豚と軍艦
Jul,31 2007 23:00
『インターナショナルゥ!』
季節はすっかり夏ですね。
終戦記念日もあと半月と迫った今日この頃、今村昌平監督作品『豚と軍艦』('61)を鑑賞。
いやはや、大傑作。どの作品観てもアナーキーだな。
いつの時代も男はアホな夢を見て、若い2人はそうして生きていく。
理想に生きるヤクザな男の長門裕之と貧乏してでも堅実な生活を願う吉村実子。
米軍基地がある事により潤う横須賀の街で彼等は生きている。
米兵のパンスケとして生きる事が彼女の家族にとっては幸せであるし、彼女自身が楽で華やかな生活ができるのだ。
しかし、己の信念を曲げずに人を愛す強さがそこにはある。
そんな彼女は言う、
「あんたはアレんときだけやさしいのね」と。
う〜む、思い当たるフシがありまくりである。
それでも男を更正させるべく奔走するあたりにグッとくるのだなぁ。
それはそうと本日の夕刊で慰安婦問題の公式謝罪要求決議案が可決された。
日本が文句を言えないのは当然分かるのだけれど、アメリカさんも日本や朝鮮で似た様な事している現実。
さらに疑問なのはマイケル・ホンダ。この映画の主題にも通ずる気がする。
劇中で日系アメリカ人と中国系マフィアが裏取引の場で、我らは同じ民族を日本人の様に欺く事はしないと言い切る。
どっちの国もそんなに好きではないのだが、自国の利益を強く守れる強さは国家としてそうあるべきだとも思うのだ。
核の傘に守られている以上しかたないのではあるが、ほいほい謝ってしまうのだけは情けない。
東洋一の港に街を覆うほどの豚がラストには放たれる。
あたかも軍艦で乗り付けた資本主義の豚が他国文明を侵略するかの如く。
カタギになる事をう吉村実子に誓った長門裕之は切なくも最後の仕事の中で無惨にも死んで行く。便器に顔を突っ込んで。
最後のシーンでアメリカさんの恩恵に授かろうと横須賀にやってくる日本人所女性をかき分け横須賀を去る吉村実子に感動する。
欧米化してしまうのは仕方のない事なのであろうが、日本人たる事の誇りは失いたくはないものである。
豚舎にバラした死体を遺棄したのに豚料理にしっかり入っているあたりの今村昌平のセンス。
凄いなぁ。
日本映画学校に通いたかった。
話は変わって、お世話になりっぱなしの我が敬愛の川原テツ氏が 晴れて処女作を発売した。
タイトルは『名画座番外地―「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記』。
私はまだ途中であるが、大変に面白い。
兄さんの人徳と優しさを垣間見ずにはいられない。
知人を抜きにしても傑作である。
本当に自分の事の様に嬉しいのである。