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巴里祭

Films: Aug.2020『巴里祭』ほか

Sep,02 2020 12:30

8月はあまり映画モードじゃなかったものの、終わってみれば不朽の名作が多かった。
フェリーニ『甘い生活』、成瀬巳喜男『乱れ雲』、ジョン・ヒューストン『赤い風車』の傑作群から定期的に観ている篠田正浩作品などのラインナップ。
ルネ・クレールの2本、『リラの門』と『巴里祭』、木下恵介の『風前の灯』もまた満点級に素晴らしかった。
ジョン・フォード『駅馬車』に関しては言うことない感じ。
8月の変わり種、ルチオ・フルチ『荒野の処刑』、クローネンバーグ『コズモポリス』、ヴェンダース『アランフエスの麗しき日々』あたりは強烈な印象が残る。
あまりの奇抜さに原作に手を出してみた『アランフエスの麗しき日々』はやっぱりなんだか良く分からん。
満点が多過ぎて月の顔を選ぶのに悩む。そんな8月。

観た映画: 2020年8月
映画本数: 27本

イタリアは呼んでいる

ワイルド・アット・ハートで流れるシューベルトのやつ(とアラニス)がひたすら流れる。前作に続いて英国俳優+ゴッドファーザーのモノマネを延々とやっているのを眺める感じ。美しいイタリアロケと気取った美味そうメシで楽しくはあるものの、シンプルが一番って言っちゃってたね。バイロンをきちんと読んでから観れば、もうちょい楽しめる気がする。

鑑賞日:2020/08/31 監督:マイケル・ウィンターボトム


お引越し

子供のありとあらゆる動きは完全に相米慎二のそれで、それ以上にあらゆる繊細な表情で応える田畑智子(小)が素晴らしい。不安の心持ちを表現する火と水、ちょい長回しと色んな構図とスローと鏡等々の映像の自由度の高さはより洗練されてる印象。納得いかない現実から月夜を抜けての幻想的なクライマックスの塩梅とか見事過ぎる。1から10までできる子過ぎてこんなのキューっとなるに決まってるわな。

鑑賞日:2020/08/30 監督:相米慎二


ホーリー・モーターズ

これは少なくともアレックス三部作をちゃんと観直してからじゃなきゃ駄目なやつだった。疲労を覚えながらも人は日常において演じまくり様々な顔を持ち合わすを凄まじい形で具現化したみたいな。墓場に現るやばいの=伊福部昭の破壊感を始めとして、ドニ・ラヴァンって人は小汚いのが様になるねぇ。麿赤兒的ウネウネ感の様でもある。人体からCG、挙げ句の果てには擬人化する車とあらゆる手法でもって演技をさせるレオス・カラックス。当時は全然好きじゃなかったんだけども、今なら楽しめそうな気がする。図らずも異常系リムジン映画って事でコズモポリスと同じ月に観てしまって超不思議。

鑑賞日:2020/08/30 監督:レオス・カラックス


タリーと私の秘密の時間

ドスドス歩くシャーリーズ・セロン。役者だねぇ。メンタルぶっ壊れる程の完璧さはいらないと早く気付いたれよ旦那。水伏線からの展開はなかなか。ヴェルヴェッツやらルーファス・ウェインライト等々とカーステレオの鬼選曲と音楽に関しちゃ絶対的な安定を誇るなジャイソン・ライトマン。

鑑賞日:2020/08/28 監督:ジェイソン・ライトマン


リズと青い鳥

京アニ的O脚美を求めてようやっと。微妙にTV版を忘れていたものの、すぐに思い出す。僅かなピッチのズレから始まって構図に仕草に表情に情景にとありとあらゆる繊細さでこっちの息が止まりそう。違いの道を歩む前向きなズレなラストでハッピーアイスクリームの一瞬のユニゾンで完璧にまとめてしまう山田尚子と吉田玲子。職人レベル。ここぞの黄前ちゃんと麗奈ちゃんとでバランスも良い。

