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都会のアリス

Films: Jan.2020『都会のアリス』ほか

Feb,01 2020 12:00

1月20日にリリースした新作EP、『New Life EP』の作業が大方片付いていたせいか、凄い勢いで映画を観ている1月。
2020年の一発目はヴェンダース作品の中でも最も好きなひとつ、『都会のアリス』から。
去年ようやく読んだフラナリー オコナーの『賢い血』の、こちらもずっと観たかったジョン・ヒューストン版の『Wise Blood』を続けて。
結構傑作度高めなラインナップで、ウディ・アレンやら川島雄三、ポール・ダノ初監督作やらをちょいちょいと。
今月初めて観たジェレミー・ソウルニエ(同じ歳か)の作品も印象的。
15年分の映像と留守電を編集して一本の作品にしたスイスはトーマス・イムバッハ作品、『終わりゆく一日』は素晴らしいの一言。
最近、映画観るのがまた楽しい。

観た映画: 2020年1月
映画本数: 33本

インテリア

ベルイマンっぽい気もするけども、別に神の話は出てくる訳ではない。ウディ・アレンっぽくない気もするけども、他の作品同様にやっぱり強烈にシニカル。目に見えないところを整える所作ってのは如何に難しいかをインテリアを引き合いにするって凄いねぇ。ペールにブッ込むパステルなトリガーや完璧主義の弊害の地雷源があちこちにある状態からの静かな海なラストの決まり具合ったらない。今作のメアリー・ベス・ハートは可愛い過ぎ。

鑑賞日:2019/01/31 監督:ウディ・アレン


傷だらけの男たち

筋自体がややこしいのだけども、それ以上にややこしいのがキョン。キョンと言えばインファナル・アフェアのキョンでキョンのやつが容疑者はキョンで云々とやられるので混乱してくる。で、同じチーム集結って事で何もかもが既視感はある。類似した主演の二人の傷だらけ模様もなんとなく無理矢理な感じもしなくはない。車の爆発とかストーカーとかの布石がとにかく超適当な感じで、種明かしされてもなんだかなぁって具合なんだけど、何故だか見応えだけはある摩訶不思議な作品ではある。ちょいとイチャイチャがくどい。

鑑賞日:2020/01/30 監督:アンドリュー・ラウ


グリーンルーム

こんなネオ・ナチ巣は嫌だ。昨日のブルーなのから今日はグリーンなネオ・ナチ対パンクバンドの楽屋映画。完全にアウェイで挑発するパンク達は既に頭おかしい(悪い)。ヒヨって真実の無人島バンドの変更するのも緩くて良い。そんなかんなでも場数を踏むうちに目の色が変わってくるってのはこの監督の作風なのかね。スタイリッシュな痛いのオンパレードでお腹いっぱい。

鑑賞日:2020/01/29 監督:ジェレミー・ソウルニエ


夜明け告げるルーのうた

ジブリの魚の子のやつとは違って、こっちのは音楽含めた人魚伝説をキッチリやってる印象。なんだけど、やっぱりトトロとポニョは敢えてやってやったって感じなのかね。恐ろしいセイレーン話をバスクリン海やらワン魚などなどで超平和的な物へと変換してしまう湯浅政明。多くの少年が萌える縦長構造物への情熱も筋金入りって感じ。樋口師匠みたいなのはどれでも出てくんのね。

鑑賞日:2020/01/29 監督:湯浅政明


ブルー・リベンジ

行き当たりばったりで心にも迷いがありまくる故のリアリティ。己の弱さと家族を守る鉄の意思の同居がまた絶妙で錯綜する目には目をの精神が生み出す泥沼感があまりに酷い痛い。返り討ちされまくりつつも、変なところで超冴えてたりするのもまた良く出来てる気がする。

