもののに浸っている感じ。脚本家と虚言癖のスレスレな具合がやっててたまらんみたいな。やっぱり気合い入ってる濡れ場は逆に吉田喜重の『エロス+虐殺』とかその辺の何かを観ている気分になる。

鑑賞日:2019/11/20 監督:アラン・ロブ=グリエ


左利きの女

十年ぶりくらい。ほぼほぼヴェンダース組。満たされた主婦の戯れ的な側面は否めないんだけど、テーマの「今ここにいるのに、相応しい場所がないなどと嘆くべきではない」の万人あるある感で一概に批判もできない。もともと孤独は人間の性質として持ち合わせるものであり、他者がいて初めて成り立つものである故にそれを追い求めるってはとても不器用な行為に感じられるよな。誰しもが似たり寄ったりな不器用さを持ち合わせている事に気付かされる、実に人間臭い愛すべき一本。巨大な小津ポスターを洗濯部屋に貼る主婦ってのはどーなんだろと思うけど。

鑑賞日:2019/11/18 監督:ペーター・ハントケ


ヨーロッパ横断特急

クラフトワーク的旅感はない。つまらん現実の事件より、ストーリーを考える楽しさって云う、ある意味自慰的なやつ。行き当たりばったりな上で落ち着く超適当なフィクションのオチと現実世界(この場合はメタ構造的な)の事件の凄惨さを匂わす比較とで結構ニクい作りではある。しかしまぁなんだな、ストーリーテリング云々よりも縛り上げた女のエロスのバリエーションに気合いが入り過ぎて恐れ入る。

鑑賞日:2019/11/17 監督:アラン・ロブ=グリエ


ガガーリン 世界を変えた108分

青いどころか、結構赤い。冷戦的に絶対勝ちたい恐ロシアが随所に顔を出す感じ。CG含めて色々と雑なんだけども、基礎教養って事で。

鑑賞日:2019/11/15 監督:パヴェル・パルホメンコ


少女ムシェット

断末魔のウサギに自分自身を見る。マヂ無理、もぅまゎろ...って云う孤立無援な少女の獲物化回避の為の完全なる自己救済。こんなつっぱるアタイに誰がしたと。唯一の少女らしい表情を見せるバンパーカーの下りのせいで、この世の無情さ加減がまた際立つ。首を違えがちマンなので見てるだけでキツい、色んな意味で。

鑑賞日:2019/11/13 監督:ロベール・ブレッソン


不滅の女

上書きされた記憶で成り立つ失われたビザンチウムなイスタンブール。嘘をも真にしかねない結構適当な人間の記憶や夢や願望の世界では色んな事が起きる。核心以外はほぼ静止状態とかバージョン違いとか人間の曖昧模糊とした記憶の性質そのまんま過ぎて恐れ入るよね。そんなもん無いってものをどこまでも永遠に追い続けるのが人間なんすね。

鑑賞日:2019/11/12 監督:アラン・ロブ=グリエ


深夜の告白

オチから行くってのは当時としては斬新だったんだろうな。やり過ぎなくらいなレイモンド・チャンドラー的クサい台詞がてんこ盛りなハードボイルドできっちりサスペンスもしている。ものの、動機から計画まで穴だらけで、おまけに自分にまで穴を開けられると云う絶望的な詰めの甘さは現代に観る映画としてはいささか厳しいのかもしれない。後半の加速は結構良かった。

鑑賞日:2019/11/11 監督:ビリー・ワイルダー


300 <スリーハンドレッド>

漢、漢、漢って事で戸塚ヨットスクールよりハードな感じ(適当)なガチムチ無双。CGの気合いが入りまくっていて結構楽しい。大軍を間道に誘い込む戦法は横山三国志でもあったな。敵の大将は確かにフライング・ロータスの何かっぽい。

鑑賞日:2019/11/09 監督:ザック・スナイダー


オン・ザ・ミルキー・ロード

ロマンティックとミラクルと共存する超暴力。紛争の最前線とは思えない程のマッタリ感と機械も含むあらゆるものに生命を宿らせるクストリッツァ。そんなほのぼのした均衡を崩すのは当事国だけとは限らないのは皮肉だわね。劇中を通して描き出される愛すべきアニマル達とのミラクルな共存と争いをやめられない人間って情けない現実。しかし、マトンカレー何杯分吹っ飛んでたのか。そしてシワシワでも美しいモニカ・ベルッチとのランボーレベルの逃避行にラヴはパワーで過去を失った者たちにも生命は再び宿る。強烈な愛の末に悲しみの地雷原に敷き詰められた優しさにジーンとくる。

鑑賞日:2019/11/08 監督:エミール・クストリッツァ


ブランカニエベス

サイレントと闘牛と白雪姫の必要性があるのかと一瞬考えてしまうのだけれども、それでも結構盛り上がる(見世物小屋的に)。モノクロを通して描き出されたセビリアの熱気は監督の手腕か単に気候によるモンかは分からないものの、なかなか良い感じ。ぺぺ辛チキンが最高潮。

鑑賞日:2019/11/06 監督:パブロ・ベルヘル


スティング

25年振りくらい。ジョージ・ロイ・ヒル的トランジションの嵐。小気味良いテンポと云うクライム系の最重要なところが抜かりない感じ。この作品を強烈に印象付ける洒落たチャプター絵とジ・エンターテイナーとイケてる2大スター+αとで面白いに決まってる。

鑑賞日:2019/11/05 監督:ジョージ・ロイ・ヒル


とうもろこしの島

とうもろこしの為に家から構築とハイレベル過ぎて尊敬する。紛争地帯における境遇とただの厭世っ気とは意味合いが違うとは思うけれど、潮流に流されずに社会と程々の距離感を保っていたいと常々思っているので、この生き様はかなりグッと来る。今は俺の場所でも侵してくる輩はいずれ出て来て、やがては戦争に発展するって太古からの繰り返しが起きてしまうのは困りもんだけど。更には本気の自然の脅威の前には跡形も無くなる社会の脆さを描写するラスト。ソラリスかよと。

鑑賞日:2019/11/03 監督:ギオルギ・オヴァシヴィリ


紅夢

ワタシんとこ以外で鳴ってるコリコリがムカつくわ〜...いぢわるしたろって云う怖い女性たち。封建的慣習で自由を剥奪された女たちの無念のはけ口が歪な形でもって静かに飛び交う恐ろしさ、悲しさ。昼メロっぽい題材ながら、中華の伝統の恐ろしい面と美しい面が絶妙に溶け合って重厚なものに仕上がっているかと思われる。青菜豆腐より肉寄越せと思ったのは結構天使な三姉さんだけじゃない筈。山西省のお屋敷良いな。

鑑賞日:2019/11/01 監督:チャン・イーモウ