鑑賞日:2020/08/28 監督:山田尚子


銀座化粧

銀座の灯りの目に見えない部分って事でバア務めのコブ付きの絹代さんなんて嫌ー。『女が階段を上る時』風な設定なものの、より中年女性のドラマになっていると思われる。後半の淡い期待から嫉妬、年相応の痩せ我慢の取り繕いからの納得とたった10分くらいの目まぐるしい展開が凄い。劇中では静かに演じながら観てる方が荒れまくってドキドキする。全ては息子がタイミング良く行方不明になると云う鉄板演出のせいではあるけども、中年の幸福の再発見の図は性別を越えて理解できるものがある。フジムラ詩集と飲ーめる賞と素敵なお着物の数々。トルコ風呂のぞき絵を見させられる絹代さんに萌えまくる。

鑑賞日:2020/08/26 監督:成瀬巳喜男


トト・ザ・ヒーロー

走馬灯かってくらいに行き来する時間に色んな角度から捉えるカメラ、隣の芝はなんとやらのこっち側の気持ちとあっち側の気持ちとで縦横無尽な表現力。蕾じゃないけど薔薇と上手い具合に引っ張る謎要素で『市民ケーン』を思い出しちゃった。美しいトラックのシーンとアリスちゃんの小悪魔感にやられる。人生笑って終わりなら良い良い。Boum。

鑑賞日:2020/08/25 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル


駅馬車

短い枠と狭い画面でよくもまぁこれだけ濃密に仕上げられるもんだな。すし詰めのそれぞれを丁寧に描写しながら、迫りくる緊迫感を演出、からの襲撃シーンの爆発力で実に良く出来てる。今やったら大問題になりそうなほどに無慈悲にインディアンをなぎ倒す。で、カッコいいを不動のものにするラストのジョン・ウェイン。素晴らしい。

鑑賞日:2020/08/24 監督:ジョン・フォード


華麗なるヒコーキ野郎

随所に出てくる露骨な人形を忘れるほどに緊迫感がある。無人航空機の時代にはない浪漫だわね。戦争中に活躍できなかった男と伝説を残した男。両者の地上の転落っぷりを忘れるが如くな騎士道精神120%の空中戦。これに行くまでの前振りのうまさ、煤けたロバート・レッドフォードからのぞく白く光る歯!と実に良く出来てる。飛べない○○はただの○○なんだな、要するに。

鑑賞日:2020/08/23 監督:ジョージ・ロイ・ヒル


遥かなる大地へ

エンヤ的な涼を求めて。母ちゃんと観に行った記憶がある。19世紀末にオクラホマを開拓した連中が約40年後にはカリフォルニアを目指すハメになるなんて誰が予想しただろうね。この当時から餌で釣る『怒りの葡萄』方式なアメリカ的GO
WESTで超エゲつない。だからこそ強い国ってのはあるだろうけど。おまけに鉄道建設労働者の多数がアイリッシュってしれっと描写される鉄板差別歴史もエグい。そんなかんなで、当時は新婚ホヤホヤな2人の出来過ぎなドラマではあるけれど、流石に呼吸が重なってる風で勢いがある。で、ホワ〜っとした雪やらホワ〜っとした夕焼けのシーンとか結構胸熱。ロン・ハワードが演出したCG無しのハリウッド的なダイナミズム(細かいところとかテンポもとても良い)とジョン・ウィリアムズってなると面白いに決まってる。

鑑賞日:2020/08/21 監督:ロン・ハワード


荒野の処刑

これは良いロードムービー。超展開から痛いの酷いの挿入した末、唐突に泣かせてくる大盛り感。結構理不尽かつ無理矢理な繋ぎな気がしなくもないけど、そこかしこの細やかでドラマチックな演出で妙に納得させられる感じ。全然合ってないんだけど、サイケでフォークな劇伴がこれまた凄くイイ。ホワッとした柔らかい光とクソ可愛いリン・フレデリックでご馳走様でした。