鑑賞日:2020/01/28 監督:ジェレミー・ソウルニエ


ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

Family Jams収録曲をしっかり口ずさみながら登場するファミリーたちに嫌な予感しかしない。のだけど、事件の発端となるチャールズ・マンソンの恨みつらみとその結果もどこ吹く風でほっこりした良い話に変化するって辺りがまたハリウッドっぽい。死ぬべきでない人は殺さないとこれは実に良いたらればなんじゃないだろうか。転換期と落ち目エピソードを乗り越え、跳ね返してからの最小限かつ効果的なアクションの数々も熟練の域って感じ。ドスドス登場するレナ・ダナム他結構な役者のチョイ役も楽しい。

鑑賞日:2020/01/27 監督:クエンティン・タランティーノ


寒椿

小学生の頃ナンノファンで、そのちょっと後の中学生の時の俺得だったやつ。改めて観ると当時はナンノ目当てで内容そっちのけだったんだなと。薄幸全開で艶っぽい南野陽子も勿論良いんだけど、西田敏行がどこまでもイケメン過ぎて眩しい。'90年代の太秦の方の東映感マックスで貧乏臭くはあるものの、そこは降旗康男に木村大作各々の上手さでキッチリ見せてくる。チャンバラシーンとかも昔の東映をしっかり踏襲している感じ。中年になってみると、かたせ梨乃のものさしのスナッピング感もまんざらじゃないなと思ったりする。

鑑賞日:2020/01/26 監督:降旗康男


エヴォリューション

混ぜるな危険の知りたくないタイプの進化論。美しいと気持ち悪いは良いとして、痛いのはちょいと体調がおかしくなってくる。人のじゃなさそうな食いモンに湿気等々で、人間の立場からすると色々と遠慮願いたい。ヒトデ界にも天使ちゃんはいるとしても...だ。

鑑賞日:2020/01/25 監督:ルシール・アザリロヴィック


マニアック

たまにいるよね、ふんむ〜ふんむ〜言ってる人。ロッキーの小綺麗な集金屋とは対照的なルンペンスタイルで町を徘徊するジョー・スピネルの怪演っぷりが凄い。汚いオッサンの癖にガーリィ&ゴス趣味で結構良い雰囲気。年中砂嵐なTVってのもアーティスティックな感じ。ホラーのテンプレみたいなあれこれを完璧なまでにやってるので、展開が見え過ぎるんだけども、なかなか面白い。人形に魂込め過ぎると酷い目に遭うって云う楳図かずおのやつ思い出しちゃった。

鑑賞日:2020/01/24 監督:ウィリアム・ラスティグ


わが町

まさかのTWIN PEAKSから。前半の半分くらい聞き取り不能(特に殿山の泰ちゃんが)なんだけど、中盤くらいから一気に引き込まれる。若い頃の記憶ってのはみんな鮮明だと思うけれども、今作における記憶がその後の長い人生につきまとう呪縛感は強烈で壮絶。完全なる辰巳柳太郎劇場で強気で張り合う美し過ぎな南田洋子(孫)にキュンとくる。

鑑賞日:2020/01/23 監督:川島雄三


ALOYS/アロイス

凄い湿気だな。その気になれば人間なんでもできるってレベルな猛々しい妄想。パーティーなんて別に行きたくないしって云う孤独なオッサン心の中の世界。危うくあっち側に行くところだったねぇ。

鑑賞日:2020/01/22 監督:トビアス・ノエル


女の都

審判みたいな映画だな。天気雨の狐の嫁入り的な感じで後の黒澤明の夢も思い出しちゃう。男子の内面が暴かれまくり、フェミ地獄と男としちゃまさに悪夢みたいな一本。カッツォーネ等々、全体的にノリノリで作ってそうなのが良く伝わってくる。

鑑賞日:2020/01/21 監督:フェデリコ・フェリーニ


地球の静止する日

冷戦時代どころか、そもそもが人類には無理げな要求だよね。世界の成り立ちが平和じゃないんだもの。ナイスガイなアメリカン風宇宙人にツルッとした強力ロボの平和的な姿勢でいながら、警察の重要性を説いてるところなんかは上から目線のアメリカ様そのものって感じ。人類で争う不毛さは分かるし、静止のパニック模様は十分に脳内補完できるので結構楽しかったけど。

