otom

さらば映画の友よ インディアンサマー

Films: Apr.2021『さらば映画の友よ インディアンサマー』ほか

May,01 2021 15:30

作業大詰めでバタバタしていた割に意外と映画を観ていた4月。
25年ぶりくらいの『さらば映画の友よ インディアンサマー』から始まって、『タフ PART1 誕生編』シリーズと原田眞人ばっかり観ていた印象。
原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んだので久々の『ブレードランナー』は羊も山羊も出て来ない。
先月から続いてハル・ハートリーの『ヘンリー・フール トリロジー』を最後まで。圧倒的な安定感。
ずっと観たかったアッバス・キアロスタミ作品がU-NEXTにゴロゴロ入ってきたので、後半からちょいちょいと。
連日のミックス、マスタリング作業で極度に脳が疲れていると大体において寅さんを観たくなるって事で、プチマイブームな岸惠子の『男はつらいよ 望郷篇』をチョイス。
2021年3月24日に亡くなった田中邦衛を追悼して20回目くらいの『北の国から』を鑑賞中って事で、こちらもプチマイブームな竹下景子登場の『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』を続けて。原田美枝子の方が好きだけど。
蛮族状態なドヌーヴ姐さんがパイナップル投げつけられる『うず潮』も最高に面白かった。
そんな今日この頃。

観た映画: 2021年4月
映画本数: 23本

トラベラー

子供にあるあるな、やらかした上に後からお仕置き確実なやつ。サッカーを観たいもカメラ撮って貰いたいも同じ子供らしい純粋な願望なんだけども、方や詐欺まがいの行為発動中って事で落差が酷凄い。赤毛のアンばりの馬車の影シーンにバスからの夜景、空になったスタジアムと画作りがまた素晴らしい。子供が馬鹿(ある意味頭良い)なのを政府やサッカーを発明した人に苦情言いかねない親にしてこの子ありって感じ。

鑑賞日:2021/04/30 監督:アッバス・キアロスタミ


ワイアット・アープ

こんな中弛み系の長いやつをよく劇場で観られたもんだ。今なら開始30分で寝落ちする自信がある。OK牧場云々よりも、当時絶頂のケビン・コスナーを如何にカッコよく撮るかに傾いてる気もしなくはない。実際に西部劇名作の良いところ詰め合わせってな具合できっちり良い感じに撮れてはいるけど。デニス・クエイドはともかくとして、ジーン・ハックマンが空気。90年代のハリウッドっぽいババーンとしたテーマは結構好き。

鑑賞日:2021/04/28 監督:ローレンス・カスダン


西部開拓史

これがシネラマか。家のモニターだと魚眼状態でちょっとウザい。駆け足だけども西部の開拓史の流れは良く分かる作りにはなっていると思われる。三代に至る家系の話が上手く行ってるのかどうかと、無駄使いっぽいオールスターキャストが必要だったかどうかは分からん。長めな幕間含めて全体的にはちょいとダレる印象。最後の列車のところはド迫力で良かったけど。半分くらい侵略の意味合いが入ってそうな広大な大地の開拓や、銃が法律云々を生き抜いてきた強いアメリカ様には勝てる気が全然せんわな。

鑑賞日:2021/04/26 監督:ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャル


友だちのうちはどこ?

全員ディスミュニケーションで馬鹿とクズしか出てこない。それ故に映画的には非常に面白くなるし、少年同様に観てるこっちも超不安になるって事で上手く出来てる。良くも悪くもこの国の子供の扱いとしては大体が小遣いとゲンコツの下りで集約されているんでないだろうか。で、昔は〜と言ってる一方、新しい鉄の扉云々で伝統を蔑ろにする人々に対しての監督のぼやきとで実に上手く出来てる。じいさんの道案内の末の絶望やら押し花やらまでの布石は見事。飾り窓から漏れる灯りがまた幻想的でとても美しい。

鑑賞日:2021/04/24 監督:アッバス・キアロスタミ


男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎

雪子おばさんに純はともかくとして、二代目竜造の松村達雄が岡山の和尚役で何やらややこしい。御前様曰く「煩悩が背広来て歩いてる」と仏門へ入ろうとした寅さんをバッサリやりつつ、簡潔的確に表現する。飛び出しちゃう若者の中井貴一と杉田かおる達と次は失敗できない大人な竹下恵子とでなかなか。ひろしは偉くなったもんよ。

