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Je t'aime moi non plus

Films: May.2022『Je t’aime moi non plus』ほか

Jun,01 2022 14:30

せっせと次作に向けて作業はしているものの、なんとなくポンヤリしていた5月の映画レヴュー。
引き続きの岡本喜八作品で『顔役暁に死す』に『結婚のすべて』で最高。
このところの傾向か再鑑賞ものが多く、ヴィヴィアン・リー定期な『欲望という名の電車』から始まって、ハル・ハートリー『愛・アマチュア』、ヴィンセント・ギャロ『ブラウン・バニー』、ガス・ヴァン・サント『ドラッグストア・カウボーイ』の'80年代後半から'00年代初頭なものが多い印象。
日本映画は森崎東『喜劇 女は男のふるさとヨ』、山田洋次『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』、木下恵介『風前の灯』とえらい久々な鈴木清順『カポネ大いに泣く』と松竹気なラインナップ。
新たな発見としてはビリー・ワイルダー『シャーロック・ホームズの冒険』にデンマークのアナス・トマス・イェンセン監督、マッツ・ミケルセン主演の『ライダーズ・オブ・ジャスティス』はなかなか見応えがあった。
そしてずっと観たかったエリック・ロメールの'80年代もので、『飛行士の妻』から始まって、『美しき結婚』、『海辺のポーリーヌ』、『満月の夜』とちょいちょい鑑賞中。
何故か引っ張り出して読み耽っていた『めぞん一刻』の後に読んでいた、バーナード・ショウ原作の戯曲でアンソニー・アスクィス、レスリー・ハワード監督作『ピグマリオン』はかなり再現度高めで素晴らしかった。
で、5月の顔は有無を言わさずって感じで『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』に決定。
6月はもうちょい映画観たい。

観た映画: 2022年5月
映画本数: 25本

満月の夜

因果応報の特大ブーメランと云うべきか、せっせと撒いた暗示の結果か満月の夜の威力は凄まじい。方々の相手と噛み合わないのは、独りよがりベースな思い遣りのせいって云う。自らの行動と口にした言葉ってのは恐ろしいもんで。その事に一生気付かないタイプっぽい、パスカル・オジェ(お洒落!)演ずるちょっとアレな主人公。色んな間違いをおかしながら今後もこの子はそれなりに生きていくんだろう、って云う超ドライなロメールの視線と絵本作家のオヤオヤって眼差しがイイ。

鑑賞日:2022/05/31 監督:エリック・ロメール


ピグマリオン

バーナード・ショウ本人が脚本に名を連ねているからか、ほぼ原作通りな印象。ふんわりとした最後は何か映画的な大人の事情を感じなくもない。ピグマリオンコンプレックスをきっちり積んだ上で、生命を与えた者にやり返されるってのを忠実にやっているので、とても良く出来ていると思われる。ダメ男アシュレーなイメージの強いレスリー・ハワードは、ちゃんとオラついたヒギンズでなかなか。ウェンディ・ヒラーもキュートちゃんな感じだったけど、『ぅぅぅうううぇぇええ』って云う日本語訳のやつをもっと見たかった。

鑑賞日:2022/05/30 監督:アンソニー・アスクィス、レスリー・ハワード


ブラウン・バニー

思い出した様にギャロのアルバムを聴いたので久々に。当時寝落ちしまくりのクロエのガッツリのところとオチくらいしか記憶になかったけど、改めて観るとなかなか良いじゃないか。出来過ぎな前作のせいで出涸らしっぽくはある。ものの、女々しくなるまでに喪失した者の痛くて鮮やかな記憶以外の何もない感がきっちり演出されてると思われる。ほぼ迷走し車を走らせてるだけの映画においても、キマってる画が多いのはやっぱり才能だろうねぇ。塩湖のシーンなんかもとても美しい。で、ジョン・フルシアンテ劇伴も大変良い。