鑑賞日:2020/01/20 監督:ロバート・ワイズ


ダイナー

とりあえずバーガーかローストビーフサンドが食いたくなる。日本的には夜な夜なファミレスにたむろする感じ。今となっちゃ毎晩ジャンクな食事とかありえんのだけど、若い頃はそんなもん気にせんって云う、どの時代にもありそうな普遍的でオッサンの懐古ネタになりがちな種類のお話。なんだけど、'50年代後半のカウンターカルチャーを混ぜつつのダラダラスタイルな反抗ってのがやりたかったのだと思われる。まだカッコいいミッキー・ロークは良いとして、スティーブ・グッテンバーグはお巡りの格好してないから一瞬誰だか分からなかったぞ。劇中のベルイマンのシーン好き。

鑑賞日:2020/01/19 監督:バリー・レヴィンソン


ネコのミヌース

主演のカリス・ファン・ハウテンが異常に可愛い。あらゆるネコ動作を上手い事随所に挿入。家猫じゃお呼ばれされない野良なネコ集会現場に恐怖なネコホラーと間髪入れずにグイグイくる感じ。ジジっぽい切なげなラスト風で泣きそうになったら普通に終わって安心した。ネコには見られていると思っておこう。

鑑賞日:2020/01/18 監督:フィンセント・バル


別離

出てくるキャラが全員面倒臭い(色んな意味で)。と云うかイラン的社会問題のそれぞれを見事に擬人化したと云うべきか。振り回された挙句に苦渋の決断を迫られた子供の悲劇ったらないわな。各人が暴かれたくない真実を敢えて不鮮明に見せるやり方はなかなか。クビデケバブやら大皿なイランご飯が見られると思ったら、それどころじゃなかった。コーランがあってもなくても嘘はイカンよね。

鑑賞日:2020/01/17 監督:アスガー・ファルハディ


シン・シティ 復讐の女神

前作うろ覚えな状態で観るものの、ちゃんと思い出させてくれる。脳筋テーマながら異常なまでの緻密さと派手な殺され方は健在。あってもなくても良さそうなエピソードがある気もするけど、クッキリ美しい黒白+αにロバート・ロドリゲスの良い所てんこ盛りでお腹一杯大満足。

鑑賞日:2020/01/16 監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー


ランジュ氏の犯罪

何が起きるかを伝えた上での大小の布石回収から気合い入りまくりなトランジションまでともかく上手い。民主主義を揺るがす輩は成敗されて当然なまさにフランス的国民性なラストは実に清々しく美しい。ガヤってるアパルトマンでの犯行の呆気なさと神父を呼ぶ神父もどきと管理人のキャラの下りの流れは圧倒的。

鑑賞日:2020/01/15 監督:ジャン・ルノワール


抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-

淡々と石橋を叩きまくる静かなる抵抗にもの凄い緊張する。そして息を殺す側と対比するかの様な見えないものの音、音、音の劇的な効果。音の出所が明らかになるに度のそれはまさに視界が開ける感じで、それと同時に自由に近付いて行くって作りが上手過ぎる。モーツァルトのミサ曲挿入のタイミングがまた秀逸。

鑑賞日:2020/01/14 監督:ロベール・ブレッソン


八月の鯨

死を意識する時期になってもガールズなのは素敵なんじゃないだろうか。礼儀を持って慎ましく生活している人に限るけど。プリウス爆弾な上級国民然り、老いも若きも現代社会では欠落気味な尊厳と美意識を静かに問う実に美しい映画。『あの人が死んだ歳をとっくに超えてしまった』と思った時にきちんと生きていける人になりたいなぁ。で、『月明かりに照らされた海は銀貨が散らばってるようで、それは永遠に失われる事なのない宝』とか言える人になりたい。リリアン・ギッシュとベティ・デイヴィスの役者力は老人のそれであってそれでないレベルな繊細さ、凄過ぎ。if...と同じ監督とは思えん作品だった。両方とも好きだけど。