鑑賞日:2020/08/20 監督:ルチオ・フルチ


コズモポリス

記憶から抹消されてた。前立腺が非対称ってのは『魔の山』にも出てくる、古代の寺院建築家が柱の配置のシンメトリーにわずかな狂いを設けるってのにも通ずる。時代の寵児が出来上がるのも消えるのも、ましてや世界の成り立ちなんぞ計算ではじき出されるモンじゃないとな。

鑑賞日:2020/08/19 監督:デヴィッド・クローネンバーグ


風前の灯

風前の灯

ミレーの敬虔さを撃ち抜く程に全員意地汚い。終始キレ気味な眼鏡萌えデコちゃんと守銭奴で煎餅の音を察知する田村秋子を始めとする、目を覆いたくなるような小市民の実態。役割を振り当てられたあらゆる小道具の的確さと玄関、襖で切り取る空間演出とで実に濃密。残り少ない蒲鉾からの蒲鉾尽くしとかもはや天才の所業。

鑑賞日:2020/08/18 監督:木下恵介


巴里祭

主役が雨ってなくらいに登場人物の心情とで様々な表情を見せる。巴里祭は市民の為とばかり見渡す限りきっちり市民で構成される街描写。雨宿り、途切れまくる音楽、往来での揉め事、酔っ払い等々のビフォーアフターのさじ加減が絶妙。紆余曲折しつつ同じ様な街の情景に戻るも、それぞれにちょっとずつ変化が認められるくらいの丁度良さに品を感じる。素晴らしい。悪女キャラのポーラちゃんがかなり好み。

鑑賞日:2020/08/16 監督:ルネ・クレール


乾いた花

刺激が足りないガールな加賀まりこといつまでも順番の男な池部良。欲望は満たされる事がなく、最後には永遠の謎(どうでもいいって言いつつ、超気になる)まで用意して飢えは満たされず続くと云う結構ニクい演出。賭場のルールとか全く分からんのは置いといて、東映東京のそれとはひと味もふた味も違うスタイリッシュさと云うか、黒々しい感じの篠田正浩臭がプンプンして嫌いじゃない。って云うか好き。異常にカッコいい刺客の下りがゴッドファーザーっぽいと思いきや、こっちが全然先だった。

鑑賞日:2020/08/15 監督:篠田正浩


若い女

ヤング≒アダルト=黒歴史みたいな痛々しい婦人映画は結構好き。主人公の性格の表面部分みたいな大雑把さでガッツリ挿入される行間みたいな編集。放浪する主人公宜しく時折方向を見失うんだけども、おぼろげながらもちゃんとしたいと云う確固たる目的に向かう、ほぼおばさんにきっちり引っ張って貰った具合。毛むくじゃらのムチャチャは墓地に置き去りにされなくて良かった良かった。

鑑賞日:2020/08/14 監督:レオノール・セライユ


アランフエスの麗しき日々

未だに攻めてるヴェンダース。徐々に世界から失われつつある『Perfect
Day』からなんて粋じゃないか。夏の記憶と人の精神を掘り下げるのはタイプライターでもiPadでもどっちでも良いし、映画的なアクションや事件がなくても表現したい意識のところだけにフォーカスする徹底さで、弘法筆を選ばずのレベル。なんだけども作者の具現化の設定で、一見退屈な会話劇と思いきや、縦横無尽のカメラワーク、ニック・ケイヴ、詩的な言い回し、一度として同じ光を発さない自然とでかなり濃密な演出になっている熟練度。こんな風景を映像の中だけでしか見る事ができなくなる瀬戸際に来ているってのが、ヒートアイランドの真っ只中だとそのヤバさがまた分かる気がする。ペーター・ハントケは庭師役らしい。