鑑賞日:2022/05/29 監督:ヴィンセント・ギャロ


フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

一級品な視覚効果の数々は言うまでもない。んだけど、作品ごとに情報量が増してるのか、観てるこっちが情報過多について行けなくなってるのか、どっちか知らんけどいささか疲れる。ジャック・タチやらマルセル・カルネ的なオマージュなんかも多くて、全部まともに探そうとするとキリがない。って事で、ウェス・アンダーソン作品は緻密極まる作り手側の異常な労力をよそに、こっちは雰囲気をふんわり楽しむのが正解なんだなと再認識する。

鑑賞日:2022/05/28 監督:ウェス・アンダーソン


ライダーズ・オブ・ジャスティス

ジャケで脳筋マッツの気楽なやつを期待してたら、大層重い内容で予想以上に面白かった。ピザの飯テロ挟みつつ、バタフライ効果の悪いのと良いのとで上手い事出来てる。問題を抱えてる同士が集まるって事で3匹の子豚+美少年と仲間が増えて、最後は泣ける。劇中悲劇と職業でゴリゴリに凝り固まり、容易にほぐせないって役を見事にこなすマッツ。プッシャーマッツから始まって、ハンニバルマッツ等々、ほんと振り幅が広い。ブライアン・メイ似のお洒落なおじさんの服装は真似しよう。アナス・トマス・イェンセン作品初めて観たけども、緩急がきっちりしていてとても良かった。

鑑賞日:2022/05/26 監督:アナス・トマス・イェンセン


カポネ大いに泣く

15年振りくらい。日活時代と浪漫三部作とが上手い具合に混ざり合ってる印象は変わらず。清順作品には珍しい井上堯之劇伴ってのも新鮮。ともかくは田中裕子が全てのシーンでイイ女に撮れていてまぁ凄い。で、隣の墓であの世でジュリーと結ばれる(結婚前)みたいな意味深ネタとでやりたい放題な具合。浪花節→チャップリン →天井桟敷みたいになるショーケンの役者魂は見事と云うしかない。全体としては大和屋竺っぽいのかぽくないのかよく分からない脚本と何やらカオス度マシマシな清順節なんだけど、面白いのは変わらん。これの5年後くらいにウチの父親が米国で夜の大統領と写真撮ってきたと思うと、何か胸熱。

鑑賞日:2022/05/24 監督:鈴木清順


海辺のポーリーヌ

アマンダ・ラングレ可愛いな。それぞれの年齢の成長のスピードをひとつの作品の中だけで表現してしまうエリック・ロメール。とりわけ劇的な成長をするポーリーヌちゃんではあるけれど、その子に一番の冷静さを備えさせるって云う設定の妙。で、最初から各キャラの立ち位置と性格は変わってないって云う。全てを知ってる方が良いのか、知らぬが仏でドヤ顔と共に恋愛論をぶつのが良いのかなどなどで人が進む道は無数にある。このモヤっと感とイメージ通りの曇天模様なノルマンディーとがまた合う。かと思えば目の醒めるような紫陽花の色彩を挿入してくるからニクい。最後の方でオッサンが『すばらしい新世界』を引用したせいで『弾みがいい』(コレの事は言ってない)が頭から離れなくなったけど、これはポーリーヌちゃんを表現するのに一番な言葉だわね。

鑑賞日:2022/05/23 監督:エリック・ロメール


八つ墓村

エロ可愛い小川真由美が見たくて30年振りくらい。正直、ドドドドドドドドーッと迫ってくる山崎努くらいしか記憶になかった。いまいち本領を発揮してないショーケン+渥美清を始めとして松竹役者で構成された横溝正史ものって事で新鮮味はあるものの、何かテンポが悪い印象。全体的に重厚感はあるし、加藤嘉から始まる噴水の如き吹き出しの数々もみんな勢いがあって良いんだけど。アトラクション気な鍾乳洞で小川真由美と追いかけっこしたい。