鑑賞日:2020/01/13 監督:リンゼイ・アンダーソン


C・C・ライダー

スーパーのオープニングからバイク担いでゴールとか所々は面白いのだけど、全体としてはかなりダルっとしている印象。MV気な尺繋ぎっぽい無駄なシーケンスも多い、まぁ好きな雰囲気ではあるんだけど。すっかりアニマルズの曲かと思ってたタイトル曲。

鑑賞日:2020/01/12 監督:セイモア・ロビー


終わりゆく一日

終わりゆく一日

煙突のせいか、ウィリアム・バシンスキーの『The Disintegration
Loops』を観終わった時と似たような感覚になる...のだけれども、こっちは15年分の映像と留守電の鬼編集。ミラクルは何処かにあるんじゃくなくて、ここにいれば起こるとばかりにあらゆる事件が定点カメラに映し出されまくる。とてもパーソナルな風でありつつも、壮大な世界とその一員としての人々の営みがキッチリ抑えられている印象。普通に生活してたらなんて事なさそうな風景なのに、とんでもなくドラマチックなものに変えてしまう演出力がまた凄いなぁ。ディランは勿論の事、シド・バレットは歌詞がハマり過ぎ。

鑑賞日:2020/01/11 監督:トーマス・イムバッハ


シングルス

グランジ全盛過ぎてなんだか恥ずかしくなってくるけど、あの頃はあの頃で結構楽しかったよねって云う。エンドレスで眺めてられるブリジット・フォンダとカーステレオの下りのマット・ディロンの神演技だけで評価が上がる。ダラダラやっている様で結構綺麗に締めてくる感じも嫌いじゃない。スコセッシ2世なティム・バートンのビデオは今見ると結構お洒落。

鑑賞日:2020/01/10 監督:キャメロン・クロウ


ワイルドライフ

BOY!BOY!BOY! 居ないんだけどそこかしこに困った感じな顔してるポール・ダノを凄い感じる。ちょっとした身勝手さが増幅し山火事のごとくな崩壊に繋がる。その跡の惨状たるや。そんな大人を相手に出来の良い子供もまた色んな事を知る。コイツが良い子過ぎて、ポートレートの全てが100%幸福な状態であるとは限らないと云うラストが余計にじんわり来る。血筋なゾーイ・カザンとポール・ダノでとても良かった。ヨハン・ヨハンソンに捧げてデビッド・ラング劇伴も大好物。

鑑賞日:2020/01/09 監督:ポール・ダノ


炎の一族

炎の一族

没落貴族なヴィスコンティの山猫風な作品ではあるけれども、ブルジョワジーと貴族の対立って事ですごいどっちもどっち感が強い。でも最後は賃金無し!のプロレタリアどもが爆発して割とスッキリ終わる。雷背景に豚小屋っぽいところの四面楚歌感はかなり良かったものの、全編にわたって字幕が死ぬほど見にくいぞ。ルーマニアンなトラディショナルとラウンジ気な劇伴はかなり好き。

鑑賞日:2020/01/08 監督:ダン・ピッツア


夫たち、妻たち

出て来る人たち全員面倒くさいなー。紆余曲折の図をそのまま映画にしたって感じ。大人である事がつらすぎて心が痛くなってくる。しかしミア・ファローってこんなイメージだよね、方々の監督のせいかもしれんけど。精子の中に黒いの混じってるネタはいい歳して流石にやらない時代の品良きウディ・アレン。シェイクスピアは日本語で書いてない下りとか天才的。

鑑賞日:2020/01/07 監督:ウディ・アレン


裁き

どこの国に関わらず人から裁かれる怖さはあるけれども、上から下まであらゆる適当が交錯している感じでより怖いインドクオリティ。カーストの偏見差別は当たり前なお国柄で人数も多いときたらずさんにもなるか。ハネケとか『立ち去った女』みたいな淡々とした演出でなんだか凄いドキドキする。頻繁に家庭やレストランターリー登場で軽く飯テロな感じ。なかなか。