鑑賞日:2021/04/23 監督:山田洋次


タフ Part4 血の収穫篇

カメラワークに役者の演技、生劇伴まで細かいところが上手すぎ。撹乱具合も見事としか言えん。で、ピザに始まりピザに終わると完璧だろコレ。血の収穫のジローだけじゃなく、観てる側にもきっちり満足感がある。シリーズ通して余裕の満点。

鑑賞日:2021/04/22 監督:原田眞人


タフ Part3 ビジネス殺戮篇

TUFF(そう来たか)と来て鬱陶しい程にシロハタ亡霊。芸術的なまでに交差する。2→3で原田眞人監督に戻って演出の切れ味が全然違う。ちょっと『殺しの烙印』っぽくてイイ。

鑑賞日:2021/04/21 監督:原田眞人


異端の鳥

全て紛れもない人間の所業。環境が人を変化させるってのはそうなんだけど、描き出されるのは人の中に元々眠っている残虐性の見本市ってな具合。綺麗事を並べる次の瞬間にこれらをいつ何時やりかねないのが人間だって事をよくよく覚えてとかにゃならん。色んなヤバい奴が出てきたけど、その中でも荒ぶるウド・キアーがあまりにあんまりで、きっちり存在する我が目を覆いたくなるな。精神的にも物質的にも汚物感漂うのに反して映像含めて綺麗にまとまっていた。

鑑賞日:2021/04/20 監督:ヴァーツラフ・マルホウ


タフ PART2 復讐編

三原じゅん子(現参議院議員)の濡れ場回。冒頭のタイトルの二度目は受けないのは仕方ない。構図やらフォーカスの数々は凝ってはいるんだけども、演出に関しては一本目ほど強烈じゃなかった様な。この次はまた原田眞人監督らしいので期待する。

鑑賞日:2021/04/18 監督:門奈克雄


タフ PART1 誕生編

冒頭のタイトルからドカーンと落としてくる。90年頃のX風なクソださい人々に安っぽい音楽を別とすれば、構図やら展開やら武器のチョイスがとんでもなくスタイリッシュ。と、トヨエツwww。

鑑賞日:2021/04/17 監督:原田眞人


うず潮

『ひきしお』も良かったけど、こっちも最高。ほとんどキ印か蛮族なカトリーヌ・ドヌーヴにパイナップル投げつける映画は後にも先にもこれしかないんじゃあないか。ロビンソン・クルーソー状態のイヴ・モンタンが唯一まともに見える程にイタリアサイドの連中が頭おかしくて酷面白い。で、島の暮らしとロケーションがそれはそれは理想的過ぎて。おまけにミシェル・ルグランの大袈裟な劇伴がまた素晴らしい。

鑑賞日:2021/04/16 監督:ジャン=ポール・ラプノー


今日もまたかくてありなん

今日もまたかくてありなん

未開レベルな辻堂から軽井沢でうらやまロケーション。倦怠期な二組の夫婦のうちの男女。間違いが起こりそうなシチュエーションでも超健全って云う松竹もしくは久我美子的な品の良さ。気の毒なくらい不幸にまみれた敗残兵役の中村勘三郎が激おこまで積み上げて行くって事で、雨天避暑地のマイナスイオン気味状況で引きでの討ち入りの演出が見事過ぎる。およそ人間らしくない奴まで人間扱いする社会に憤りを覚えるってのには完全同意。

鑑賞日:2021/04/14 監督:木下恵介


恋の掟

人の色恋を弄ぶとロクな事ないって云うやつ。色男コリン・ファース、ミロス・フォアマン演出でなかなかデカダンス。藤田敏八+新藤兼人版が観たい。原作もそのうち読んでみよう。

鑑賞日:2021/04/13 監督:ミロス・フォアマン


ネッド・ライフル

無理矢理にまとめてきた感があるのに面白いナ。ヘンリー・フールの処世術が停電起こす程に放出した後に弱まったと云うか、結局は人間だったと云うか。最後の畳み掛けはギャグみたいだったけどスムーズで大変良い。シンプルな反抗の言葉であり三部作の締めの言葉だけども、父親があーだとこーなるって事で良い子に育って何よりと云う。サラッと綺麗にまとめてくるな。で、クソイケメンな息子。

鑑賞日:2021/04/12 監督:ハル・ハートリー


男はつらいよ 私の寅さん

柱の傷はキリギリス〜。早々にとらや慰安旅行で留守番させられると云う割とイレギュラーな展開。で、後半はあんまり繋がってない感じで進む。熊、カバ連呼で500円札と親しくする寅さんに向かってパトロン発言の超天然系岸惠子...結構好き。割烹着姿に板開けてくれぇに号泣に妙に存在感のあるタコ社長も何やらイレギュラーな感じで面白い。寅次郎の芸術家論回。