鑑賞日:2022/05/22 監督:野村芳太郎


風前の灯

風前の灯

再鑑賞。蒲鉾とミレーが出てくるだけで笑える。前後作ネタも良い。終始キーっとなってるデコちゃん最高。

鑑賞日:2022/05/20 監督:木下恵介


美しき結婚

ベタなテクノポップOP-EDからして結構掴まれる。見切り発進ちゃん過ぎて、引き寄せの法則も全速力で逃げるレベル。先人の言葉が耳に入らず、イタさを遺憾なく発揮する年頃ってなもので逆に羨ましい。自分だったら後日赤面だけじゃ済まないけど。私は創作家だしとか私が主婦業したら最強だしって云う理想と発言先行の人間には惹かれんよな。まずは手を動かせ、きちんと触れ合え、話はそれからだってのが真理。あ〜ぜんぜんひと目惚れじゃなかったしって強がる裏で、弁護士に変人呼ばわりさせる意地の悪いエリック・ロメール。ル・マンのロケーション良い。

鑑賞日:2022/05/20 監督:エリック・ロメール


「粘土のお面」より かあちゃん

「粘土のお面」より かあちゃん

感覚としては『どですかでん』より貧しく『どん底』よりちょいマシくらいな感じで、兎にも角にも暗さが微塵もない。馬鹿正直さやらで全て身から出た錆なんだけど、石仮面みたいな不気味な粘土のお面や社会のせいにしたくなる気持ちも分かる。チャリで向島から浦和の往復8時間(からのお決まり所望→ない!→暴れる)とか意味分からん貧乏っぷりで、卑屈の極みに達しそう。なんだけど、ただでさえ陽キャラな伊藤雄之助と望月優子の相乗効果で辛さが嘘みたいに消失する感じ。荒川に響く怪しい歌詞のラ・マルセイエーズと世にも清々しい夜逃げで良い作品だった。

鑑賞日:2022/05/19 監督:中川信夫


ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ

クソまみれのゲス野郎め。OPの止め→再開から始まって、画面に出て来ないのに1から10まで天才的かつギンギンのカメラ目線なゲンスブールの存在をそこかしこに感じる。前後の穴の話じゃないんだよって云う超純愛ソドミー映画。他に適任がいないジョーに身体張ってるバーキンとこの上ない配役な上に、ドパルデューの俺のが欲しいのか?→病院送りになる馬並み発言×馬なんかでもう最高。ゴミの山と荒野のドライブインと青姦をここまで美しく撮る事ができるってのはなかなかない気がする。テーマ曲のデュエットを敢えて流さないってのも流石。捧げられたボリス・ヴィアンは草葉の陰でウムと頷いているに違いない。

鑑賞日:2022/05/18 監督:セルジュ・ゲンスブール


さらば愛しき大地

秋吉久美子が見たくて。農家の長男が工業絡みでないと生きて行けないって云う高度経済成長あるある。社会へ向けるべき怒りが自分と周りに行くって云う、デカダンスを通り越して超絶望映画に仕上がっている。前半の2人の出会いなんかから、後半からラストの落差ったらない。切れたナイフ男からギンギンなジャブ中演技をこなす圧倒的な根津甚八と、脱ぐところきっちり脱いで悲惨な役をやり切る秋吉久美子とで見事。長いの持ってるらしい蟹江敬三のキメ演技も最高。そして日食やら夕陽やらの光と農地を抜ける風演出がまた素晴らしい。とりあえずまだ農家は生きているラストから40年くらいの現在の日本。ペンシルハウス量産してる場合じゃない。

鑑賞日:2022/05/17 監督:柳町光男


飛行士の妻

移ろいやすい天気の様な人間のフラフラした精神状態と一筋縄でいかん感じがまぁ良く撮れてる。で、劇中全員の本音と建前とその行動って事で、美しさの残るパリの生態系を観察してるみたいで実に面白い。世にも面倒なキツめな問答や(でも耐える)、嫉妬に狂いつつ、新たな出会いにまんざらでもない感じなんかもリアルだわね。5歳刻みのもの事の捉え方や考え方の違いもまたなかなか。こんなんラコステちゃん一択だろと思わせつつ、子供にも裏はきっちりあるって云う。オチの内容も含めて、この中に放り込まれたら速攻で孤独に逃げ込む自信がある。