鑑賞日:2020/08/13 監督:ヴィム・ヴェンダース


甘い生活

聖母の下りくらいまでの記憶しかない自分を叱りたい。まとも-パリピで行ったり来たりなマストロヤンニ。ローマにおける乱痴気の只中にヒョイと挿入される世にも美しいトレヴィの泉の下りはシャーリー・マクレーンでも真似するレベル。享楽に加えて聖母騒ぎの現代的な虚飾の数々と奇跡の木を毟り取る民衆とで宗教の退廃と共に堕落の拍車がかかる。で、マストロヤンニの良心とも云える者を失ってからの落ちっぷりと腐ったマンタの組み合わせとか凄い。ニコじゃないけども『Sunday
Morning』的夜明けの空虚さ、タイプライターの少女のいる人生の理想の世界とは隔てられてしまう無念極まるシーンを最高に美しい映像で表現するフェリーニはやっぱり凄い。

鑑賞日:2020/08/12 監督:フェデリコ・フェリーニ


赤い風車

ヒーハー!な英語で始まるも最後は違和感なくなるどころか、胸がキューっとなる。冒頭20分のムーラン・ルージュからのロートレック全貌、彼と彼らにおける黄金時代な見せ方の見事さ。その後の常につきまとう劣等感とそれから逃れる為の酒、それでも絵筆を取ってしまう性(ガス栓から夜明けのとこの高揚感!)のループに泣けてくる。穿った見方をする人に対して、「悪はそれを見る人の中に存在するのだ」と本当に言ったかどうかは分からないけれども、作品における確固たる信念で跳ね返す様がカッコイイ。己の風貌への自虐をしまくる人がこれを言う訳で、故に「人間の心は複雑だ」ってのを実に上手い具合に演出されている様に思われる。やっぱり凄いジョン・ヒューストン。素晴らしい。

鑑賞日:2020/08/10 監督:ジョン・ヒューストン


乱れ雲

偶然、偶然〜。なんと奇跡的な巡り合わせか。ツイてる様で肝心なところでツイてない加山雄三。溢れ出す陽のオーラで傷心の司葉子を照らし、津軽民謡爆唱でき得る人材は他にいなかったんでないだろうか。胸中の乱れの段階や視線の演出、傘、踏切などなど流石の成瀬巳喜男って感じなものの、高峰秀子のグワっとくる乱れっぷりとは異なり、司葉子のそれはちょっと湿っぽい気もしなくもない。後家の艶っぽさは申し分なかったけど。まさに運命の悪戯、が過ぎるんだけどもその言葉がしっくりくる作品。お互い心が癒しに向かうかと思われた時に偶然乗り合わせた左卜全のほっこり感とか結構完璧。メロドラマ調の武満徹もなかなか。

鑑賞日:2020/08/09 監督:成瀬巳喜男


リラの門

他人を思いやるロクデナシと薄情で抜け目ない奴とどっちがマシかって事で底辺を舞台に内容はとても高潔。姿形を変えて行き来する思いやりを表す品々から始まり、子供を使った状況説明とかウシ柄猫からの地下室ダイブとか神懸かってる。芸術家ことジョルジュ・ブラッサンスの唄と共に全てが完璧じゃないか。

鑑賞日:2020/08/08 監督:ルネ・クレール


聖者たちの食卓

密どころの騒ぎじゃない。カースト制度関係なく誰しも共に食事をするの想像の上を行く。日に10万食を賄う各セクションの(適当なんだけど)まさに流れる様な流れ作業。それぞれが無駄のない必要最低限の動作で(適当なんだけど)これまた合理的。その流れの中核となるご飯タイムの、がらんとした大食堂が一瞬にして埋まる(ほんの一巡)圧巻の光景は人口トップクラスならでは。ほとんどの人々が必要な分だけを食べて去るってシンプルさで、そこには飽食の雰囲気は感じられない。数あるセクションで大量に飛んでくる、もしくはぶつけてくる食べ終えたターリー皿を受け止める所だけはやりたくねー。