鑑賞日:2021/04/10 監督:山田洋次


大脱走

過程のロマンだわね。全シーンが見せ場ってな具合で全く飽きない。レナードじゃないバーンスタインのテーマに乗せて、ナチス管理下でありながらどこまでもカラッとしているのがまたイイ。この人達なら俺たち大したもんだなァ!と言って良いと思われる。

鑑賞日:2021/04/09 監督:ジョン・スタージェス


男はつらいよ 望郷篇

久々。アバンでおいちゃん殺しに来てるのがシリーズ的に笑えないのに笑える。新旧さくら対決は勝負にならんのはともかくとして、やっぱり男はつらいよは山田洋次でなきゃ。笑いと泣きの密度が濃すぎる。地味に挿入される国鉄感も良い。

鑑賞日:2021/04/07 監督:山田洋次


マリリンとアインシュタイン

アイコン化された50年代の4人の前では似てる似てないっても無意味なんだよな。殿キャラのやり取りも結構唸るもんがあるんだけど、マリリンとアインシュタインの一般相対性理論から「知識は妥協」の下りの問答は結構熱い。人が行う様々な事が宇宙のそれと比べると些細な事って考え始めると頭痛くなってくる現象を会話劇によって見事に映像化している感じ。ラストのエクスプロージョンと燃え広がるマリリン・モンロー・ノー・リターンなスカートが酷美しい。

鑑賞日:2021/04/06 監督:ニコラス・ローグ


フェイ・グリム

誰にも見向きされなかった男が世界の注目を集めるって事で、ちょいと荒唐無稽な筋な気もしなくはないのにきっちり面白いハル・ハートリー。文書の内訳を明かさず、終始傾いた画面で何やら映画のお手本的不安感はちゃんと演出できている様に思われる。右往左往の末に届かなかった様で届いてるラストのさじ加減とか実に上手い。世界が俺にようやっと俺に付いてきたってな妄想風で結構好き。

鑑賞日:2021/04/05 監督:ハル・ハートリー


神様メール

新・新訳聖書って事で現実逃避感が凄くはある。ものの、想像をしっかり映像化する表現力と設定(ちょいと無理矢理だけど)で上手い事行ってる感じ。ベルイマンほか神の是非に対して苛つき問いかける映画は多々あれど、この作品は完全に個性的で別の視点を持っていると思われる。曲単体でも泣ける『私を泣かせてください』のシーンはとても美しかった。

鑑賞日:2021/04/04 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル


ブレードランナー

原作を読んだので久々に。羊も山羊も出て来ず、カタログ片手に頑張るデッカードではない。同じ作品の様でいて別物な様なそうでない様なって感じなんだけど、フィリップ・K・ディック曰くところのアンドロイドに問わず人間性とは優しさがあるかないかってところはフンワリと再現されているかと思われる。とにもかくにもゴス可愛いショーン・ヤングとサイバーパンクの世界観を構築したってところにでっかい意味がある作品だよな。あと、ヴァンゲリス。

鑑賞日:2021/04/03 監督:リドリー・スコット


さらば映画の友よ インディアンサマー

25年くらい前に観て、しばらく通路側5列目ポジションを真似して死守してた思い出。スクリーンサイズ合ってない肉弾から始まって、ラストまで川谷拓三演技にネタにロケーションに宇崎竜童劇伴にとひたすら好きな要素しかない。間違いなく主演・川谷拓三の最高傑作よね。で、原田真人作品の中でも断トツに好き。ここ10年くらい散々探してVHSすら出回ってなかったのは何だったのか。きっちり後世に残さなきゃいけないレベルの作品。

鑑賞日:2021/04/02 監督:原田眞人


約束

最近、待ち人来ない系ばっかり観てる。同年の『旅の重さ』の四国の夏感に対して、こっちは北陸の冬。行き帰りの電車に寒村にとともかく寒々しいなかで、ぽっと蛍の如くな人の心の通い合いって事で綺麗に出来てる。で、テーマが実に良い曲なんだけど、あらゆるバリエーションで劇中ショーケン同様にウザいくらいに流れるのはどうなんだろ。何やらムンムンな岸惠子の二度の『ありがとう』にラストのショーケンの存在感は流石。

鑑賞日:2021/04/01 監督:斎藤耕一