鑑賞日:2022/05/16 監督:エリック・ロメール


シャーロック・ホームズの冒険

コカインをキメるホームズ像。超人的な頭脳をきっちり描写しつつも、描くのはあくまで人間臭いホームズと流石なビリー・ワイルダー。前半のジャブを経てからの本題で、観てる側がしっかり推理ものモード~オカルトモードにされるも、描きたかったのは別物って事ですっかり騙される構成で見事。で、最後まで大小様々な粋な演出に満ちている。やってる事は人間の弱さや謀略なんかのダーティーな部分でありながら、飛び交う耳触りの良いクイーンズ・イングリッシュやあれやこれで何やら品格のある作品となってる。それでいて英国人のクラブ至上主義を微妙に皮肉ってる感じがまたニクい。ロケーションも最高。

鑑賞日:2022/05/15 監督:ビリー・ワイルダー


男はつらいよ 寅次郎相合い傘

メロンのとこが見たくて。序盤の旅する寅次郎と船越英二+リリーがキラキラしてて楽しそう。それらを含めた大きいとこから、とらやのお客なんかの細かいとこまで、伏線回収が鮮やか滑らか過ぎな山田洋次で改めて感心する。で、メロン騒動で笑い泣きさせてから、リリーのステージ、リリーとの相合傘、リリーとの結婚話て琴線に触れるどころか弾きまくる具合。相手への強い愛情、思いやりをすっとぼけ演技で見せる渥美清と浅丘ルリ子。素晴らしい。

鑑賞日:2022/05/13 監督:山田洋次


愛・アマチュア

久々。街中で屋内でと聖母を背負ってる風な俗世に放たれた絶対的処女ことユペール様。前半の元尼僧の地味っ子ファッションからボンテージにドリルでキメるとこまで全部最高。エリナ・レーヴェンソンとWで胸元を見せつけてくる感じが、お客の事を分かりまくってるハル・ハートリー。罪人設定のマーティン・ドノヴァンへの最後の最後での名前の呼びかけの刹那、からの聖母的ユペール様の一筋の涙の畳み掛けの素晴らしさ。と云うか、筋書きも撮影も監督劇伴もマイブラ、ペイヴメント、ヨラテンのチョイスも何から何まで素晴らしい。ユペール様とのノーセックスフィニッシュは死んでも死にきれん。

鑑賞日:2022/05/12 監督:ハル・ハートリー


ドラッグストア・カウボーイ

恐れている迷信、ジンクス級にフワッと感じで治療が全然辛そうじゃないのは置いといても良く出来ている。15年振りくらいの今作な訳だけれども、振り返ってみるとこの頃のガス・ヴァン・サントの冴え具合とポートランド感がやっぱり好き。頑張ってる感じな各種低予算表現(真似したい)に絶体絶命な状況をまさに絶体絶命としてきっちり面白く描く辺りも最高。展開も流れる様にスムーズでありつつ、各人の関係の変化で生まれる妙な切なさがはっきりと表現されていて、これもまた良い。ドラッグを神父に渡して神様に守られるマット・ディロンの図も絶妙。迷信かジンクスか、この後の彼の当たり作品がない気もするけど。で、ダメっ子ドジっ子キャラなこの頃のヘザー・グラハム(死体でも)の可愛さったらない。

鑑賞日:2022/05/10 監督:ガス・ヴァン・サント


結婚のすべて

結婚のすべて

オープニングから既にキレキレで完成形な岡本喜八だった。それぞれな形の俗界に触れる新珠三千代(顔が火照っちゃったのシーンなんて最高)と雪村いづみ。豪華過ぎな東宝ちょい役者陣を経てのラストな訳だけど、そんな中をどしっと頂点に君臨する理想像みたいでハマり役な上原謙。あんなん言われたら男でも惚れるわ。『恥を知らないのが現代の美徳だ』ほか、冴えてる台詞の多いけど惨敗の三橋達也の即切り替え可能な現代的器用さもなかなか。で、高速ビンタと安心感のある小林桂樹のナレーション。