鑑賞日:2020/01/06 監督:チャイタニヤ・タームハネー


マタドール<闘牛士>・炎のレクイエム

悪は内側にあって善は外に備わるとカッコいい台詞を盛り込みつつ、股間を撮りまくるアルモドバル。変態平常運転なOPから始まり、なんでもアリな超展開(くっきり野太い軸はあるけど)の連続であまりにあんまりなんだけど面白い。情熱の頂点への道筋から燃えかすまで芸術的ショットがあり過ぎて恐れ入る。

鑑賞日:2020/01/05 監督:ペドロ・アルモドバル


悪魔をやっつけろ

バタバタしてるなー。面白いシーンやらカポーティ的なピリッとして気の利いた台詞なんかが多数なんだけど、悪人お仕置きorババ抜き風な筋にあまりに締まりがない。EDの高笑いでようやくボギーが出てきたってイメージ。

鑑賞日:2020/01/04 監督:ジョン・ヒューストン


ノン子36歳 (家事手伝い)

その昔ご縁のあった配給さんのやつで、ずっと観たかったやつ。熊切和嘉作品の駄目人間標本はやっぱり嫌いになれん。圧倒的に黄色(カラーリングの妙)なシーンなんかは『卒業』を観ているみたいな気分なる。視界が広がる風なお花畑のヒヨコを追うシーンなんかも、ノン子の気持ちが照れ半分でほぐされていく感じが絶妙。坂井真紀の慣れてない感じのやさぐれからの笑顔が結構イイ。変わらずとも変わっているニワトリなラストも素晴らしい。濡れ場のしつこい座卓のカメラワークは完全なる職人技だよなぁ。星野源はボコられて当然。

鑑賞日:2020/01/03 監督:熊切和嘉


イマジン/ジョン・レノン

ピース。トラックメイカーとしてはジョージやポールの方が好みなんだけど、やっぱり圧倒的なジョン。色んな意味で。ド直球ってのは強いねぇ。ヨーコでざわつく周囲もなんのそのな感じは歳取って改めて見ると何か熱いものがある。まぁどこでもヨーコが出てきたらざわつくけど。ゴッドのところでいつも泣きそうになる。フィル・スペクターとのカラミとかもイイ。

鑑賞日:2020/01/03 監督:アンドリュー・ソルト


Wise Blood

Weyesでなくてオリジナルの方のWise Blood。の、映画。どうしても観たかったので、日本語字幕無しの気合いで鑑賞。イーノックのエピソードやら若干端折られている箇所はあるものの、ほぼほぼ原作に忠実。神がいなければ全ての罪は存在しないとロシアはカラマーゾフのイワンよろしく『キリストのいない教会』を布教するヘイゼル・モーツ。生石灰で目を潰し、足に石を仕込んだりでセルフなヨブ化の挙句に何やらキリストか何かに見えてくる。信仰の真髄をストイックに追求するとトチ狂って見えてしまう歪んだ世の中。

鑑賞日:2020/01/02 監督:ジョン・ヒューストン


都会のアリス

2020年一発目は大好きなやつを十年振りくらいに。色んな映画ネタ満載。迷子になるのは子供だけに限らないと非人間性世界からの束の間の気分転換みたいな一本。迷った者同士の心境の変化がとても繊細に描かれる。互いの感情が重なってからのズル休み風な逃避行の実に人間的な非日常の清々しい事。と同時に別れの訪れが感じられるのがまたキュ〜っとくる。そんな二人が再び現実のそれぞれの世界に運ばれていくとしても以前と別の風景が見えてる様に思わせてくれるあの神がかったラスト。CANの劇伴共に名作中な名作。

鑑賞日:2020/01/01 監督:ヴィム・ヴェンダース