鑑賞日:2020/08/07 監督:フィリップ・ウィチュス、ヴァレリー・ベルトー


アンダー・ザ・シルバーレイク

監督の趣味なんだろうけど、'90s世代要素てんこ盛りで狙い撃ちされた気分。ニルヴァーナ以下、あの曲もあの曲もマジかーって云うハリウッド的挫折したシンガーソングライター志望には地獄の様な作り話で面白い。しかしねぇ、劇中に限らず衣食云々からメディアやらサブスクのおすすめ機能まですっかり自由意思を剥奪されてる気はするもんなぁ。上昇して墓に入るってのが富豪特権のハリウッドレベルの剥奪(当人達にとっちゃ付与)だったらまだ良いけど、庶民のは目も当てられん。そんな訳で逃れられないから刹那を楽しむってのは結構納得できる。闇世界からの『静かにしてろ』の警告はそれとして、世界の実情を知らないで剥奪されるのか、知りながら剥奪されるのか、もしくは反抗を試みるのか、どれが良いのかは分からん。ハリウッドの光と影とパトリック・フィッシュラーとホームレス使いはまぁ、リンチっぽかった。PLAYBOY表紙から貯水池の下り好き。

鑑賞日:2020/08/06 監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル


希望の灯り

フォークリフトで2001年宇宙の旅ばりの『美しく青きドナウ』のOP演出から遊具の『ラデツキー行進曲』まで露骨にドイツっぽくて好き。旧東側の人々のその後の日常が淡々と描かれつつも、とてもドラマチック。存在の意義とその継承、孤独からの脱却、ちょっとの恋などなど底辺と呼ばれる人々を絶妙な距離間で描きつつ、彼らに与えられるのはホントに微かなる希望の灯りではあるけれども、なんと云うか監督視線が慈愛に満ちている。映画の中の話ながらここの職場に不誠実な輩がいないのにも安心する。オアシスの如き休憩所とその壁からの素敵ラストはなかなか。方々に書いてある通り、確かにカウリスマキを彷彿とさせる色味と間合いと音楽使いではあるも、これは良いコストコ映画。

鑑賞日:2020/08/04 監督:トーマス・ステューバー


戦火の愚かなる英雄

有事の際の下劣さと高貴さを同時に描いた小噺って感じでなかなか面白い。祖国の為に命を捧げるドパルデューと身の保身に必死なクソ坊主役のハーヴェイ・カイテル以下街の権力者達。ナチスの無慈悲な宣告よりタチの悪いどうしたって正当化できない事をやってのけるのもやっぱり人間よね。解放の後に共産圏が控えてると云うルーマニアアン・ブラックジョーク的なEDで笑うに笑えない。

鑑賞日:2020/08/03 監督:ボグダン・ドレイヤー


理由なき反抗

四半世紀以上ぶりの鑑賞。もはや劇中の若者の親ぐらいの年代になってしまって超フクザツ。まぁとりあえずはそれぞれに思いっきり理由はある今作。'50年代の保守世代への反抗を軸に有り余るエネルギーや怒り、不安のはけ口が分からず困る系の作品って事で、改めて観ても結構綺麗にまとまっている。怒ると切れたナイフだけど誠実でスイートなジェームズ・ディーン像がこの歳で今さら格好良く映るかどうかは置いといて、ボビーソックス気な'50sティーン達は可愛いと声を大にして言う。デニス・ホッパー出てるのは今回初めて気付いた。言われないと分からないレベル。

鑑賞日:2020/08/02 監督:ニコラス・レイ


ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男

疫病のせいで中止になった今年のウィンブルドンのかわりに満を持しての鑑賞。世代的にはエドバーグ/ベッカーなんだけど、物心ついた頃にテニスプレーヤーと云えばボルグ/マッケンローだった。明日菜さんの犬はもうちょい後。で、映画の内容はと云うと、ルーティンやメンタルコントロールを上手い事表現しつつ、熱い感じのドラマに仕上げている。トップの人間のみが分かる重圧って事で庶民にしてみたら遠い惑星の話の様ではあり、更には映画的に顔面マシマシ(似てない)、炎とか氷とかのクソダサい邦題は置いといてもなかなか良かった。その後のテニス界に色んなスターが出てきたけど、現行の御三家のメンタルやらフィジカル、ルーティン(主にナダル)のバケモン具合が余計に良く分かる。芝では特に紳士的であるべきよ。

鑑賞日:2020/08/01 監督:ヤヌス・メッツ