鑑賞日:2022/05/08 監督:岡本喜八


サリヴァンの旅

スクリューボール・コメディって割にはテンポは良くない気もしなくはない。生ぬるい前半から、単純にコメディが正義なんだよに気付いて行くラストは良い話なんだけど、やっぱり何かシャキッとしない感じ。で、よくよく考えると貧困云々は関係なくなってる。通さん山羊とか出来過ぎな画は多数あったけど。と、ヴェロニカ・レイクのイイ女っぷり。

鑑賞日:2022/05/07 監督:プレストン・スタージェス


喜劇 女は男のふるさとヨ

喜劇 女は男のふるさとヨ

久々。NHKが映らないTVを売ってる2022年から見る『NHKしかうつりません』からの画面にはストリップ古屋、流れるのは君が代で泣く。中村メイ子の警察署での訴えと共に国家への憂いとでグイグイくる。そんな熱い心情を吐露したかと思えば、あっちこっちで笑わせまくる森崎東。森繁久彌筆頭に役者陣もみんな上手い。星子こと緑魔子のトランスフォームとかもう最高。

鑑賞日:2022/05/05 監督:森崎東


欲望という名の電車

出てきた瞬間にボロ雑巾みたいになってる白森さんことヴィヴィアン・リーをどんどん落として行くエリア・カザン、それに見事に応えた渾身かつ狂気な演技とで素晴らしい。で、台詞の一つ一つが冴えまくるテネシー・ウィリアムズ。『過去に追いつかれて引き戻される』なんて、タラを失ったスカーレットみたいな没落令嬢っぷりにぴったりの表現を良く思い付く事。持たざる者は必ずしもみんな無敵ではない。大傑作。

鑑賞日:2022/05/04 監督:エリア・カザン


コンボイ

クリス・クリストファーソンとバート・ヤングvs桃サンとやもめのジョナサンで人間味的には良い勝負ではあるものの、派手さとスケールの大きさは流石なアメリカ様。教会の看板→屋根の馬鹿みたいなやつを始めとして、大体スロー演出なアクションの数々で瞬間的に振り切りまくるものの、ちょっとダレるタイプのサム・ペキンパー作品。ジーザスばりなクリストファーソン筆頭のトラックによる行進(暴走)で死人無しって云う、平和なのか平和じゃないのかなカオスな感じは嫌いではない。カントリー+ラップ風=解説な曲も結構好き。

鑑賞日:2022/05/03 監督:サム・ペキンパー


顔役暁に死す

弾痕に続いて久々。ニーチェの言うところの超人レベルな加山雄三。これだけの苦境でありつつ、肝が据わりまくりな上に軽やかな身のこなし、変顔の応酬と人間離れしとる。絶対的主人公を軸に展開する対立と犯人探しの実に良く出来た筋に、電話に手やらの岡本喜八的切り替わりも芸術的で娯楽作品の域を軽く超えとる。メルヘンな状況をわざわざ作ってからの『子供の時間は終わりだぜ』のシビれるやつからの一連の展開が最高。ミッキー・カーチスの手術代は合計幾らになったのか。

鑑賞日:2022/05/02 監督:岡本喜八


上海バンスキング

ほぼ『蒲田行進曲』キャストで雰囲気は完全にそんな感じ。ちょいちょい挿入される仁義なき風スチールや妙な特撮は完全なる深作欣二ではある。きな臭くなってきた辺りからは段々と面白くなってくるものの、前半のテンションはちょいキツい。筋自体は良いし、上海上陸の日に思いを馳せるシーンとかの為には必要なのは分かるけど。そんなこんなでラスト20分くらいは結構泣ける。嘘みたいな白い肌とイイ女っぷり全開な松坂慶子は、ほとんど『蒲田行進曲』と同じ調子のキャラ松坂慶子って感じの演技で良い。夏八木勲の門出に涙と『暗い日曜日』のコンボで不吉過ぎるけど。時折演技にボロが出る宇崎竜童の死に様が超切なくてやりきれん。パッと見スパンキング。

鑑賞日:2022/05/01 監督:深作欣二